春の味覚、菜の花。
炒め物、お浸し、和え物、揚げ物、汁物など和の食材としても、またスパゲティやグラタンの具材など洋の食材としても、どのような料理にも万能に調和できる食材です。
菜の花特有のほろ苦さは、加熱すると甘味が出てとても食べやすく美味しくなります。春のお野菜菜の花は栄養価も高く、菜の花が出回る時期を逃さずに是非味わっていただきたい食材の一つです。
今回は、菜の花の栄養素とは、人気のレシピ10選をご紹介していきます。
この記事の目次
菜の花の栄養素とは
(1)菜の花とは
菜の花とは、アブラナ科アブラナ属の野菜。若くて柔らかい花のつぼみや茎葉の部分を食用にします。他にも、つぼみ菜、油菜(あぶらな)、菜種菜(なたねな)など、色々な名前がありますが、アブラナ科のつぼみや花茎を総称して菜花(なばな)と呼びます。
旬の時期は3~4月頃で、早いものだと12月頃には店頭に並び始めます。日本では、三重県や千葉県、高知県、香川県などが主な生産地です。
原産地は地中海沿岸や北ヨーロッパなどで、日本へは弥生時代に中国より伝えられました。菜の花には、和種と洋種があり、この頃伝えられたのは前者の和種です。明治時代に入ると洋種の菜種が伝わり、昭和になると食用として品種改良も進みました。和種は花茎・つぼみ・葉を、洋種は花茎・葉を食べます。
(2)菜の花の栄養価
↓↓ 日本食品標準成分表2015年版(七訂)より
食品成分 |
和種 花蕾、茎(生) 可食部100g 当たりの数値 |
和種 花蕾、茎(ゆで) 可食部100g 当たりの数値 |
洋種 茎葉(生) 可食部100g 当たりの数値 |
単位 |
エネルギー |
33 |
28 |
35 |
kcal |
水分 |
88.4 |
90.2 |
88.3 |
g |
タンパク質 |
4.4 |
4.7 |
4.1 |
g |
脂質 |
0.2 |
0.1 |
0.4 |
g |
炭水化物 |
5.8 |
4.3 |
6.0 |
g |
灰分 |
1.2 |
0.7 |
1.1 |
g |
|
|
|
|
|
ナトリウム |
16 |
7 |
12 |
mg |
カリウム |
390 |
170 |
410 |
mg |
カルシウム |
160 |
140 |
97 |
mg |
マグネシウム |
29 |
19 |
28 |
mg |
リン |
86 |
86 |
78 |
mg |
鉄 |
2.9 |
1.7 |
0.9 |
mg |
亜鉛 |
0.7 |
0.4 |
0.6 |
mg |
銅 |
0.09 |
0.07 |
0.09 |
mg |
マンガン |
0.32 |
0.25 |
0.67 |
mg |
ヨウ素 |
1 |
– |
– |
μg |
セレン |
1 |
– |
– |
μg |
クロム |
1 |
– |
– |
μg |
モリブデン |
6 |
– |
– |
μg |
|
|
|
|
|
α-カロテン |
0 |
0 |
0 |
μg |
β-カロテン |
2200 |
2400 |
2600 |
μg |
β-クリプトキサンチン |
21 |
20 |
24 |
μg |
ビタミンD |
0 |
0 |
0 |
μg |
ビタミンE |
3.5 |
3.4 |
1.8 |
mg |
ビタミンK |
250 |
250 |
260 |
μg |
ビタミンB1 |
0.16 |
0.07 |
0.11 |
mg |
ビタミンB2 |
0.28 |
0.14 |
0.24 |
mg |
ナイアシン |
1.3 |
0.5 |
1.3 |
mg |
ビタミンB6 |
0.26 |
0.11 |
0.22 |
mg |
ビタミンB12 |
0 |
0 |
0 |
μg |
葉酸 |
340 |
190 |
240 |
μg |
パントテン酸 |
0.73 |
0.30 |
0.80 |
mg |
ビオチン |
12.2 |
– |
– |
|
ビタミンC |
130 |
44 |
110 |
mg |
|
|
|
|
|
水溶性食物繊維 |
0.7 |
1.3 |
0.7 |
g |
