生活の質のことを、QOL(Quality of Life)と表現されるようになりました。
そして、適切な塩分摂取は、私達日本人の食生活の面で“生活の質(QOL)”や“健康”を維持するために欠かせないものだとも言われはじめています。
しかーし、その一方で塩分の摂り過ぎには注意!特に過剰摂取が続くと身体には大きな害となってしまう!という注意喚起は今に始まった話ではありません・・
塩は美味しい、そして必要!!
そしてせっかくだから美味しいお塩を正しく摂りたい!と思っているあなた!
塩はそのものの摂取量にも注意が必要ですが、実は目に見えない形で食品の中に溶け込んでしまっているものもあります。では、どのような食品に塩が多く含まれているのでしょうか?
今回は、塩の平均摂取量と一日の目安について、また意外にも塩が多く含まれる食品11選についてご紹介したいと思います。
この記事の目次
塩の平均摂取量と一日の摂取目安
(1)日本人の平均摂取量
厚生労働省の「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」では、2017年の成人(20歳以上)の一日当たりの塩分平均摂取量は、男性で10.8g、女性で9.1gであることが分かりました。
男女別では、労働の種類の違いや体質的な理由から、身体が求める塩の摂取量にも違いがあって、女性よりも男性の方が1日1~2gほど摂取量が多いのだとか。
都道府県でみると?
都道府県別では、男女ともに塩分摂取量が全国で1番少ない県が沖縄県であることが2016年度の調査で明らかになりました。
沖縄県では、ほぼ一年中温暖な気候に恵まれているため、身体の温度確保のために必要な塩分摂取量は少ない、またかつお節や削り節などのかつお系の調味料を多く用いるため、醤油などの調味料摂取機会が少なくなる、といった理由が考えられているようです。
逆に、寒さが非常に厳しい東日本の地域の方が、塩分摂取量が多い傾向にあります。
(2)国際基準と比較してみた!男女別一日あたりの目標塩分摂取量
機関名 |
男 性 |
女 性 |
健康日本21 |
目標値 8.0g |
|
厚生労働省 『日本人の食事摂取基準(2015年版)』 |
18歳以上 8.0g 未満 |
18歳以上 7.0g 未満 |
高血圧学会 |
推奨量 6.0g 未満 |
|
WHO(世界保健機関) |
目標値 5.0g |
2017年における塩分の平均摂取量調査の結果、上記のとおり各種機関が定める目標塩分摂取量の範囲には収まっていません。
しかしながら、2003年以降の毎年の摂取量調査では、男女ともに年々減少しているようです。
ですが、特に腎臓に疾患を抱えている患者が腎機能を守っていくためには、1日当たりの塩分摂取量は3~6gにとどめる必要があるとも言われているので、もっと意識して塩分量を減らしたいところです。
また、国際基準である世界保健機構(WHO)では、世界中の人の食塩摂取目標を1日5gとしています。日本での各機関の定める基準はまだまだ世界に比べると低レベルであることをもっと知るべきですね!
塩分が多い日本の調味料!
