シングルオリジンコーヒーとは?消費者への真のメリットは何⁉
「シングルオリジンコーヒー」という言葉があちこちのカフェで目につくようになりました。
なんでも、コーヒー業界に第三の波(サードウェーブ)が到来しているらしいのです。
そのサードウェーブの中心アイテムとして重要なのがこの『シングルオリジンコーヒー』ということらしい!
コンビニ大手のローソンがMACHI caféブランドで「シングルオリジンコーヒー」を売り出していて、今このコーヒーが評判ですよね!
- でも、そんなにシングルオリジンだと美味しいの?
- そもそもシングルオリジンコーヒーって何?
- 今までのコーヒーと何が違うのか?
- コーヒー業界が騒いでるだけで、消費者へのメリットがあるの?
と、疑問に思うことありませんか?
はい、当初私も相当にこれらの疑問をもっていました。
けど調べてみると、コーヒーを商売にする業者さんだけのメリットではなく私たち消費者にも恩恵がありそうです。
そこで、今回はこの「シングルオリジンコーヒー」のこと、何が違うのか、私たち消費者にとってどんなメリットがあるのか? などなどを、私的な考察をまじえてご紹介させていただきたいと思います。
この記事の目次
シングルオリジンコーヒーって何?
シングルオリジンとは、直訳すると「一つの産地」という意味になります。特定原産国の、特定エリアから採れる作物のことを「シングルオリジン」と定義しているようです。
コーヒー豆で言うと、どこの国のどのエリア、地域で栽培された1種の「コーヒー豆」を指しています。
けど、それだったら今までだって「キリマンジャロ」や「ブルーマウンテン」なんて地域固有のコーヒー豆ってありましたよね?それと何が違うの?
はい、私もそう疑問に思っていました。
そもそも「シングルオリジンコーヒー」っていう呼び方は、少し定義があいまいなところがあるみたいです。
いろいろ海外のサイトなども調べてみると、少しわかったことがあります。
1つは、コーヒー業界新時代の「サードウェーブ」にその呼び名の背景があること
2つ目には、厳密にはシングルオリジンよりさらに細かい定義があるということです
(1) コーヒー業界、新時代「サードウェーブ」とは
もう百年以上も、世界中でコーヒー文化が浸透してきています。その中でいろいろな潮流があるようです。第1の波から第3波まで・・・。
そして今現在は、セカンドウェーブ第2波が終わって、「サードウェーブ」第3波の流れに入ってきているんです。
『(1st )ファーストウェーブ』
19世紀後半から数十年前まで、世界の多くの一般家庭でも当たり前のように、コーヒーが飲まれるようになった時代。日本でも「違いがわかる男」なんてCMもありました。
主流のコーヒーは「ブレンド」や「アメリカン」といった単純なもの。加えて、家庭では、インスタントコーヒーなるものも登場してきました。
『(2nd) セカンドウェーブ』
スターバックス、タリーズなどシアトル系コーヒーチェーンが全盛となった時代。
深煎りコーヒーをベースに、ラテやエスプレッソなどの飲み方が広く提案されてきました。日本でもここ数十年の間で、昔ながらの喫茶店からおしゃれなカフェへと移行し、街中で広くカフェ文化が広まりました。
深煎りで濃い「エスプレッソコーヒー」を中心に、牛乳と合わせて飲む「カフェラテ」や「カプチーノ」またモカのアレンジなど、多様なコーヒーが人気となった時代です。
『(3rd)サードウェーブ』
ついにいよいよ、今突入しはじめているのが、コーヒー文化の第3波、「サードウェーブ」と呼ばれる時代です。
サードウェーブのコンセプトは、
- よりコーヒー豆の生産地や特徴にこだわったものを
- 特長に合わせて丁寧に焙煎
- より一杯一杯オリジナルなコーヒーの香りや個性を楽しむ
というものです。
もう少しひらたく言うと、大手がつくってる通り一辺倒のコーヒーの種類ではなくて、より個性豊かなコーヒーが豆から選べるようになるっていうことですね。
そして、このオリジナル性を実現するため必要なコーヒー豆が、「シングルオリジンコーヒー」ということになるようです。
(2) シングルオリジンコーヒーにもさらに細かい定義がある
シングルオリジンコーヒーというのは、お伝えした通り、その定義はあいまいでした。
コーヒー豆がつくられているエリア、種類が限定できる、オリジナリティが発揮できるというのがそのシングルオリジンコーヒーの目的ですので、一つの「農場」を指す場合もあるし、その「地域一帯」をさすといったこともあります。
さらに、このシングルオリジンとは違って、もっと特化して限定性を細かく区分するのが以下の定義です。
2-1 シングルエステート
- シングルエステートとは、特定農場の意味になります。シングルオリジンの一つの特定タイプとも言えます。ワインで言うならば、ワイナリーですね
- この特定の農場、農家さんが栽培しているコーヒー豆を指す場合に、シングルエステートコーヒーと呼ばれます
2-2 マイクロロット
- マイクロロットは、シングルエステートをもっとこまかく指定する言葉です
- 特定農場の中でも、さらに特定の農地に限定したもの、または収穫の時期を限定する。さらには、コーヒーの実がなる高さ、日当たりまでを限定するなど、といった細かい指定がなされた作物を、「マイクロロットコーヒー」と呼びます
シングルオリジンコーヒーというのは、時にシングルエステートも指すし、マイクロロットを指すこともある。総括的な名称のようです。
そして、結局このシングルオリジンコーヒーの目指すところは、以下の条件を満たすこと。
- 混じりっ毛のない、単一のコーヒー豆であること
- 生産している場所の特定、生産者の顔がわかる(トレーサビリティ)
- 生産者の技術による特長がより明確になったコーヒー豆
- なおかつ、その品質にブレがない
といった条件を満たすものが、「シングルオリジンコーヒー」と呼ぶにふさわしい新しいコーヒー豆ということなのだろうと思われます。
良くワインに例えられるけど、それは少し違うでしょ!?
