真っ赤な野菜の「ビーツ」。日本でもさらに注目度が高まるのではないでしょうか?
火が真っ赤に燃えるような色合いから、日本では”火焔菜(かえんさい)”とも呼ばれています。
アメリカでは“テーブルビート”、イギリスでは“ビートルート”、フランスでは“ベトラーブ”または”ベートラブ”などと呼ばれて各国で親しまれてきています。
世界三大スープの一つ、あのロシアの家庭料理「ボルシチ」の赤色のスープもこのビーツが使われているんですね。あの鮮やかな赤色スープは、ビーツが持つ色素によって出来ているんです。
今回は、
- ビーツ(ビート)とは?
- ビーツの特筆すべき栄養素
- 人気レシピ
をご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
ビーツ(ビート)とは?
【1】ビーツ(ビート)の特徴
ビーツは、ヒユ科のビートの中で根の部分を食用として食べやすく改良した野菜。学術的にはアカザ科フダンソウ属の根菜になります。
ビーツには、赤色のビーツと黄色いゴールデンビーツがあります。見た目は単に色のついたカブのようですが、カブや大根とは属性も関係がなく、ホウレン草と同じアカザ科に位置づけられます。甜菜糖の原料であるてんさい(甜菜:砂糖大根)と同じ仲間です。
ビーツが持つショ糖って??
ビーツ(ビート)は、ショ糖を多く含みその糖度は12度程もあります。野菜の中では甘みが強い部類に入ります。この12度という糖度は、一般のいちごと同じくらいになりますので、かなり甘い野菜ということになります。(ただし、あくまで野菜が持つ糖度の計測値で、私たちが舌で感じる“甘さ”とは異なるようですが・・)
【2】ビーツの旬と産地
露地栽培(屋外の畑で栽培の意味)で育てられるビーツの旬は、6~7月と11~12月の年2回です。日本では、長野県や愛知県、静岡県などで多く栽培されています。
【3】ビーツの歴史
ビーツは地中海沿岸が原産地。古くから利用されていました。当時は葉の部分を食用としていましたが、品種改良の末、根の部分がぷっくり丸く肥大した品種が誕生しました。18世紀にはこれから砂糖を作ることにも成功し、ビートの加工品も出てきました。
日本に伝わったのは、江戸時代の初期。そこそこの歴史は持っていますが、普段使いする近所の食品スーパーには売られていません。
手に入れるには、デパートの野菜売り場や直売所、自然食品を扱うスーパーなどに行くと取り扱いがあるお店もあるようです。
ビーツ(ビート)が持つ特筆すべき栄養価6選
ビーツは“奇跡の野菜”、“飲む献血”、または“食べる輸血”などとも呼ばれています。
このように呼ばれる理由としては、「鉄分」や「カリウム」など多種のミネラル類、そして「葉酸」や「ビタミン類」など豊富に含む優秀な食材だからです。
他にも特有の栄養成分も含んでいますので、健康効果と共にご紹介したいと思います。
(1)NO(エヌオー)
あまり聞きなれない栄養素ですが、NOとは一酸化窒素のことです。人が食事や運動などの活動をする際、体内でも作られている健康成分です。ビーツが注目されている理由の一つとして、このNOがまず挙げられます。
NOはそのまま摂取しても効果はありません。ビーツに豊富に含まれる硝酸塩(NO3)が体内合成を起こすことによって、NO成分に変換されます。
NOの効果としては、血管が拡張され、筋肉内に血液が充満した状態(バンプと呼ばれる状態)を持続。結果、多くの血液を体内組織に運ぶことができるというものです。
また、血流の改善や、サラサラ血液にしてくれる働き、そして血管の筋肉を柔らかくするといった作用から、動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中など血栓系トラブルの予防効果が期待されています。
他にも、血流改善することで、栄養素を全身にスムーズに行きわたらせ、また逆に老廃物の排泄もスムーズに行えるようになります。そのため、新陳代謝が高まり、疲労回復効果や美容効果にもつながります。
さらに、血行不良によるトラブル(冷え性や肩こりなど)の改善効果も見込まれますね。
血管を若返らせるためには、体内でNOを増やすことがポイント、とも言われています。NOは体内で作られますが、年齢を重ねるうちに徐々に生産量が減少します。その点からも、NOを産むビートは積極的に摂りたい食材です。
(2)ベタシアニン
濃い赤色が特徴のビーツですが、この赤色はアントシアニン系の水溶性色素「ベタシアニン」によるものです。
ベタシアニンは、ポリフェノールの一種で、とても強い抗酸化作用があると言われています。
老化物質である活性酸素を除去し、疲労回避への効果をはじめ、老化防止やアンチエイジングへの効果も期待されます。またガン予防に関する研究も進められています。
(3)ラフィノースと食物繊維
ラフィノースとは、ビーツに含まれる天然のオリゴ糖になります。ラフィノースは、善玉菌を増やしてくれ、腸内環境の改善につながるとされています。
さらにビーツには食物繊維も含まれますので、より良い腸内効果が期待できそうです。
より良い腸内環境は、消化の改善や便通の効果、代謝向上にもつながります。
便秘などの症状が改善されると、免疫力の向上、皮膚炎などのアレルギー症状の緩和、免疫力がつくことで風邪をひきにくくなり、皮膚も強くなるなど、様々な健康効果につながります。
血糖値は?
