カゼインって何?グルテンとの違い、カゼインを多く含んだ食品とは?
“カゼイン”という成分名をご存知でしょうか?動物性タンパク質に含まれている成分の一つで、身体を構成するために必要不可欠なものです。しかし、カゼインとは身体にとって、有用なだけでしょうか?よくグルテンと同様な扱いをされていますが、グルテンとカゼインとはどのように違うのでしょうか?
今回は、
- カゼインとは?
- グルテンとの違いと相違とは?
- カゼインを多く含む食品にはどのようなものがあるのか?
についてご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
カゼインとは何か?
【1】カゼインとは?その特徴
カゼイン(casein)とは、牛乳やチーズなどに含まれているリンタンパク質の一種です。牛乳に含まれているタンパク質の内、約80%はこのカゼインになります。(残りの20%は乳清タンパク質(ホエイ)です。)カゼインは、水に溶けない性質で、酢などの酸を加えることで凝固・沈殿する性質があり、チーズの原料となります。一般には、乳固形分と呼ばれるものの主要成分のひとつで、単一のタンパク質ではなく、大きく分けてα-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼインに分類され、体内で分解されるとそれぞれペプチドが形成されます。このペプチドは、カルシウムやナトリウムの吸収を促進し、免疫力を強化するなど様々な効果があります。
牛乳は、必須アミノ酸9種類を全て含む食品です。身体を作ることを目的とするプロテイン商品にはカゼインを中心に原料使用しているものも出回っています。スタミナをつけたり、疲労回復の効果も期待でき、消化吸収が緩やかに進むため、筋肉の成長のためにアスリートなどに好まれています。また、就寝前に飲むと、カルシウムと密接に結び付き、ゆっくり吸収させる性質があります、他にも、安眠効果や就寝中に疲労を取り除く効果もあります。カゼインの欠乏は、腸のぜん動運動が抑制されず、栄養素の消化吸収が低下すると言われています。
【2】 カゼインは本当に身体にいいのか?
カゼインは様々な形で身体に良い影響を与えてくれます。しかし、その一方で、“身体の不調”を引き起こす原因にもなる物質でもあります。
(1)リーキーガット症候群の原因に
カゼインには粘性があり、腸から吸収されにくい性質があります。腸から吸収されないカゼインは、時間が経過することで腐敗していきます。腐敗したカゼインをそのまま腸にとどめると、腸が炎症を起こします。ひどい場合、腸壁にある粘膜を傷つけ穴が開き、内容物が血液中に流れてしまう(リーキーガット症候群)になる可能性もあります。このように、傷つけられた腸のままでは、色々な栄養素を摂取しても、吸収されずに排出されてしまいます。
(2)アレルギー疾患の原因に
カゼインは、加熱してもアレルゲン性が低下しない成分で、粒子が細かく腸壁をすり抜けやすく、悪い菌と共に血管に流れ込む可能性もあります。血液中に流れ出してしまった、カゼインと悪い菌は、敵とみなされて身体が排出しようと攻撃します。アレルギーの症状が出てしまうと、下痢や頭痛、肌荒れ、疲労など様々な症状が現れ、ひどい場合はアトピーや花粉症、喘息などへと発展してしまいます。カゼインアレルギーを引き起こす原因となるのは、α-カゼインと言われています。
以前は、ほとんど見られなかった子供のアレルギーですが、食生活が大きく変化した近年の日本では、子どものカゼインアレルギーも増加しています。
(3)脳への影響と発達障害の原因に
血液に流れ出てしまったカゼインや悪い菌は、やがて血液にのって脳まで到達します。脳に運ばれたカゼインは、麻薬成分と同じ効果のあるカソモルフィンという物質を作り出し脳内物質の分泌に影響を及ぼします。これは、自閉症やアスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥・多動性障害)や統合失調症などの原因になると言われています。
子どもが大量にカゼインを摂取すると、アレルギーだけでなく、神経系の働きに支障が生じ、上記のような発達障害の原因となることが分かっており、カゼイン摂取には注意が必要と言わざるをえません。カゼインフリーを一定期間試したところ、アレルギー症状などの身体の不調や発達障害の症状が改善されたという例は、珍しくありません。
(4)癌の原因に
研究段階ではありますが、カゼイン摂取量が多くなればなるほど、大腸がん、乳がん、前立腺がん、白血病などの癌発症率が高まるという研究結果も報告されています。
カゼインとグルテンとの違い、相違とは?