不溶性食物繊維 |
3.5 |
3.0 |
3.0 |
g |
食物繊維合計 |
4.2 |
4.3 |
3.7 |
g |
|
|
|
|
|
オレイン酸 |
0 |
0 |
0 |
mg |
リノール酸 |
8 |
4 |
16 |
mg |
α―リノレン酸 |
56 |
28 |
110 |
mg |
日本食品標準成分表2015年版(七訂)
菜の花の和種 花蕾、茎(生/ゆで)、洋種 茎葉(生)、各可食部100gあたりの数値
データ引用元:文部科学省 食品データベース (https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html)
<栄養価ポイント>
菜の花には、ビタミン、ミネラルともに多くの成分が含まれていることが分かります。食物繊維も豊富です。菜の花の和種(花蕾、茎)と洋種(茎葉)では、全体的に和種の栄養価の方が少しずつ上回る傾向にありますが、大きな違いはありません。ただし、項目によってカルシウム、鉄、ビタミンE、葉酸などは和種、マンガンやα-リノレン酸などは、洋種の数値の方が高くなっています。
(3)菜の花に含まれる主な栄養素の特徴
菜の花には、β-カロテン、ビタミンC、E、葉酸、ビオチン、カルシウム、鉄などを豊富に含んでいます。特にビタミンCは、ホウレン草の3倍程度、茹でても100g中44gと野菜の中でもトップクラスの含有量です。β-カロテンやビタミンC、Eなどは、抗酸化作用がありますので、活性酸素を抑制し、老化防止、血流改善、代謝向上、免疫力の向上など、様々な効果が期待できます。
菜の花は、抗酸化物質の1つ、辛味成分のイソチオシアネートの素となるグルコシノレートをたくさん含有しており、アブラナ科の野菜の中でもトップクラスにあります。イソチオシアネートは、特に菜の花のつぼみ部分に多いとされています。
また、鉄分の含有量も野菜の中でもトップクラスです。非ヘム鉄の吸収を助けるビタミンCも豊富ですので、体内への吸収率の悪い非ヘム鉄も効率よく体内へ吸収されます。
他にも、菜の花は食物繊維の量も100gあたり4.3g(和種/茹での場合)と野菜の中でもトップクラスで、便秘の解消や腸内環境の改善にも効果が期待できます。
菜の花を使った人気レシピ10選
【1】5分で出来る★菜の花のおひたし
菜の花の定番中の定番料理のおひたし。食感が残るようにサッと湯がいて、だし醤油と合わせて頂きます。菜の花を湯がいてから流水に取り水気を搾る方法もありますが、水っぽくならない方法のひとつとして、湯がく時間を少し短めにして、水に取らずに湯を切って、そのまま冷ます方法があります。味をなじませてお皿に盛り、最後にかつお節をのせて完成です。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【2】菜の花のからし和え☆うちの副菜
菜の花のほろ苦さと、からしの辛味、大人の春の定番料理です。基本的には、お浸しと作る手順は同じですが、合わせる調味料が変わります。こちらのレシピでは、出し、醤油、からしを使用しています。家庭の味として、色々な調味料を用いますが、醤油の代わりに味噌やめんつゆなどを使用しても美味しく召し上がれます。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【3】菜の花とあさりのからしあえ
こちらは、からし和えのアレンジバージョンです。
洗ったあさりは鍋に入れ、酒を振り掛けて火にかけます。混ぜながら煎り煮し、身と煮汁を分けておきます。湯がいてカットした菜の花とあさりに、あさりの煮汁・しょうゆ・からしで作った調味料を混ぜて完成です。アサリの旨みのしみこんだ、深い味わいのからし和えです。
参考レシピ ⇒ レシピサーチ
【4】菜の花のくるみあえ
