低GIでインスリン反応も抑えられ、糖尿病にも良いとして人気のアガベシロップ。
日本ではまだ多くのショップや、通販サイトでも見受けられますが、世界市場では2010年をさかいに、人気は極端に下がっていると聞きます。
米国では悪名高い”コーンシロップ”よりも害があって、「危険な甘味料」とさえ呼ぶドクターもいます。
日本ではまださまざまなアガベシロップが売られていて、あるサイトでは米国セレブが絶賛中?だなんていう宣伝文句も・・
はて!?米国サイトのどこを見ればそんな情報があるのでしょうか?という感じもしてしまいます。
今回は、世界では当たり前に議論されている「アガベシロップ」にまつわる害、危険性について、調べた内容をご紹介したいと思います。
この記事の目次
アガベシロップって何?
竜舌蘭(リュウゼツラン:Agave Tequiliana (Tequila) plant)と呼ばれる植物の樹液から作られる甘味料が「アガベシロップ」です。「テキーラ・リュウゼツラン(ブルーアガベ)」、「アガベ・サルミアナ」などといった種類のリュウゼツランがあり、ちょうど大きめのアロエベラのような植物で、南メキシコ地域に広く生えている植物です。
メキシコで大規模な山火事が起こった際に、生えているアガベから強烈な甘い香りが漂いました。そこからアガベが糖分を持ち、熱が加わると甘くなるのが偶然発見されたことがきっかけと言われています。
メキシコでは、もう何百年もの間、アガベシロップは使用されてきました。
あのアルコール度数の高い「テキーラ」を作る原料にもなっています。(アガベシロップを発酵させてテキーラを作ります)
健康甘味料として人気
アガベシロップの特長としては、何と言ってもグルコース(ブドウ糖)成分が少なく、糖の大部分がフルクトース(果糖)から出来ているため、GI値が他の砂糖製品よりも低い甘味料という点が大きな特長です。
それでいて、甘味は砂糖の1.5倍もあって、水に溶けやすいさらっとしたシロップです。
<糖成分>
- 果糖 56~90% (97%とするサイトもありました)
- ブドウ糖 16~20%
※メーカーや使用するアガベの種類によって、数値には幅があります。
アガベシロップは、90年代から20010年にかけて、高果糖で、糖尿病にも優しい「健康甘味料」として人気を博しました。
なぜ突然害があることが見つかったのか?
(理由1) 果糖が高い製品が人体に及ぼす害が発表された!
きっかけは、2009年カリフォルニア大学で行われた、高フルクトース(果糖)製品が人体に及ぼす害の研究結果です。
この調査の対象は、果糖含有率が55%のコーンシロップの害についてでしたが、以下のような悪い結果が導かれたのです。
- フルクトースは短期的には、GI値も低く、インスリン上昇を引き起こさないが、長期的には脂肪肝を招き、中性脂肪の原因となる
- 結果的に、中性脂肪(トリグリセリド)がメタボリックシンドローム、心臓病につながる恐れがある
- フルクトースの過剰な消費は、尿酸を増やす
- フルクトースの過剰な消費は、血中乳酸を増やす
- フルクトースは、ショ糖に比べて体内のミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛)を奪う力がある
- 体の酸化ダメージを加速する
といったものでした。
これらの害に関する内容は、調査対象だったコーンシロップ製品のみならず、当然ながらそれより果糖比率が極端に高いアガベシロップに影響がないわけがありません。高い果糖比率を売りにしていた商品だと「97%」も入っているというアガベシロップ製品もありました。
今までこの高い果糖(フルクトース)比率によって「超健康な甘味料」と呼ばれていたのが一転して、悪い害のある食べ物だという呼ばれ方に変わってしまったのです。
(理由2) 自然甘味料とは呼べない!
さらには、シロップの ” 製造工程 ” の問題です。
実は、リュウゼツランの樹液から絞られた生の状態では、フルクトースの前駆体の「フルクタン」が含まれるのみで、甘みはまったくありません。
化学的に酵素分解、もしくは樹液を高温で煮詰めて初めて「フルクトース」が生成され、甘味のあるシロップとなるのです。
これらいずれかの処理プロセスがアガベシロップを作るのに必要なので、樹液の栄養素は、熱処理によって多くが変形、または失なわれてしまっている恐れがあることが指摘されました。
アガベシロップはいわば人工的に熱処理または化学処理されたもはや「人工甘味料」であるというレッテルが貼られたのです。
これでは、大切な甘味繊維である「イヌリン」も、シロップに加工された状態では壊されている可能性が高く、もはや自然甘味料ではない!?
という説が流れたのが2番目の理由です。
(理由3) 100%製品でないものが多い
アガベシロップのコストは安くはなく、当時市場に出回っていたアガベシロップは他のシロップや水分を混ぜたような「加糖品」「加工品」が多く出回っていたようです。
これらもアガベシロップの人気が落ちると同時に一気に表面化されてきた悪い情報なのだろうと思われます。
果糖といえば、果物やはちみつなどにも多く含まれているけど・・?
他の自然食品とは含有量がまったく違います。果物に含まれるフルクトースはほんの数%ですし、はちみつもグルコース(ブドウ糖)比率と同程度。しかも、他のビタミンなど栄養素、ミネラル、酵素などとも自然な状態で混在している形なので、その果糖分が与える被害は極めて少ないと考えられています。
とはいえ、果糖をはじめ糖質の ” 摂りすぎ “ には注意が必要です。
アガベシロップはもう買わない方が良いのか?
これらの害が報告されはじめるとアガベシロップは買わない方が良いのではと思われますが、調べると最近では、フルクトース含有率がコーンシロップ商品と変わらない50%程度の低フルクトース製品も出てきているみたいです。
加えて、原料もしっかり管理されUSDA(米国オーガニック認定)を受けたもの、かつ高温でなく低温加工でシロップ化されたもの等などが売られ始めています。これらであれば、上記の害の心配は大きく減るのかな、とは思いますが、その場合に「低GIシロップ」と呼べるのかどうかは個人的に疑問が残ります。
いずれにしろ、購入の際には、成分や認証表示などのチェックが大変重要だと思います。
しかし、米国では上記理由で人気がかなり落ちたのは事実だろうと思います。スーパーでも陳列はかなり少なくなった、売られているの?いう事も友人から聞いたことがあります。
マヌカハニーや、エクストラバージンオリーブオイルのように偽物の製品が、規制の緩い、また表示義務が不明確?な私たちの日本市場へ流入してこないように祈るばかりです。
アガベシロップの危険性まとめ
今回はアガベシロップを取り巻く害や危険性についてご紹介しましたが、日本においてはアガベシロップよりもコーンシロップなど果糖シロップを使った製品の問題の方が大きいかもわかりません。
果糖シロップは、多くの加工食品、飲料、エナジードリンクにも使われています。
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糖質を含めて、摂りすぎはよくありません。
一番良いのは糖類をまったく摂らない!っていうなのかもわかりませんが、それも現代では難しい問題ですよね。必要な時に少量だけ、という考え方を心掛けていきたいものです。
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