ビーツの持つ糖によって、血糖値が心配という方もいるでしょうが、ビーツの持つ甘さは砂糖の5分の1程度で、血糖値が急に低下することもありません。
ビーツはGI値が低く、糖尿病などの疾患を持つ方でも安心して摂取できるとされています。
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(4)ベタイン
ビーツに含まれる「ベタイン」という成分には、肝機能を向上させる効果があります。
高脂血症や脂肪肝・肝機能の改善に効果があり、動脈硬化や糖尿病にも効果があるとされています。
(5)鉄分
ビーツに多く鉄分が含まれていますが、実は多いのは葉の部分。
鉄分は、知らず知らずのうちに欠乏していることが多い大切な栄養素の一つです。鉄分の欠乏はめまいや頭痛をはじめ、疲労、息切れ、冷え、動悸、イライラ、うつ症状、毛が抜けやすいなど様々な症状に影響があるとされています。鉄分は意識して摂取する必要があるので、ビーツ葉も可能な限り摂るようにしましょう。
(6)葉酸
葉酸は、妊娠前後の方に大切な栄養素として有名な「ビタミンB群」の成分です。妊娠中の方で1日の推奨摂取量は440μgとされています。それ以外の成人の方でも、1日240μgの推奨摂取量です。ビーツ100gあたりの葉酸含有量は、110μg。しそやあしたばなどの野菜に匹敵する含有量をもっています。
ビーツを使った人気レシピ6選
【1】飲む輸血!ビーツたっぷりボルシチ
生のビーツがたっぷり1個まるごと入っているボルシチのレシピ。
ビーツの他にもトマトジュースも入っています。玉ねぎ、人参、キャベツもじゃがいもも・・とにかく真っ赤な色をしています。
ビーツをカットすると、真っ赤な汁が出てきますが、色素がとても強くまな板やタオルなどに付着すると取れなくなってしまいます。ですので、まな板代わりになるもの(新聞紙や牛乳パック、直接シンクを使用するなど)を使用してカットするようにしましょう。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【2】ビーツのクリームスープ
ビーツは、しっかり野菜。そのため火の通りが悪く、煮込みに時間を要します。このレシピでは、圧力鍋を使って短時間加熱で調理しています。ビーツとジャガイモの自然な甘み、牛乳・生クリームのまろやかさ、クレームフレッシュの酸味が絶妙な味を保っていますね。ピンク色のスープは可愛らしく、女性にも嬉しい栄養がつまっているので、女子人気は間違いなさそう。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【3】ビーツジュース
材料は、生ビーツ、バナナ、牛乳(または豆乳)の3種類です。ビーツとバナナの相性もよく、やさしい自然の甘味が楽しめるジュースに仕上がります。色も鮮やかで可愛らしく栄養も満点。朝食に是非食べたい一品ですね。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【4】ビーツのカラフルサラダ
ビーツの鮮やかな色の特徴を最大に生かすならやっぱりサラダがおススメ。黄色や緑が鮮やかな野菜や豆類などと一緒に盛り付ければ、見た目も華やかなサラダに仕上がります。その上、栄養素も満点です!
このサラダレシピは、ビーツを皮ごとキッチンペーパーとアルミホイルで包み込み、オーブンで火を通したものを使用しています。低温でじっくりとローストされたビーツの深みのある甘さとバルサミコ酢の酸味がとてもよく合いそうです。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【5】ビーツとチアシードのアイスクリーム
ビーツはスイーツにも変身します。赤ビーツと、数年前から日本でも話題となっているスーパーフードのチアシードを混ぜたアイスクリームです。
柔らかく煮たビーツをピュレ状にして、メレンゲ、卵黄、砂糖とレモン汁を入れた生クリーム、ラム酒とよく混ぜ合わせます。冷凍庫で数時間冷やし、固まったら完成!
美味しく食べて、しっかり栄養補給ができる冷たいスイーツです。
参考レシピ ⇒ クックパッド
【6】ビーツのマフィン
赤がとっても可愛いマフィンです。バターやオイルは使用していませんが、ビーツを使用するためしっとりと仕上がるそうです。下処理したビーツと牛乳をミキサーで撹拌。ボウルに卵と小麦粉、砂糖を加えてよく混ぜ、下処理したビーツを加えて混ぜ合わせます。ベーキングパウダーを加えた後、型に入れて焼き上げます。小さなお子さまにも安心して食べていただける赤が印象的なマフィンです。
参考レシピ ⇒ クックパッド
ビーツの栄養素、レシピまとめ
日本では未だ普通に売られていないビーツですが、この栄養素や効果をみると、イギリスをはじめ欧米各国で人気があるのはよくわかります。
徐々にですが、日本でも体に良い野菜、スーパーフードとしてビーツの認識が高まりかけています。そのうち一気にブレイクしそうな予感もあります。
ビーツは、栄養満点の優秀野菜。なかなか手に入らないので、家庭菜園やガーデニングで栽培をはじめる方もいるようです。栽培も思いのほか、簡単に育てられるようですね。
ビーツを使ったレシピも、あのボルシチを始め、スープやサラダ、スイーツにも応用ができます。
是非、栄養たっぷりのビーツ料理を色々と試してみてはいかがでしょうか?
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(By ディオニソス)