カゼインが、牛乳やチーズと言った乳製品に含まれる動物性タンパク質の一種であるのに対して、グルテンは、小麦やライ麦、大麦、押麦、丸麦、ソラマメなどの穀物の胚乳に含まれる植物性のタンパク質の一種です。小麦に含まれるタンパク質の内、約80%がグルテンです。
小麦グルテンのアミノ酸スコアは、必須アミノ酸のリジンやスレオニンが不足しがちなため45程度であるのに対して、カゼインのアミノ酸スコアは100でカゼインの方が、必須アミノ酸のバランスがよく、高タンパク質(アミノ酸スコアが高く質の良いタンパク質)であると言えます。
カゼインとグルテンには、いくつかの違いはありますが、似ている部分もあります。タンパク質の構造の一部が非常によく似ているため、カゼインかグルテンどちらかに炎症反応が起きている場合、人の身体は区別できずにもう一方でも炎症反応を起こしていまいます。カゼイン摂取による身体の不調やアレルギーなどの症状改善のために、カゼイン摂取を控えてもグルテンの摂取を継続していれば、同様の症状が出続けると言われています。どちらか一方を控えるよりも、カゼインとグルテンの両方の摂取を控えるほうが、症状の改善につながりやすいです。
カゼインを多く含んだ食品とは?
カゼインを多く含む食品には以下のような食品があります。
【1】 乳製品
牛乳や、コーヒー牛乳・フルーツ牛乳などの飲料、チーズ、スキムミルク、バター、生クリーム、アイスクリーム、ヨーグルト(生乳を使用したもの)のような、乳製品に非常に多く含まれています。
【2】 母乳
基本的に乳製品に多いことはすぐに納得できますが、母乳にも含まれていることに驚かされます。上記したように、カゼインは身体に必要な側面を持っていますが、身体に悪影響を及ぼす面も目立ちます。
- 人が生まれて初めて口にするママの母乳からは、カゼインの影響を及ぼさないのでしょうか?
まず、母乳に含まれる量は、牛乳の7~10分の1程度と、かなり量が少ないこと、母乳と牛乳のカゼインは、構造が異なることに大きな違いがあるようです。カゼインには大きく分けて3種類ありますが、アレルギーなどを引き起こすα-カゼインの含有量は、母乳は著しく少ないことが分かっています。母乳のカゼインは、きめが細かく消化器官の未熟な人間の乳児でも消化吸収することができますが、α-カゼインを多く含んだ牛乳は消化が難しいことが分かっています。
【3】 市販のパンや菓子類
市販されているパンや菓子類にも乳製品を使用する製品は山のようにあります。カゼインは、加熱してもアレルゲン性が低下しない成分ですので、パンや菓子に使用されている分の乳製品を摂取しているのと変わりありません。
【4】 カゼインナトリウムという添加物を含む加工食品
カゼインを添加物として使用する場合、カゼインにナトリウムを結合させたカゼインナトリウムが使用されます。カゼインナトリウムは、とろみをつけるための増粘剤、加工肉の形を維持するために使用する安定剤や粘着剤、本来混ぜることのできないものを人為的に混ぜるために使用する乳化剤などに使用されます。
これらの添加物を使用した例として、ハムやソーセージなどの加工肉、魚肉の練り製品、缶コーヒーやミルクゼリー、アイスクリームなどがあります。
カゼインナトリウムは、ナトリウムと結合することで毒性も高まるため、別の健康への悪影響も心配です。
カゼインとは、グルテン違い、多く含んだ食品まとめ
食物アレルギーとしては、卵に次いで多いとされるカゼインに対するアレルギー症状。
食の大変革が起こる以前の時代には全く見られなかった症状ですが、現代の時代では、国民的な大問題となりつつあります。
カゼインには、必須アミノ酸という身体に必要不可欠な成分がたくさん含まれており、アスリートなども好んで筋肉の成長を目的に摂取しています。その反面、カゼインの身体への悪影響も指摘されています。
乳製品や市販のパンや菓子類、ハムやソーセージなどの加工肉類など、非常に身近なところにカゼインは存在しています。どのような食品にカゼインが含まれているか、また、その弊害がどのようなものかも同時に考慮しながら摂取する必要があるのかもしれません。
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(By ゼウス23世)