若年性乳がんの話題が大きく取り上げられ、若い女性にとってはとても怖い存在となってきました。この増加の傾向は日本のみならず、世界的な傾向のようです。
ワシントン大学のレベッカ・ジョンソン博士の研究によると、1976年には25歳~39歳の女性の乳がん率が10万人あたり1.53人だったのが、2009年には同10万人あたり2.9人と、年2%の割合いで増え続けているというのです。
年2%の増加率とはさほど大きく見えないですが、その傾向が落ち着く気配がないというのが気がかりです。
日本においても、若年性ではないにしろ、乳がんの発症率は14人に1人 (7%)と増加傾向にあります。
- 乳がん増加の背景に何があるのでしょうか?
- 食生活の問題が指摘されていますが、どういうことでしょうか?
今回は、海外サイトの情報も含めて調査してみた内容をご紹介してみたいと思います。
この記事の目次
若年性乳がんとは
世界的には平均25歳で発症する乳がんを若年性乳がんとする傾向(”Secretory breast carcinoma”、”Juvenile breast cancer”)が強いようですが、日本で言う若年性乳がんとは主に『34歳以下で発症する乳がん』を指しています。
活性が強く発見した時には既に進行している場合が多い。浸潤(しんじゅん)がんと呼ばれる血液やリンパ液の流れに乗って他の臓器へ転移するケースが多いのが若年性乳がんの特徴と言われています。
日本人に乳がんが増える原因
◎ 西洋化された食文化が浸透し、高脂肪の食べ物や、高カロリーの食べ物が増えたことが大きな要因の一つだと指摘されています
◎ また、初潮が早まり、一生涯での月経回数が550回にも上るようになったこと。これは「卵胞ホルモン」とも呼ばれる”エストロゲン”との関係です。より早期に初潮が始まる、または通常より遅く更年期に入った女性は長期にエストロゲンにさらされている関係で、乳がんを発症するリスクが高いとされています。
◎ 痩せている女性より肥満傾向にある女性のほうが、乳がんを発症するリスクが高いことも指摘されています。
◎ また、不規則でストレスが多い毎日の生活
といったものも、日本で乳がんが増えている原因であろうと言われています。
中でも食事が大切だと言われるが・・
こんな話題もあります。
『伝統的な日本料理を食べて育った日本人女性の乳がん発生率はアメリカ人女性の4分の1だったが、その娘たちが渡米してアメリカで西洋的な食文化を始めると、あっという間にアメリカ人女性と同じ確率で、乳がんを発症してしまう・・・』
その真偽は定かではありませんが、米国のサイトではこのような事実から、がん予防に”食べもの”が非常に重要だと主張しているメディアサイトも多く見受けられます。
ある研究では、食事を変更することによって100件中9例(9%)のガン患者の予防ができる可能性があると推測しています。
また、肥満例100件中の5例(5%)は、がんを避けることができるとする研究もあります。
引用:UKがんリサーチより (http://www.cancerresearchuk.org)
やはり適正体重を維持すること、その意味も含めて食事を考えることはがん予防のための大きなウェイトをしめていることがわかります。
効果的な予防法は?
