“柿が赤くなれば、医者が青くなる”という諺、みなさんも一度は耳にしたことがありませんか?
柿は、とても栄養が豊富で、優秀な健康食材として昔から知られています。
柿が食品スーパーに並び始めると、秋が深まったな~と感じますよね。柿は例年この時期にしか手に入りませんが、逆に安定した値段、お手頃な価格で変わらず購入できるのは嬉しいところです。
年に一度しか味わえない日本文化の柿!
この時期だからこそ、思いっきり柿の風味、健康食材を楽しみましょう~。
今回は、柿に含まれる栄養成分と効能や注意点についてご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
柿の種類と歴史
柿は、日本人にとても馴染み深く、昔から親しまれてきました。
柿は、カキノキ科の落葉樹の木の実のこと。柿の木は東アジアに育つ固有種で、英語では“Persimmon”、 熟した果実は”Japanese persimmon”とも呼ばれ、「日本の」と表現されるほどの存在なのです。
日本において古くは弥生時代の遺跡からも「柿の種」が発見されたり、柿が付く苗字を名乗った歴史上の人物や、地名にも使われています。
日本には、人類が誕生する以前から柿が存在していたという説もありますが、弥生時代に中国大陸から伝わったという説が今は有力だとされているようです。
日本に伝来した当時のかきは渋柿だったので、干し柿として食べるのが一般的だったよう。
柿の品種は1000種類近くあるとされています!
柿には、甘柿と渋柿がありますが、甘柿の種類はとても少なく20種類にも満たないようです。柿のほとんどの種類は、渋柿ってことなのです。
渋柿と違って、渋抜きをせずに「そのまま食べられる」現在の甘柿は、鎌倉時代に偶然にも突然変異によって産まれたのが始まりとされています。そこから、各地において甘柿の栽培、品種改良への挑戦が始まりました。
柿の栄養成分
栄養成分表
甘柿の成分、そして比較用に干し柿の成分も合わせてご紹介していきましょう♪
成分 | 甘柿 | 干し柿 |
エネルギー (kcal) | 60 | 276 |
タンパク質 ( g ) | 0.4 | 1.5 |
脂質 ( g ) | 0.2 | 1.7 |
炭水化物 ( g ) | 15.9 | 71.3 |
ナトリウム mg | 1 | 4 |
カリウム mg | 170 | 670 |
カルシウム mg | 9 | 27 |
マグネシウム mg | 6 | 26 |
リン mg | 14 | 62 |
鉄 mg | 0.2 | 0.6 |
亜鉛 mg | 0.1 | 0.2 |
銅 mg | 0.03 | 0.08 |
マンガン mg | 0.5 | 14.8 |
β-カロチンμg | 160 | 370 |
β-クリプトキサンチン μg | 500 | 2100 |
ビタミンB1 mg | 0.03 | 0.02 |
ビタミンB2 mg | 0.02 | 0 |
ビタミンB6 mg | 0.06 | 0.13 |
葉酸 μg | 18 | 35 |
パントテン酸 mg | 0.28 | 0.85 |
ビタミンC mg | 70 | 2 |
食物繊維 g | 1.6 | 14 |
引用:五訂日本食品基準成分表(甘柿/干し柿 可食部100gあたりの成分)より
柿の特徴!6つの栄養成分とは?
