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バターとは?有塩、無塩、発酵バター等の分類、違いと上手な使い分け方!

お菓子作りや料理などに欠かせない存在のバターですが、バターとはそもそも、どのように作られるものなのでしょうか?

また近所の食品スーパーなどにも、有塩無塩発酵など複数種類のバターが並ぶようになりました。これらは一体何が違うのでしょうか?バターはとっても身近な存在なのですが、これらを詳しく調べてみると意外な事実もわかってきました!

今回は、バターとは?有塩、無塩、発酵バターなどの種類とそれぞれの使い方についてご紹介していきたいと思います。

この記事の目次

バターとは?その種類

【1】 バターとは何か?

あなたもよくご存知の通り、バターとは牛乳から作られる乳製品の一種です。バターは、牛乳から分離したクリームの部分である“乳脂肪分の粒”を練って固めて「塊にしたもの」です。日本では、“乳及び乳製品の成分規格等に関する省令”により、「乳脂肪分が80%以上、水分が17%以下の基準を満たしているもの」がバターとして認められています。

バターの主成分は“乳脂肪”で食用とされる油脂類の中では消化が良く、エネルギーへの変換効率も良いとされています。また、ビタミンAやビタミンC、Eなどの栄養素が含まれています。

様々な料理に使用されるバターですが、特に洋菓子作りやパン作りには無くてはならない存在です。バターには、油脂類では珍しく、揮発性脂肪酸という成分が含まれており、熱を加えることでサクサクとした食感や、しっとりとした食感を引きだすといった特徴があります。

【2】 バターの製造工程

次に、バターの製造工場では、どのような工程を経て、バターが造られているのか簡単にご紹介します。

工 程

内 容

分離

生乳から遠心分離によりクリームを分離します。

殺菌・冷却

クリームを95℃で60秒間加熱殺菌し、脂肪分酵素のリパーゼを失活させ、保存性を高めます。その後、すぐに5℃前後に冷却します。

エージング

冷却したクリームを5℃前後のタンクで8~12時間低温保持します。この間にクリームの脂肪分が結晶化し、形や大きさが一定になり脂肪球が安定します。

チャーニング

(撹拌)

エージングしたクリームを10℃以下の温度で激しく撹拌します。この工程で、脂肪球皮膜タンパク質を除き、脂肪球を凝縮させて直径1㎝程度のバターの粒を作ります。

この工程で出た、バター粒以外の液体は、バターミルクと呼ばれ、液状もしくはパウダー状にして業務用に利用されます。

水洗

バターの風味をよくし、硬さを調節するために、バター粒を冷水で洗い、バターミルクを完全に除きます。

加塩

バターの保存性を高め、味わいをよくするため、食塩を添加します。

ここで、食塩を添加しない場合は、無塩(食塩不使用)バターとなります。

ワーキング

(練圧)

バター粒を練り合わせて、含まれている水分や塩分を均一にし、滑らかで良質のバターに仕上げます。

充填・包装

出来上がったバターを用途別に大きさや形をわけ、包装・貯蔵します。

【3】 バターの種類 ~有塩バターと無塩バター、発酵バターの違いとは?~

バターには、製法や添加するモノの違いから、以下のように分類されます。

(1). 製法による分類 

バターの種類

特 徴

発酵バター

原料となるクリームを乳酸菌で発酵させてから作られたバターです。発酵バターはプロピオン酸や酪酸という物質が一般的な製法のバターよりも多く含まれ深いコクと味わいがあり、ヨーグルトのようなさわやかな芳香が特徴的です。ヨーロッパのバターはこの発酵バターの方が主流です。また、ヨーロッパでの発酵バターの歴史は古く、当時は人工的に乳酸発酵を促すのではなく、牛乳からクリームを分離するまでに時間を要したため、自然と乳酸発酵が進んだクリームを使用してバターを作っていました。発酵に使う乳酸菌の種類で、味わいも異なってきます。

非発酵バター

乳酸発酵させないクリームを原料としている、クセのないバターです。

ホイップバター

気泡を含ませて柔らかくしたホイップ状のバターです。低温で固まってしまうバターを使いやすくするために開発されました。

グラスフェッドバター

穀物飼育の牛ではなく、放牧された牧草飼育の牛から採れる牛乳を使用して作られる、今大変注目されているバターです。栄養が高く、香りやコクがあり味も良いバターです。

その他、商品名にバターと表示されていても、“バター”ではなく、“乳及び乳製品を主要原料とする食品”に分類されているものがあります。例えば、①乳脂肪を減らしてカロリーオフにしたものや、②レーズンなどのフルーツやはちみつ、ニンニク、ハーブ類、香辛料を加えた“フレーバーバター”などがそれに該当します。

