ぜんまいは、春になると野山に芽生える山菜です。ワラビと並んで人気があり、日本全国で採取できる山菜ですね。きれいな渦巻き型の新芽はとてもユニークで、“銭を巻き”込むような格好をしていることから(その言葉がなまって)“ぜんまい”という名前になったそうです。
今回は、ぜんまいを使った人気料理10選、アク抜きの方法と乾燥・保存方法をご紹介します。
この記事の目次
ぜんまいの特徴
ぜんまいは、ゼンマイ科ゼンマイ属のシダ植物です。
ワラビなどと同様に、日本全国で採取でき、温かい地方で3月中旬~寒い地方で6月初旬ごろから旬を迎えます。
私たちが昔から親しみ食用としているのは、若い芽の部分で、まだ綿状の繊維で覆われた状態の新芽です。一般的にアクが強く生食することはなく(そのまま食べると中毒を起こす可能性もあります)、生のものを茹でたり、干したものを水で戻したりして食べます。豊富な食物繊維(不溶性食物繊維)が含まれ、腸の働きを活性させ、有害物質を吸着して排泄させる働きがあります。
参考記事
▶ わらびとの違いは?ゼンマイが持つ栄養素の特徴、効能、食べ方まで!
ぜんまいの調理方法と保存方法
【1】下処理
ぜんまいも、他の山菜類と同じようにアクが非常に強い山菜です。調理前の下ごしらえとして、アク抜きをしっかりと行わなければなりません。
まず、アク抜きの前に、
- 山でぜんまいを摘んできたら、綿状になった繊維を全て取り除きます。(この時、アクで手が汚れますので、ゴム手袋などをするといいと思います。)
- ボールに水を入れ、新芽の部分をゆすりながら、よく汚れを取ります
の下処理を行ってあげましょう。
【2】アク抜きの方法
次に、アク抜きの方法3選をご紹介します。
(1)重曹や木炭を使うアク抜きの方法 ~その1~
- 大きめの鍋に、たっぷりとお湯を沸かします。
- 重曹(水2Lに対して小さじ1/2)または木炭を入れます。
- 火を消さずに、ぜんまいを投入します。(熱湯がはねないように注意します。)
- 菜箸を使い、ぜんまいをかき混ぜながら均一に熱を通します。
- 沸騰直前に火を止めて、落し蓋(もしくはキッチンペーパーなど)を使ってワラビが水面から出ないようにしてから、自然に冷めるまで待ちます。
この時、鍋の大きさで火を止めるタイミングを調節して下さい。完全に冷めた時、余熱で火が通り過ぎないように注意して下さい。茹ですぎると歯触り食感が悪くなります。)
- 完全に冷めたら、水を新しく変えて更にさらします。(一晩くらいが目安)
- もう一度水を入れ替えてさらしたら完成です。
(2)重曹や木炭を使ったアク抜き方法 ~その2~
- 鍋に入れたぜんまいに、重曹もしくは木炭を振り掛けます。
- 熱湯を回しかけて落し蓋をし、一晩おいておきます。
- 翌日、水洗いして完成です。
(3)小麦粉を使ったアク抜き方法
- 大きめの鍋に、お湯、塩、小麦を入れ沸かします。(水1Lに対して、塩小さじ2、小麦粉大さじ4の分量です。)
- 沸騰したら、ぜんまいを入れ3分程度茹でます。
- その後、ぜんまいを取り出し、流水で10分程さらして完成です。(10分程度さらしてアク抜きが足りなければ、時間を足して調節します。)
以上の3通りが、アク抜きの方法。これを行うとそのまま食べることもできます。
【3】干し方乾燥保存の方法とは?
アク抜きが終われば、そのまま食べることができますが、古くからアク抜き後のぜんまいを干して乾燥させる習慣があります。天日干ししたものを“赤干し”と呼び、松葉などの焚火の煙で燻したものを“青干し”と呼びます。ぜんまいは、乾燥することで栄養価も高くなり、昔から、神経痛や腹痛に効くと言われていました。他にも、貧血や血圧降下、利尿作用、強壮など、薬効効果も高く、ぜんまいを常食すると健康に良いと言われ山村の保険食となっていたそうです。
(1)天日干しと乾燥保存
- アク抜きが終わったぜんまいの水気をよく切り、大きめのざるや新聞紙などに広げ日当たりのいい場所に干します。(雨の日は部屋の中に入れます。)
- 早く乾燥させるために、時々上と下を返しながら数日干します。
- 乾燥してきたら、手のひらで優しくこすり合わせるようにして、ぜんまいを撚り合せます。干しあがるまでに何度かよることで柔らかく仕上がります。
- 完全に乾燥したら完成です。
- 保存する時は、湿気が入らないように密閉して保存します。上手く保存できれば1年程度保存可能です。
(2)煙で燻す
山奥でぜんまいを摘んだ場合、天候が悪いために、すぐに天日乾燥ができません。そんな時は、青干し(煙で燻して乾燥)します。ぜんまいを茹でてから、火床を作って薪で燻します。それを持ち帰り天日乾燥させます。
【4】調理前の水のもどし方