柿にはカリウムやリンなどのミネラル分に加え、ビタミンCやβ-カロチン、β-クリプトキサンチン、といった成分なども含まれています。その他、柿特有に多く含まれる成分もあります。
それぞれの栄養素別に特徴をご紹介していきましょう。
1.ビタミンC
柿に含まれるビタミンC量は、レモン(50mg/100g中)やイチゴ(62mg/100g中)などよりも多く、70mg/100gも含まれています。
成人の一日に必要なビタミンC摂取目安は、100mgなので、柿1個分で、100mg以上のビタミンC、一日分の所要量が簡単に摂取できちゃう計算になります。
ビタミンCは私たちのカラダの免疫を高めるため、風邪がはやり始める晩秋の時期には、是非とも積極的に食べておきたい食材です。また、強い抗酸化作用もあるので、シミやシワ、たるみなどの改善、疲労回復効果も見込まれます。
2.β-カロチン
β-カロチンは、甘柿よりも干し柿に豊富に含まれ、その量は2倍以上にもなります。
β-カロチンは体内でビタミンAに変換されます。カロテノイドの一種であるβ-カロチンは、活性酸素を除去しながら身体の抵抗力を高めて、風邪を予防したり、病気の回復を促してくれます。
β-カロチンもビタミンCと同じように強い抗酸化作用をもっています。
3.β-クリプトキサンチン
β-クリプトキサンチンは、柿を始め、柑橘類、温州みかん、パパイヤなどに含まれるオレンジ色の色素、カロテノイドの一種です。
日本人は、諸外国の方と比較しても、このβ-クリプトキサンチンの血中レベルが高い人が多いのだそうです。
β-クリプトキサンチンは、飲酒や高血糖などによる肝機能障害、動脈硬化、骨粗鬆症、メタボリックシンドロームといった症状に対するリスク軽減力が他のカロテノイドより優れていることが確認されています。
加えて、脳の老化予防や、メラニンの生成抑制効果についても近年では研究が進み、注目されている成分です。
β-クリプトキサンチンは、甘柿にも多く含まれますが、干し柿にはその4倍以上が含有、実に温州ミカンに匹敵する含有量になっています。
4.カリウム
カリウムは、ナトリウムと相互に働いて、体内で過剰となったナトリウムを排泄する役割があります。ナトリウムの過剰摂取で起こる高血圧の予防や、利尿作用をもたらし、むくみの解消効果も期待されます。加えて、カリウム不足は、筋肉の働きを悪くし、力が入らなくなるなどの症状リスクにつながるため、筋肉の働き、エネルギーを作り出すためにもカリウムは必要です。
5.ペクチン
ペクチンは、色々な果物に含まれる食物繊維。水溶性と不溶性の食物繊維がありますが、柿に含まれるのは、そのほとんどが水溶性食物繊維のペクチンです。
ペクチンは、コレステロール値をコントロールするので、ダイエット効果が期待できます。また毛細血管の働きを高め、血行もよくしてくれます。
甘柿よりも干し柿の方にペクチンが多く含まれているため、多く摂りたいところですが、食べ過ぎは逆に糖質の摂り過ぎにもつながりますので、適量摂取を心がけるようにしましょう。
6.タンニン
タンニンは、渋柿の渋みの素となっている成分、ポリフェノールの一種です。緑茶やバナナの皮などにも多く含まれます。
タンニンは、血液の中にある毒素を減らし、血液の流れをよくする働きがあるとされています。体全体の新陳代謝をよくするためにもタンニンは働いてくれます。
柿がもたらしてくれるたくさんの効能
【1】免疫力を上げ風邪の予防に!