このシングルオリジンコーヒーの流れは、先を行くワイン業界に似ていると言われます。ワインが広く好まれてきた歴史は、コーヒーのそれよりも古く、この「サードウェーブ」や「シングルオリジンコーヒー」の考え方は、ワイン業界にならった流れになっているのだとか・・
なるほど、ワインで言うならば、フランスボルドー産といった広い範囲のワインから、今は、特定ワイナリーの「シャトー」や「ドメーヌ」といった高級ワインが支持されている、そういうことなのか・・
確かにそう考えれば分かりやすいけど、一つだけ大きな違いがありますね。
というのも、ワインの場合はそのワイナリーで醸造され瓶詰めまでされるから、そのワイナリーの良さが消費者まで直結するけど、コーヒーの場合は、一般消費者に届くまえに、焙煎という大きなプロセスが発生します。その焙煎というのは、生豆の生産者ではなく、各消費地についてから行われます。
その焙煎をどう行うかが、ロースターと言われている人の役目。
そして、その豆の特長を活かすも殺すも、ロースターの手によって大きく変わるわけです。
なので、シングルオリジンコーヒーの場合も、誰がローストするのか?といった点で、大きく味の良さが変わってきます。
確かに従来のコーヒーでは、生豆を輸入した上島コーヒーやキーコーヒーさんなど大手メーカーが焙煎したもの、またスタバだって、世界中の味を決めている超優秀ロースター軍団の手によって決められたものを一律に飲んでいたことにはなります。
もちろん、自家焙煎をうたっている街のコーヒーショップでは、その店主が焙煎したコーヒーを楽しむケースもありましたが、それぐらい、コーヒーの味は、豆の個性にプラスして、ロースターさんの手腕、好みによって変わってしまうということです。
そこは、単純に良いシングルオリジンを使うから、味が良いと言われても納得できないポイントになります。
この違いは、ワインと一緒と言われても、少し違うでしょ? ということを私たち消費者も知っておく必要があるでしょう。
では、シングルオリジンは消費者にとって何が嬉しい点なのでしょう?
そうなんです。シングルオリジンコーヒーだからと言って、消費者が直接嬉しいのかと言うと、そうでもなく、自家焙煎を売りにしている小さなカフェや、差別化を図りたい新規参入者にとってのメリットも大きいことは否定できません。
なので、覚えておきたいのは、ワインと違ってシングルオリジンコーヒーを使ってるから美味しい、高いと言われても、消費者として納得させられててはいけない、という事です。
だって、ロースターでその最終コーヒーの味もかわるのですから、ロースターによっては、今までのブレンドコーヒーの方が美味しかった!なんていうことも十分にあり得るのですから・・
けど、ただそんな単純なものだけでもなさそうです。
以下の点については、私たち消費者にとってもシングルオリジンのメリットがあると言えそうですね!
シングルオリジンコーヒーの真の消費者メリットとは?
シングルオリジンコーヒーの時代に突入して、私たちが受けられるメリットは
① ロースターが使うコーヒー豆の選択肢が増えたことによって、私たち消費者も、多彩な味が楽しめる可能性が広がった
② ロースターによる焙煎技術も競われて高くなっていく
③ サードウェーブだからと言って、従来のラテやカプチーノがなくなるわけではない。ただ、選択肢が増えただけ
④ 豆の材料が増えることによって、従来のブレンドでもさらに美味しいスペシャルティコーヒーが提供されてくる可能性もある
➄ もちろん、自分で焙煎を楽しむような熱狂的なコーヒーファンのあなたにとっては、その作る楽しみが何十倍にもなる!
といったところでしょうか。
いずれにしろ、サードウェーブの到来、シングルオリジンコーヒーの浸透により
- 均一化されたコーヒー市場から多様化の時代へ
- 場面場面での楽しみ方のバリエーションが増える
- トレーサビリティが確保され、生産者と直結する
- そのことによって、有機栽培、オーガニック品などより安全性が確保されたもの、品質が良いものが手に入りやすくなった
といったメリットは私たちにも大いにあるのかな、と思います。
コーヒーも新しく多様性の時代!
シングルオリジンコーヒーという選択肢が増えることによって、私たちにも嬉しいメリットがたくさんあるということですね!
シングルオリジンコーヒーまとめ
なんだかんだと羅列してしまいましたが、結局は、
- シングルオリジンコーヒーなるものが出てきた
- ワインと違って、コーヒーは豆の質×ロースターによる技術が大切
- ただ高いコーヒーを提案されるのはイヤだ
- 選択肢が増える時代になったのは嬉しい
ということをお伝えしたかったのです(笑)
今回の記事作成にあたっては、何名からのコーヒー通にもお話を伺いする機会がありました。結果、当初のイメージとは違った見方ができて良かったです。感謝いたします。
さあ、コーヒー党の方だけじゃなく、私たちもまだ始まったばかりのシングルオリジンコーヒーによる新コーヒーの時代を引き続き楽しんでいきましょう♪
(By ゼウス23世)