日本の食塩摂取目標は、まだまだ世界に比べ低い状態ですが、これは日本人が慣れ親しんでいる調味料に一つの原因があるようです。
北アメリカや西ヨーロッパ、オーストラリア地域の塩分摂取量は、日本に比べて3.5~4.5gも少ないと言われています。なぜなら日本には、醤油や味噌など食塩をたくさん使用した調味料を日々使う食文化で、知らず知らずに塩分摂取量が増えているのです。
さらに、化学調味料の存在も無視できません。 日本人は料理の味を引き立てるために調味料を使いがちですが、その中でもアミノ酸と成分表示が書かれているものは、グルタミン酸ナトリウムという塩分ですので、こちらを摂ることも塩分摂取のアップにつながります。
代表的な調味料別塩分含有量
調味料名 |
大さじ1杯分の塩分量(g) |
濃口醤油 |
2.6 |
薄口醤油 |
2.9 |
淡色味噌 |
2.2 |
赤色味噌 |
2.3 |
麦味噌 |
1.9 |
固形コンソメ |
(一人前で) 1.2 |
鶏ガラスープ |
(一人前で) 1.2 |
塩が意外に多く含まれる食品11選
日本人のよく使用する調味料の醤油や味噌には、塩分が多く含まれていることは、すでに説明をしました。
しかしこれら以外にも、予想以上に塩分が多く含まれている食品が私達の周りにはたくさんあります。塩分コントロールしたいあなたは、絶対に覚えておく必要があるものばかりです。
自身の塩分コントロールと今後の健康維持にも調べてみたので共有させていただきます。
【1】 パン類
食パンなどを食べていても、塩っぽさを感じるよりも甘味の方が強いものが多いので、パンには塩分が多いと聞いてもピンとこない方が多いと思いますが、パンを作る材料には塩が欠かせません。パンに塩を入れるのは、味付けの役割だけでなく、グルテンの形成を安定させたり、パン生地の殺菌効果などの役割もありますので、市場に出ているパンには、塩分の含まれていないものが無いと言ってもいいくらいです。例に出すと、フランスパン100g程度では、1.6g、食パン(6枚切)1切れには約0.8g、ロールパン1個約0.4gと少し羽目を外して食べてしまうと、塩分の取り過ぎという状態になってしまいます。
【2】 麺類
麺類にもパンと同様のことが言えます。うどんやそうめんなどの麺類は、製麺する時にグルテンを形成してコシを持たせるために、たくさんの塩が使われます。乾麺100gあたりの食塩相当量は、うどん4.3g、そうめん3.8g、そば2.2gですので、かなり多めの数値です。しかし、麺類はお湯で茹でるという工程が入りますので、塩分量はそこでガクッと低下するのも事実です。100gの乾麺を茹でた後の塩分相当量は、うどん1.3g、そうめん0.6g、そば0.3gですので、かなり減ることが分かります。後は、つけだれやスープの塩分量でどれだけ塩分を使用するかにもよりますが、つけだれやスープにも相当量の塩分が含まれていますので、麺料理の塩分量が多いことが伺えます。
【3】 乾燥カットわかめ
乾燥したカットわかめは、実は塩分量が多いです。便利なので、カットわかめは水に戻さずにそのまま汁物などに入れて摂取する方の方が多いかと思いますが、そのまま入れると当然ながら汁物の塩分量も増えてしまいます。一杯分の汁物に、乾燥カットわかめを10g使用した場合の塩分量は2.4gです。もしこれが、塩蔵わかめ(塩抜きしたもの)の場合は0.1gとなります。この、カットわかめの塩分量は塩昆布10g中の1.8gよりもさらに多い分量となります。汁物にそのまま入れてしまった場合、あまり気が付きませんが、塩分量はかなり多いので注意が必要です。
【4】 豆板醤
唐辛子の強い辛味が先に来るために、塩分の強さは意外と目立たないようになっています。
しかしながら、豆板醤も意外にも塩分の多い調味料です。
豆板醤の原料は、ソラマメ、塩、麹、唐辛子などが使用されています。豆板醤100g中の塩分量は17.8gです。分かりやすい食品で比較してみると、同量の薄口醤油の場合16.0g、濃い口醤油の場合14.5g、米味噌(赤)の場合13.0gですので、豆板醤の塩分量はかなり多い数値ということが分かります。辛い料理が好きと、豆板醤を使いすぎると、同時に塩分も摂りすぎになってしまいます。
【5】 インスタントのだしの素
インスタントの出しの素には、和洋中といろいろな種類がありますが、どれも非常に塩分量が高いです。非常に手軽に使うことができますので、最後にもう一振りなどとついついたくさん使いがちではないでしょうか?インスタントだしの素の塩分量は、小さじ1杯あたり、和風だしで約1.0g、洋風だしで約1.3g、中華だしで約1.2gです。また、市販の固形コンソメには、1個(5g)あたり約2.2gもの塩分が含まれています。これは、小さじ5mlで換算した時の薄口醤油約1.0g、濃い口醤油0.9gよりも高い数値になっています。