干したぜんまいは、調理前に水でもどして調理します。
- 乾燥させたぜんまいは、たっぷりの水の中に2時間程度浸してから水を切ります。
- 沸騰している油の中に入れ、1~2分茹でて冷水に入れ、ザルに取ります。
ぜんまいを使った人気料理10選
(1)ゼンマイの佃煮
ぜんまいとあさりを使った佃煮です。アク抜きしたぜんまい、あさり、生姜を、酒・みりん・砂糖・醤油・唐辛子で味付けします。ぜんまいの食物繊維とあさりのミネラルで、貧血予防や疲労回復にも効果的です。しっかりした味付けで、ご飯も進みます。
参照レシピ ⇒ エキサイトウーマン
(2)ゼンマイのお手軽おひたし
白だしを使ってあっさりとお手軽に。
ぜんまいを水でもどし、すりおろし生姜を用意します。食べやすい大きさにカットしたぜんまいを器に盛り、かつお節とすりおろした生姜を乗せます。最後に白だしをかけて出来上がり。
シャキシャキとしたゼンマイの食感がクセになる一品です。
参照レシピ ⇒ 楽天レシピ
(3)ゼンマイの胡麻和え
通常の胡麻和えと違い、和え胡麻に味を付けずに、ぜんまいにしっかりと味をつけます。出し汁にみりん・酒・醤油を入れ、そこに、下処理したぜんまいを入れ煮込みます。しっかり冷めて汁気を切ったぜんまいと、擦っておいた胡麻を和えて出来上がりです。
参照レシピ ⇒ クックパッド
(4)我が家の常備菜 ぜんまいの煮物
常備菜としていかがでしょうか?ぜんまいと人参、糸こんにゃく、油揚げの煮物です。献立のあと1品はもちろんのこと、お弁当の具材、うどんのトッピング具材などなど、とても重宝します。
鶏肉や厚揚げなどを一緒に炊き込めば、ボリュームのあるおかずにも出来ますし、少し濃い目の味付けにして、白和えや胡麻和えなどの和え物にリメイクすることもできます。
参照レシピ ⇒ クックパッド
(5)豚肉とぜんまいの炒めもの
油との相性も良いぜんまいは、炒め物にも最適です。
市販の水煮ぜんまいの下処理としては、熱湯にぜんまいを通して水洗いし水気を切って使用します。豚肉、長ネギ、生姜とともに炒めて、醤油・酒・砂糖で味付けします。材料は、ぜんまいと同じ長さに揃えると、見た目も食感も良くなりますね。
参照レシピ ⇒ キューピー3分クッキング
(6)ゼンマイの炊き込みご飯
山菜を使った炊き込みご飯は定番ですね。
ご紹介するレシピの具材は、ぜんまい、油あげ、人参、ごぼう、みつばです。鶏肉や干し椎茸などを使ってだしを取るのもいいですし、蓮根やこんにゃくなどを加えて食物繊維をプラスするのもおすすめです。具だくさんの美味しい炊き込みご飯が出来上がります。
参照レシピ ⇒ エキサイトウーマン
(7)大豆もやしとぜんまいのナムル
ぜんまいは、韓国の料理にもよく使われます。下処理したぜんまいの水分をよく切って、調味料と和えます。ホウレン草や人参、豆もやしなど、それぞれ調味料の配合が異なっていますので、野菜ごとに違った味を楽しめます。食物繊維たっぷりの健康的なナムルです。
参照レシピ ⇒ クックパッド
(8)簡単 本格ビビンバ
お野菜たっぷり、色合いが綺麗な本格ピビンパです。
ぜんまいや他の野菜のナムル、キムチ、牛肉や豚肉などを使い、簡単に作れます。全て、塩・醤油・砂糖・酢・ごま油などご家庭にある調味料のみで作れますので、お店に行かずにお家で本格ピビンパが楽しめます。
参照レシピ ⇒ クックパッド
(9)韓国風牛肉とゼンマイのスープ
ぜんまいを使った韓国風のスープのご紹介です。牛肉、にら、ねぎ、卵、にんにくなども使い、スタミナも満点です。唐辛子を少し入れたピリ辛味で、食欲も増進します。
ピビンパや韓国風チヂミなど韓国料理のつけ合わせにいかがでしょうか?
参照レシピ ⇒ クックパッド
(10)簡単!ぜんまいとアスパラ菜の和風パスタ
ぜんまいは、スパゲティの具材としても美味しく頂けます。にんにく、醤油、バターを使って和風に仕上げます。油と相性のいいぜんまいは、醤油バターとの組み合わせもとても抜群です。山菜がたくさんある時に是非試していただきたい、おすすめの和風スパゲティです。
参照レシピ ⇒ エキサイトウーマン
ぜんまいのアク抜き、乾燥・保存方法、人気レシピまとめ
食物繊維が豊富な春の味覚、ぜんまい。
ぜんまいを使ったメニューもとても豊富にあるので、春の季節にはぜひ山菜摘みに出かけてみてください。
ぜんまいをはじめ、山菜系の食材にはアクが強いものがたくさんありますので、しっかりとアク抜きをしてから料理に使うようにしましょう。
また、アク抜きをしっかり行ったといっても、食べ過ぎると体調を崩したりすることもあるので、食べ過ぎにはくれぐれもご注意して下さいね。
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