バターの代替え商品としてマーガリンがありますが、マーガリンは乳脂肪分の要素を含んでいません。マーガリンに使用する油脂は牛乳由来のものでなくとも、菜種油でも、パーム油でも、大豆油でも、コーン油でも、油脂ならば何を使用してもマーガリンに分類付けされます。ですので、香りや風味、コクなどは感じられず、非常にさっぱりとしており、バターに近づけるために後からわざわざ香料が添加されたりしています。

(2).   食塩添加による分類 

バターの種類

特 徴

有塩バター

(加塩バター)

1.5%前後の食塩が添加されているバターです。保存性を高めるために食塩が添加されています。また、食塩が添加されることで、風味が増し味わい深くなります。また、保存性も高まります。

無塩バター

(食塩不使用バター)

有塩バターのように、食塩を添加していない生乳由来の成分のみを原料としたバターです。(実際は、牛乳には微量に塩分が含まれているため、塩分ゼロではありません。)塩分が添加されていないので、有塩バターに比べて保存性が低いのがデメリットです。

日本の市場で流通しているものは、非発酵バターが主流です。一般的に日本の家庭で最もよく購入されているバターは、非発酵の有塩バターです。

有塩バターと無塩バター、発酵バターの特徴を活かした使い方

次に、有塩、無塩、発酵バター、それぞれの特徴を生かした使い方をご紹介します。

バターの種類

使い方

有塩バター

製菓用では、塩分が強すぎる有塩バター。トーストやパンケーキにつけたり、料理に使用するのがお勧めです。食材にコクや甘味を加え、素材の味を引き立ててくれます。

無塩バター

主に製菓・製パン用に使われ、どんなお菓子やパン類でもオールマイティーに使用できるバター。また、病気などで塩分制限をしている方にもおすすめのバターです。

発酵バター

発酵バターは、バターならではの豊かな香りが特徴です。トーストにつけたり、プレーン味のクッキーやクロワッサンなどバターの風味を生かしたい料理におすすめです。

例えば、シュー生地やクッキー、スコーンなどを焼くときには、一般に無塩バターを使用しますが、もちろん有塩バターでも発酵バターでも同量を使用することで作ることはできます。しかし、1.5%もの食塩が含まれる有塩バターを使用すると塩分が多めで、しょっぱく感じたり、クドく感じたりします。

発酵バター(食塩不使用のもの)を使用すると、コク深いバターの香りと、独特の風味を感じ、リッチテイストになります。特に、プレーン味のクッキーやクロワッサン、マドレーヌ、フィナンシェなど、シンプルな素材のお菓子によく合います。しかし、発酵バターは香りが強いため、他の香り(紅茶、抹茶、カカオ、果実の風味など)を引き立たせたい場合は、非発酵のバターを使用することがおすすめです。

問題となるのは、パンやケーキのスポンジなどふっくらと仕上げたいものに有塩バターを使用してしまう場合です。食塩が小麦粉に含まれるグルテンの働きを高めてしまうため、生地に粘りが出てしまい、ふっくらとした仕上がりにならず、膨らみが悪く硬いパンになってしまいます。

以上を踏まえると、製菓・製パン用に使うバターには、有塩のものはあまりおすすめはできない、ということになります。

バターの分類、特徴と使い方まとめ

バターには、それぞれの種類と料理ごとに向き不向きというものが実はあります。

バターは昔から非常に身近な存在で、頻繁に使用している家庭も多いのですが、近年になって売られている種類も増え、海外バター製品のグラスフェッドなど良いモノも増えてきました。

バターの特徴を知ると、料理やお菓子作りの出来栄えもレベルが上がりそうです!

特に、発酵バターなどは、製品によってかなり風味が違いますので、好みのものを探したり、作るものによって変えたりするのも良いかもしれません。

是非、料理ごにバターを巧く使い分け、あなたの料理レベルのアップを図ってみてくださいね♪

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(By ディオニソス)

 

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