大きめに砕いたクルミの食感も楽しめる菜の花の和え物。ローストしたクルミを食べやすい大きさに砕き、粒を残す感じですります。ここに、醤油と砂糖を加えて和えごろもを作ります。菜の花はサッと湯がき、食べやすい大きさにカットし、和えごろもと混ぜます。最後に塩で味を調えて完成です。菜の花のほろ苦さと甘さ、クルミのクリーミーさが合わさった、美味しい副菜です。クルミを胡麻に替えて、胡麻和えにしても美味しく頂けます。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【5】菜の花の天ぷら
天ぷらも菜の花の定番料理です。天ぷらにすることで、苦みが和らぎます。菜の花は、軸の固い部分を切り落とし、しっかりと水気を拭き取ります。次に片栗粉を菜の花全体にまぶし、卵と冷水で作った衣をつけて、170℃に熱した油入れます。衣が固まるまで触らずにサクッと揚げます。ポイントをおさえて、サクサクに仕上げたいですね。
参考レシピ ⇒ E・レシピ
【6】菜の花と豚肉のオイスター炒め
菜の花は、豚・牛・鳥などお肉との相性も抜群です。菜の花を炒め物にする場合は、火通りがいいですので、炒めすぎに注意することがポイントです。必ず、菜の花の茎の部分と葉の部分は分けて、まず茎の部分に火を通し、火通りの特によい葉の部分は後から時間差で炒めます。しょうが、オイスターソース、酒、ごま油と言った調味料を使用した中華風の炒め物です。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【7】菜の花とシラスのパスタ
菜の花が出回る春には是非1度は作って頂きたいパスタ料理。とても簡単にできるので、時間のない時におすすめです。こちらのパスタには、春に旬を迎えるもう一つの食材、シラスを使用しています。菜の花は湯がき過ぎに注意して、色よく仕上げます。菜の花の苦みとシラスの塩味、オリーブオイルとにんにくが良くマッチした春のパスタです。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【8】菜の花のパスタ
もう一つ、菜の花を使ったパスタのご紹介です。こちらは、ペースト状にした菜の花のソースをパスタに絡めていただきます。菜の花のソースは、下茹でした菜の花、松の実、オリーブオイル、粉チーズ、アンチョビ、にんにくを使い、塩で味を調えるジェノベーゼ風のソースです。7.菜の花とシラスのパスタとは全く見た目が違いますが、味の違いを比較して楽しむのもいいですね。
参考レシピ ⇒ E・レシピ
【9】春の香り☆菜の花とタケノコのよくばりピザ
菜の花、エリンギ、なす、タケノコ、トマト、にんにく、合いびき肉を使用した、具材盛りだくさんのピザのレシピです。菜の花は、ピザの具材としても最適で、ピザ生地やチーズとの相性もバッチリです。具材は自由に変えることができますので、ご自宅にある食材を使うことができます。あらかじめ火を通して使用すると生焼けの心配はないです。
参考レシピ ⇒ 楽天レシピ
【10】菜の花のグラタン
菜の花、エビ、玉ねぎ、マッシュルームのグラタンです。玉ねぎ、マッシュルーム、エビをバターでいためて白ワインを加えます。炒めたものとホワイトソースを混ぜ合わせ、グラタン皿に移します。塩ゆでした菜の花を並べ、その上にホワイトソースをかけ、チーズを乗せます。オーブンで美味しそうな焼き色が付くまで焼いたら完成です。ほろ苦い菜の花は、乳製品と相性が良く、食べやすくなりますので、苦味が苦手な方や、お子様におすすめの料理です。
参考レシピ ⇒ E・レシピ
菜の花の栄養素、人気レシピまとめ
菜の花は、栄養価も高く、炒め物、お浸し、和え物、揚げ物、汁物、和食から洋食まで幅広く使うことのできる万能な食材です。菜の花を調理する際に気を付けるポイントは、何と言っても火の通し方です。菜の花は、非常に火の通りが良く、すぐに柔らかくなりますので、湯がく場合は30秒ほどサッと湯がき調理すると良いです。食感も良くなりますし、栄養も流れないため、注意したいポイントです。
一年のうちで春だけ流通する季節のお野菜の代表、菜の花。この時期を逃さず色々な調理方法を駆使して多くの方に味わって頂きたいおススメの野菜です。
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(By ディオニソス)