残念ながら食べ物や食事だけによって、乳がんの病にかかることを完全に防ぐことはできません。
しかしながら食べ物を考えることによって、体の健康を維持し、免疫力をつけることは乳がんになる可能性を低く抑えることに役立つのは事実です。
また、発症してしまったがん細胞を食べ物によって治すことはできませんが、がん治療における副作用を軽減したり、治療後の体力回復に役立つものも多くあります。
食事で積極的に摂りたいもの/気をつけたいこと13選
乳がん予防に関する特筆すべき食材、食事法の情報を集めてみました。
もちろん、がん予防に対する食生活の見直しの面では、いろいろ大切な栄養素をバランス良く摂ることが基本であることは言うまでもありません。
【1】 豆類、全粒紛も摂る
米国の研究では、様々な食べ物、特に果物、野菜、豆類、全粒粉などから必要な栄養素をバランス良く摂ることは、カラダに必要なエネルギーのみならず、メンタルヘルスにも良いとしています。
加えて、農薬を使った動物実験からも、オーガニック、グルテンフリーの食べ物は不健全な細胞変化を防ぐために良いとしています。
【2】 高脂肪な食べ物を減らす
ヨーロピアンがん予測調査機関(EPIC※)によると、45に及ぶ概要研究にて、より脂肪分を食べていた女性は、更年期後の乳がんリスクが高いことが報告されています。
特に飽和脂肪の摂取量が多い女性は、乳がんのリスクが2倍になるとしています。
※EPIC(European Prospective Investigation into Cancer)ヨーロッパ規模の研究プロジェクト、生活習慣とがん関連の研究。ヨーロッパ10カ国約52万人が参加している。
【3】 大豆の摂取量を増やす
英国がんリサーチ、アメリカ国立癌研究所、シンガポール国立大学が共同で作成した2002年7月の共同研究報告によって、大豆の摂取量が高い女性は、食べていない女性よりも高密度の乳房組織が少ないことがわかりました。
乳房組織が高密度になると、乳癌リスクが高まるとされています。
様々な角度からの研究結果も組み合わせることで、大豆食品の多くを食べるアジア女性は、乳癌リスクが低く、食べない他の地域での乳がんリスクが懸念されています。
【4】 砂糖、炭水化物
砂糖および炭水化物と乳がんとの直接的な関連性はまだ正確に見いだされていません。
しかし、2009年米国の中国女性に対する研究では、高炭水化物の食事をしてきた50歳未満の女性は乳がんリスクが高まっていると報告されています。
また、EPIC(ヨーロッパがん研究)では、高炭水化物の食事は女性のエストロゲン受容体陰性乳癌と呼ばれるタイプの乳がんリスクを増やす原因になると指摘しています。
砂糖を食べることによって、体重が増えた閉経後の女性の乳がんリスクも上昇することも示されています。
【5】 食物繊維
食物繊維は、果物、野菜および穀物食品(主に小麦粉およびすべてのパン、特に全粒粉)に含まれています。
毎日25g以上の繊維質を含む食事は、閉経前の女性の乳がんリスクを低下させるという証拠がいくつか出ています。
小麦ふすまの繊維質を食べることが、閉経前女性の血液中のエストロゲンレベルを低下させる効果があることが報告されています。血中のエストロゲンレベルを下げることは、
乳がんリスクの軽減に役立ちます。
なぜ小麦繊維質がエストロゲンレベルを低下させる効果があるのか、まだはっきりと分かっていませんが、繊維質そのものよりも、脂肪分摂取が少なく、抗酸化性が高いことが理由である可能性もあるとしています。
【6】 植物エストロゲン
世界各地の乳がんリスクの研究のため、科学者は今「植物エストロゲン」が乳がんに与える影響を調査しています。
植物エストロゲンは植物に含まれる化学物質で、これらは女性の性ホルモンのエストロゲンと同じ構造を持っているようです。
さまざまな種類の植物エストロゲンがありますが、大豆製品(イソフラボン)、亜麻仁リグナンの繊維質、全粒粉、果物、野菜に含まれています。
大豆イソフラボンは、先に述べた通りアジア女性に人気で、亜麻仁リグナンは欧米女性の間で多く摂られている植物エストロゲン。
2009年の研究では、亜麻仁リグナンを多く摂取している閉経期女性の乳がんリスクがわずかに低かったことが報告されています。
いずれにしろ、大豆イソフラボンおよび亜麻仁サプリメントから得られる植物エストロゲンを定期的に摂取すると、エストロゲンレベルの低下に効果があることがわかっています。
【7】 カロテノイド
カロテノイドは、ニンジン、サツマイモ、ホウレンソウ、ケール、グリーン、パパイヤ、ピーマン、トマトなどに見られる有機色素です。
公表されたある研究結果によると、血液中のカロテノイドレベルが高い女性は、乳癌リスクが低い可能性があることが指摘されています。
【8】 フラボノール、フラボン類
フラボノールおよびフラボンは、植物中に含まれる栄養素であり、フラボノイドまたはバイオフラボノイドとも呼ばれます。
- フラボノールは、タマネギ、ブロッコリー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、果物に
- フラボンは、芳香ハーブ(パセリなど)、セロリ、カモミールティーに
多く含まれます。
多くのフラボノイドが含まれる食品を食べている人は、食べていない人よりも乳がんリスクが低いことが指摘されています。
【9】 体重の維持
体重は初回乳がんの発症リスクと再発リスクを軽減するとされています。
健康な体重を維持することは、乳がんリスク、再発リスクの両方に効果が期待されます。
食べ過ぎによる肥満をさけること、低脂肪食、また様々な食品をバランス良く食べることが多くの予防学の基本となっています。
【10】 発がん性物質、トランス脂肪酸を避けるのは当然のこと!