【6】 カレールウ
カレールウに含まれる塩分はおよそ10%と言われています。ルウの1かけ分20g(1皿分)で塩分は2.1g程度と言われていますので、カレーライスなどにした場合の具材(お肉など)の下味用の塩も含めると、カレーライス一杯分ではもっと塩分量が多くなります。また、カレーライスのつけ合わせにする福神漬けにも注意が必要で、10gで約0.5gの塩分が含まれています。
【7】 調理酒
調理酒として販売されるお酒にも、塩分が含まれています。料理酒には、2%前後の塩分が含まれています。海水の塩分濃度は約3%と言われているので、料理酒に含まれている塩分もかなりの高濃度です。酒類としてではなく、食品規格として販売される調理酒には酒税がかからないというメリットがあります。調理酒もお酒ですが、塩を加えることで酒類ではなく食品として販売できるようになります。特に、塩分摂取に気を付けている方は、調理酒の利用量を調整しながら使用するといいと思います。
【8】 ノンオイルドレッシング
ノンオイルドレッシングは、オイルを使用していないため、カロリーは他のドレッシングと比較しても低いものとなっています。しかし、オイルをカットし、その分を食塩や糖類(果糖ぶどう糖液糖)でカバーしています。例えば、和風のノンオイルドレッシング大さじ1(15g)あたり、約0.9gのものもあります。これと比較して、同量のフレンチドレッシングやサウザンアイランドなどの洋風ドレッシングでは、塩分相当量0.4g~となっており、比較するとかなり減塩です。ヘルシーだからとノンオイルドレッシングをたくさんかけて食べると、落とし穴もあるようです。
【9】 練り製品
練り製品は、塩分含有量の多い食べ物として意外なものではありませんが、塩分の多さが予想以上に多いため、ご紹介したいと思います。蒲鉾はたったの3切れで2.0g、さつま揚げは1枚1.1g、はんぺん1枚で1.2gの塩分が含まれています。食べ過ぎには、注意したい食品です。
【10】 チーズ
チーズも塩分含有量の多い食べ物として意外なものではありませんが、こちらも塩分の多さが予想以上のものもありますのでご紹介します。
各チーズ10g中の塩分含有量は、パルメザンチーズ約0.4g、ブルーチーズ約0.4g、プロセスチーズ約0.3g、ナチュラルチーズ約0.2g、カマンベールチーズ約0.2gと少量でも多くの塩分摂取となります。お酒のおつまみなどに食べていると、10g程度はあっという間に摂取してしまいますので、チーズの塩分量を考慮しながら摂取量を調整する必要があります。
【11】 ベーキングパウダー
ベーキングパウダーや重曹など食塩ではなく塩辛いと感じるものではありませんが、ナトリウムがたくさん入っています。ベーキングパウダーは、重曹(炭酸水素ナトリウム:化学式NaHCO3)に酸化剤やでんぷんを加えたものです。ベーキングパウダー100g中には6800mgのナトリウムが含まれており、食塩相当量に換算すると17.2gとなり、こちらもこれは同量の薄口醤油16.0g、濃い口醤油14.5gよりも多い数値になります。塩分量の多い食品の盲点になりそうな、ベーキングパウダーを使用したドーナツやケーキ類などのスイーツの食べ過ぎには、くれぐれも注意したいところです。
食塩相当量とナトリウム
食品を選ぶときには、成分表の中の、「食塩相当量」あるいは「ナトリウム」の部分を特に意識して購入する必要があるようです。
食品の成分表示には、食塩相当量と表示のあるものと、ナトリウムという表示のものがありますが、“塩分=ナトリウム”ではないことに注意が必要です。
食塩相当量は、以下の公式で求めることができます。
食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000
例えば、ナトリウム1000mgの食品の食塩相当量は2.54gと換算することができます。
塩の摂取量、要注意な食品まとめ
調べてみると、甘いもの辛いもの問わず、それぞれに塩分量が意外にも多く含まれているものが多いことがわかると思います。
また、塩分量が多そうと思っていたものも、実際の数値では意外に低く、これまた驚かされるものもありました。
塩分は、ただ有害という訳では決してなく、身体の機能を助ける大切な栄養素。 “減塩=健康”という考えは、一見正しそうに見えますが、極端に減塩しすぎると、例えば汗をかく真夏などは、ナトリウムが身体から不足して熱中症の原因となるなど危険な状況にも追いやられてしまいます。
塩分はカラダに必要なもの、ただ摂取量とは上手く、そして適度にコントロールして付き合っていく必要があります。健康ブームでいろいろな食材が取り上げられていますが、基本の塩分についてもまず見直しを図った方が良さそうです♪
(By ゼウス23世)