柿に多く含まれるビタミンCは、風邪予防にとっても効果的です。
体内に侵入した病原菌と戦い、抗ウイルス作用を促してくれます。また、ビタミンCには腸内環境を改善、抗酸化作用によって免疫が下がるのを抑えてくれます。
【2】抗ガン作用も
カロテノイドの一種β-クリプトキサンチンにはインターフェロン(ウイルス感染した細胞や腫瘍細胞の増殖を防ぐ特殊なたんぱく質)の生成促進効果が見込まれ、免疫力を向上してくれます。
ビタミンCと同時に摂ることでその相乗効果も見込まれ、抗がん作用に対しても注目、期待も大きくなっています。また、β-クリプトキサンチンも免疫力向上、風邪予防にも役立ちます。
【3】二日酔いの予防、軽減
タンニン中に含まれる渋み成分ポリフェノールは、「シブオール」という名前がついています。このシブオールには、アルコール吸収を阻害する働きもあり、柿のビタミンCとの相乗効果で、血中アルコールの分解・排出を促してくれます。更に、カリウムの利尿作用によって、二日酔いの原因物質も体外に排出されやすくなります。
渋みのない甘柿には、これらの効果があるのか?とも思われでしょう。
安心してください、甘柿が熟されていく間にシブオールは不溶性に変化し、渋みが感じられなくなるだけで、柿の果肉にはしっかりとシブオールが残っています。因みに、渋柿の場合は、水溶性のままのため、口の中でタンニンが溶け、渋みを感じるのです。
二日酔い対策に、渋柿じゃなくても甘柿を食べて、その効果を期待しましょう。
【4】高血圧や動脈硬化予防
柿には、カリウムが比較的多く含まれています。私たちが過剰摂取しがちな塩分(ナトリウム)を体の外に出す働きもしてくれています。
過剰ナトリウムを排出することは、高血圧予防にもつながります。
柿にはビタミンC、β-カロチン、β-クリプトキサンチン、タンニンのシブオールなどを含んでいますが、そのすべてが抗酸化作用をもっています。
抗酸化作用を働かせると、血液がサラサラになったり、血管に脂肪が付着、蓄積するのを防いでくれ、動脈硬化予防にもつながります。
結果、さらに心筋梗塞や脳梗塞の予防にも関連していきます。
【5】肌の乾燥や美白、シミ・シワ対策
ビタミンCは、抗酸化作用の他にも、シミ予防・美白効果にも効果があります。コラーゲン合成も助けてくれ、シワの予防、ハリアップなどにつながります。アンチエイジング効果や、活性酸素による肌細胞の劣化防止にも期待ができます。
また、ビタミンC以外にも、β-カロチンには、皮膚や粘膜を健康にし、肌の潤いを保つ効果があります。
β-クリプトキサンチンには、ヒアルロン酸の増加やメラニン色素の生成を抑制する効果があるとさされています。
これらの美容成分がしっかり含まれた柿を食べて、美肌やアンチエイジングの面でもしっかりとその効果を実感してみましょう。
食べ過ぎに要注意!柿が持つ副作用とは?
柿には健康や美容にもとっても良い成分が含まれていることがわかりましたが、やはり食べ過ぎには注意をしないといけません。
通常、一日に1~2個程度を食べるのであれば問題はないですが、食べ過ぎた時には以下の症状が発生することがあります。
(1)タンニンの摂り過ぎが、貧血と便秘を招いてしまう
貧血気味の方は柿の食べすぎに注意しましょう。柿に含まれているタンニンには、鉄分吸収を阻害する可能性があります。タンニンには整腸作用もあり、下痢気味の方には改善効果もありますが、逆に、食べ過ぎてしまうと便秘につながってしまう可能性があります。
(2)体を冷やし下痢になってしまう
柿は、体を冷やす食べ物としても広く知られています。妊婦さんが柿を食べすぎると流産するとも言われるのは、柿が体を冷やしてしまうことから生まれた言葉です。
お腹を冷やすことから、下痢にもなりやすいとされています。特に胃腸の弱い方や妊婦さん、産後のお母さんは、冷えや下痢には注意が必要です。
しかしながら、柿は干すことによって冷えをなくすことができます。
体の冷えが気になる方で、柿の栄養をしっかりと取りたい方は、干し柿にしてから食べるようにするといいかもしれません。
柿の栄養成分、効果まとめ
私たち日本人にとっても身近な秋の果物である柿には、多くの栄養素が詰まっています。だんだん寒くなっていく秋には、柿で風邪を予防し、健康ン抵抗力を維持したいものです。
柿に多く含まれるビタミンC。抗酸化成分のビタミンEとの同時摂取でより高い抗酸化作用が期待できます。
ビタミンCやEは、今や女性の間では大注目のビタミンです。
ただし、食べ過ぎには注意!
副作用も招きかねないので、体調とよく相談しながら、その食べる量には十分気をつけるようにしておきましょう!
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(By ゼウス23世)