今、グルテンフリーに続き「カゼインフリー」をうたっている食品が目につきはじめています。
カゼインはもともとアスリートやボディビルダーを中心に、積極的に摂取がすすめられてきたものですが、摂取については肯定的な意見と否定的な意見の両方が存在しています。
カゼインは消化吸収のスピードが遅いので、ゆっくりと筋肉の成長と回復をサポートできるとする一方、カゼインは危険だとする意見もあるのです。
カゼインフリー食品は、カゼインは危険だとする考え方に基づいた商品のようです。
- カゼインフリーっていったい何?
- 危険なの、大丈夫?一体どっちなの?
最新の議論では、カゼインについてどのように考えられているのでしょうか?もふくめてご紹介していきたいと思います!
この記事の目次
カゼインとは何か?
カゼインはタンパク質の一種で、牛乳に含まれています。
食品にとろみを加える増粘剤としてや、食品のタンパク質補助剤、加工品の保水効果を高める安定剤・結着剤として食品添加物に使われています。
また、筋力アップのためのプロテインにも配合されます。
牛乳からカゼインを単離させたカゼインプロテインも、国内外問わず認可されています。
食品に添加される場合は、カゼインにナトリウムを結合させ、水に溶けやすくしたカゼインナトリウム(Na)が多く使われています。
カゼインはタンパク質の一種なので健康にもいいイメージがありますが、実は牛乳アレルギーや乳製品アレルギーのリスク要因にもなっています。
カゼインはもともと人の母乳にも含まれているものなので、一言でリスク因子に分類されるのも可笑しい気もしますが、最近の研究でこのカゼインたんぱく質は危険性を潜めているということが指摘されはじめました。
カゼインの効果とは?
カゼインの効果はいろいろな分野でも利用されています。
カゼインは先にも述べたとおり、食品添加物として利用されています。また、材料化学の分野にも応用されています。
栄養補助剤として
カゼインは栄養価が高いタンパク質なので、カルシウム補給を目的とした栄養補助剤として使われています。
カルシウムと結びつきやすいという性質があるので、人がカルシウムを吸収するのにも役立つとされています。
安定化剤として
カゼインは水溶液の中で「ミセル」を形成するので、他の不溶性の物質の分散を助けて、水溶液の状態を長期間にわたって保つことができます。
この性質を利用した安定化剤として、加工飲料や乳液などの化粧品にも利用されています。
カゼインを含む食品の問題点
一方、直近の研究にてカゼイン食品が及ぼす危険性について、以下のような問題が指摘されはじめています。
【1】 癌の危険性?
T.コリン・キャンベル博士による「中国研究」にて、動物性タンパク質を摂取することと癌の発生に関係性があることが述べられました。
この研究ではガン発症のすべての段階で、カゼインが癌細胞を促進したことが述べられています。
植物由来のタンパク質が唯一安全なものだとキャンベル博士は結論づけています。動物実験では飼料中のカゼイン量によって、癌の成長もコントロールできたとしています。
つまり、カゼインをはじめ動物性タンパク質の摂取を避ければがんを回避できるということなのですが、このほかの研究ではカゼインと癌との関連について一切関係がないとするものも多くあります。
【2】 呼吸器系の問題
カゼインは粘液を形成します。
ヒトの母乳と牛乳を比べると、牛乳中に含まれるカゼイン量は3倍にも上るとされています。
カゼインの量が多いと、呼吸器系が詰まるような刺激を受ける可能性が指摘されています。
【3】 アレルギーと病気
呼吸器系が強い刺激を受けると、枯草熱、喘息、気管支炎、副鼻腔炎、風邪、鼻水、耳の感染症といった症状が現れます。そして、酪農製品に対する一般的なアレルギーの影響を受けやすくなります。
とくに今一番に問題視されているのが乳幼児のアレルギー
自閉症スペクトラム障害(ASD)の症状に、カゼインが関係しているとも言われています。
自閉症スペクトラム障害(ASD)とはコミュニケーションを円滑に行って、社会とのかかわりを保つことができなくなる発達障害になります。
この症状を軽減するために、子供にグルテンとカゼインを含まない食事療法を取り入れる親御さんも増えています。
ASD障害の子どもを持つ親がこの食事療法によって、症状改善がなされたと言う報告もあります。
カゼインと牛乳アレルギー
乳製品アレルギーの原因はα-casein(αカゼイン)であると言われています。
そのために現在では乳幼児用に、αカゼインを減らしたミルクなども販売されています。
グルテンフリー、カゼインフリーの食事が自閉症児にとって必要だとして、子供の毎日の食物摂取から小麦や大麦などに含まれるグルテン、乳および乳製品に含まれるカゼインを取り除いた食品が多く利用されはじめています。
しかし、自閉症とカゼインとの関係はまだ完全に証明されたものは無いようです。
自閉症児を持つ多くの親も、グルテンフリー、カゼインフリー食がすべての解決に役立つという意見には今の段階では疑問ももっているようです。
カゼインフリー食はアレルギー対策と考えた方が良い?
グルテンやカゼインはアレルギー疾患のみならず、自閉症、統合失調症などの精神疾患にも関係しているとする論文も多くあります。
そのため、グルテンやカゼインが何らかの関係があるものと疑ってかかるのは良いことだろうと思われます。
しかし、子供には古来から母乳を飲ませ、人類の歴史上1万年以上も前から乳製品をとり入れて生活をしてきました。
ですが、実際にはグルテンやカゼインによって、アレルギー反応を起こし、体調を壊す人も多くなりました。
原因の一つとして、現代人の腸が弱っていることを指摘する意見もあり、これならば納得性はあるように思えるかもわかりません。
胃腸の機能がきちんと働いていれば、カゼインを含むタンパク質を完全に消化できて、アレルギー反応も起こりません。
糖質の摂りすぎ、栄養不足、過度のストレスによって、胃腸機能が弱くなると、アレルギーが起こりやすいとされています。
グルテン、カゼインフリーのために、避けるべき食材は何?
(1)小麦、大麦、ライムギなどの麦類
- パン、スパゲッティ、うどん、肉まん、あんまん、ピザ、シリアル、ケーキ、クッキー、オートミールなど
(2)乳製品
- 牛乳、チーズ、ヨーグルト、アイスクリーム、ホットミルク
(3)グルテン添加をつなぎとして利用する加工食品
- 餃子、ハンバーグ、ミートボール、そば、ラーメン、マッシュポテト、アイスクリームなど
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カゼインフリー食/危険性まとめ
グルテンフリーに続きさまざまな議論がされている「カゼインフリー」ですが、今のところ、アレルギー対策として意識を向ける方が良さそうです。
しかしながら、自閉症児/精神疾患のための食事療法としても、グルテンフリー、カゼインフリーが取り入れられはじめています。
現代人のアレルギー症状は胃腸の弱まりが大きな原因だと主張する意見があります。
胃腸を強くて健康に保つことができれば、グルテンフリー/カゼインフリーの食事をとり入れる必要はないのかもわかりません。
なぜ今、カゼインが問題視されているのか、個人的な見解も含まれていますが、参考にしていただければ幸いです。
(By ゼウス23世)