ケトン体がブドウ糖の代わりになるって本当?
注目が集まっているケトン体ですが、第三のエネルギーとして、脳エネルギーにも活躍できる、っていうのはご存知でしょうか?
- 脳がケトン体を使うようになることのメリットは?
- またデメリット、副作用の危険性はないのでしょうか?
ケトン体と脳エネルギーの関係について、ご紹介していきます。
この記事の目次
従来の脳エネルギーの考え方
通常、私たちの体は食事によって摂取した炭水化物をブドウ糖に変え生命維持のためのエネルギー源としています。これをブドウ糖回路と呼びます。
ブドウ糖(糖質)回路
- 解糖系 肝臓のグリコーゲンをブドウ糖にして分解してエネルギー源とする
- 糖新生 筋肉などのタンパク質を分解してできたアミノ酸からブドウ糖を産生し、それをエネルギーとして使う
の2つのエネルギー創出回路が存在します。
臓器の中でも、特に脳はエネルギーを大きく消費します。
正常時、脳はブドウ糖だけをエネルギー源としています。脳には血液脳関門と呼ばれる関所があり、エネルギー源としてブドウ糖だけを通過させるため、タンパク質や脂質が脳のエネルギー源になることはありません。さらに脳は、安静にしていても一時間に5gものブドウ糖を消費するにもかかわらず、ブドウ糖を少量しか貯蓄することができません。そのため、脳に安定したエネルギーを供給し続けるためには血糖値を100㎎/dlに保つ必要があるとも言われています。
脳エネルギーにケトン体が使えるとわかった
そんなたんぱく質や脂質もエネルギー源とならない脳エネルギーには「ブドウ糖」しか使えないと信じられていました。しかし、近年の研究によって、脳エネルギー源としてブドウ糖以外にも、使えるものがあることがわかりました。
それが「ケトン体」です。
糖質の摂取を抑えると、カラダは脳で使うエネルギーをまかなおうと、グルカゴン、アドレナリン、成長ホルモンを分泌し中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解していきます。そして、その脂肪酸の一部が肝臓においてケトン体へと変化させてくれるのです。
“解糖系・糖新生などのブドウ糖回路からのエネルギー補給が途切れたとき、最後に、まるでレスキュー隊のごとく稼働しはじめてくれるのが「ケトン体エネルギー回路」なのです。
ケトン体回路では、体内の脂質を分解して脂肪酸を産生します。さらにその脂肪酸を分解してケトン体を生成し、このケトン体がブドウ糖に代わって体内でのエネルギーとなってくれるのです。
ケトン体をエネルギー源として生命活動を維持できるからこそ、私たちは、夕食後に夜食なしでも朝までぐっすりと眠ることができるわけです。“
(「白米中毒」白澤卓二 アスペクトより引用)
脂肪酸は肝臓でケトン体になります。脂肪酸のままでは血液脳関門を通過することができませんが、ケトン体に変化した後であればこの関所を通過することができます。ケトン体は水溶性で細胞膜も容易に通過できます。
ブドウ糖が欠乏した場合、体は一種の緊急処置としてケトン体をブドウ糖に替わる代替エネルギー源として利用し始めます。
ケトン体質になるには?
ケトン体を上手に産み出せるようになるには大きく分けて二つのポイントが関係しています。
まず1つ目に、分解されやすい脂肪酸を多く取ることが必要です。
サラダ油やオリーブオイルなどに含まれる脂肪酸は長鎖脂肪酸と呼ばれるものですが、それに比べ、ココナッツオイルやアーモンドなどには5倍も分解されやすい「中鎖脂肪酸」が多く含まれています。
脂肪酸がスムーズに分解されれば、それだけスムーズにケトン体を産み出すことができます。そのため、ココナッツオイルやMCTオイルなどから積極的に中鎖脂肪酸を摂るようにしましょう。
2つ目は、ファスティングなどによってカラダの酵素分解の働きを強めることです。
ケトン体は酵素の働きによってケトン体になるので、酵素の働きが重要になってきます。ケトン体を上手にコントロールしよう、との発想から研究されてきた断食ダイエット・ファスティングなどは健康的に多くのケトン体を生成する助けになると言われています。
炭水化物も大切だと言うことらしい・・
脳は常に大量のエネルギーを必要としています。その量は、カラダ全体の20%とも言われ、脳は臓器の中で最も消費カロリーが高い臓器です。
炭水化物は体内の消化酵素によってとてもスムーズに糖質に変わります。また、疲れた時に甘いものを食べると元気になるという経験もあると思います。
それからも分かる通り、砂糖などの糖分は即効性のあるエネルギーとなって私たちの体を支えてくれます。
特に、臓器の中で一番消費エネルギー量が多い脳は、炭水化物と糖によって正常に機能することができます。身体が非常事態を感じた時に、ケトン体によって補いますが、ケトン体は、大量に蓄積されると毒になったり、また、不要な物質をも出してしまう、といった点で、炭水化物と糖質からエネルギー化されるブドウ糖にはかなわないところもあります。
ケトン体に副作用はないの?
肝臓でケトン体が生成されるときに、同時に酢酸も生成されます。酢酸が大量に作られると、体内の血液が酸性になります。そのため、体の各器官に負担がかかり、嘔吐や腹痛が起きたり、さらには昏睡状態にまでおちいることがあります。
また、体は常にエネルギー不足の状態になっているため頭痛、脱力、筋痙攣をおこすこともあります。また腸内の栄養も不足しているので、腸内細菌のバランスが崩れ下痢や便秘などの症状が現れるといった副作用の可能性もあります。
その他にも、ダイエット臭として知られるケトン臭の発生、なども副作用というか、デメリットとして捕らえる方もいます。
炭水化物を主食としてきた日本人にとっては、欧米人に比べて、ケトン体質になることは体内において大きな変化をもたらすことは確実だと主張しているお医者さんもいます。
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ケトン体脳エネルギーまとめ
糖質からのブドウ糖なしでも脳は活動できる!
むしろ、糖質中毒という言葉もあるくらい、糖質はカラダにとってよくないものとと考えられています。
また、2015年厚生労働省「日本人の食事摂取基準」からは糖質は必要栄養素ではないことが発表されています。
「脳のエネルギー源であるブドウ糖を断ったら、脳が働かなくなってしまう心配は要りません!」
しかし、“ケトン体”の研究や糖質制限ダイエットに関する研究はまだ始まったばかり。アルツハイマー患者に中鎖脂肪酸を毎日摂らせて、脳認知の機能を回復させた、とか米国医学会では、「ブドウ糖よりもケトン体のほうが脳にとって優れたエネルギーだ」との見解も出てきています。
今はまだケトン体に対する肯定意見も否定するものも混じり合っている状況にように思えます。
日本においてのケトン体に対する見識はまだ欧米に比べて遅れている可能性もあります。今後のさらなる研究結果が待たれる状況ですが、1年か2年もすれば、もっとすっきりするのでは無いでしょうか?
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(By ゼウス23世)