人工甘味料、加工肉、焦げた薫製食品など発がん性が指摘されている多くの食べ物、遺伝子組み換え作物、トランス脂肪酸を含む悪い油などは、乳がんのみならず、カラダの活性酸素の産み、免疫力の低下原因にもつながります。
【11】 脂肪摂取量
乳がんは、食物を中心とした食事が中心で、脂肪分の摂取量が低い国ではあまり多い病気ではないのは事実です。
かつての日本もそうでした。
米国の成人女性における研究では、脂肪摂取量と乳がんの発症リスクの関連性はまだ明らかにされていませんが、思春期に、多くの脂肪分をとっていた女の子は、肥満や過体重になっていなくても、後に乳がんを発症するリスクが高いことが指摘されています。
また、太りすぎによって、余分な脂肪細胞がエストロゲンを産んでしまう事実は明らかになっていますので、やはり高脂肪分の食事はさける必要があります。
高脂肪分の食事には、油、バター、マーガリン、肉、魚、ナッツの脂肪も含まれています。
また、お菓子やビスケット、ケーキなどにお隠れた多くの脂肪分があることを忘れないでください。
【12】 フルーツ
果物を多く摂取する女性も乳癌リスクが低いと言われています。これは、含まれている繊維質および、抗酸化物質のおかげであると考えられています。
抗酸化剤は、細胞が酸素と結合する時におこる体内の「酸化」を防いでくれます、
酸化は、細胞の遺伝子損傷を引き起こす危険性があり、それが癌につながる可能性も指摘されています。
酸化防止性の強い栄養素は、ビタミンA、CおよびEおよびセレンになります。
果物や野菜を中心にした食事は、多くの場合脂肪を確実に減らしてくれ、健全な体重維持に役立ちます。これが乳がんのリスクを減らすのに役立ちます。
【13】 過度なアルコール摂取は控えましょう
最後に、アルコール摂取は控えめにしておきましょう。
毎日ビールジョッキを2杯以上、日本酒2合以上を好んで飲む方は、乳がん発症リスクが高まることも指摘されています。
そして、適度な運動を行うことも忘れずに。適度な運動は体重の維持のみならず、メンタルヘルスにも良い影響があります。
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まとめ
実は私の母親も生前、乳がんをわずらって切除手術まで行いました。
悲しそうな母の顔を今も思い出します・・
今はその時代よりも若年性の問題が大きくなって、その増加傾向まで考えると、何らかの原因解明や、効果的な治療法の確立が女性のために望まれています。
芸能人の方の闘病ニュースなども、報道されるたび心が痛みます。
食事法の改善効果についてはまだまだ世界的に研究段階の情報です。ですが、少なくとも海外での研究が進んでいるように思えましたので、海外情報を調べてご紹介しました。
少しでもご参考になれば幸いです。
<参考文献>
http://www.breastcancer.org/tips/nutrition/reduce_risk/reduce_risk
http://www.cancerresearchuk.org/about-cancer/type/breast-cancer/about/risks/diet-and-breast-cancer
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2894028/
(By ゼウス23世)