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深刻化する油の問題
水素添加された安い大量生産型の食用油や、トランス脂肪酸を含んだ油の問題が深刻化してきています。
あなたも、過去に起こったエコナ健康オイルの発がん性物質問題なども覚えていらっしゃるでしょう。また日本にしか存在しないというサラダ油などの混合油や、加熱を続けたてんぷら油などはとても危険である、ということは今や常識になりつつあります。
そんな中、安くてより健康的な「米油」の存在に注目が集まっています。2015年秋にテレビで取り上げられたことでより注目度が増しました。
アジアには歴史のある食用油
米油はもともと伝統的に、インド、中国、そして日本とアジア地域における食用オイルでしたが、2004年頃から米国、ヨーロッパでも販売が開始されています。
コレステロールを下げる、心臓病予防などの効能、効果があるということで、米国、ヨーロッパなど海外でも健康オイルとしての認知が高まりました。
米油ってお米から絞るの?
『米油』とは?
米油は、白米の部分ではなく、「米ぬか」から絞る植物油です。「米油」、「コメ油」「こめゆ」、「こめあぶら」と日本語ではいろいろな表現の仕方がありますが、一応、日本農林規格(JAS)上の表記では、「こめ油」に統一されています。英語では”Rice Bran Oil”と言います。
『米ぬか』とは、
稲のもみ殻だけをはぎ取った玄米から白米へと精白するときに摂れる”胚芽部分”になります。米ぬかにはまだ20%の油分が残っていて、これを抽出した油が「米油」になります。
コメ油の持つ栄養価
米油100gが持つ栄養価は以下のとおりです。
米油が持つ栄養価(100 g 当たり) | ||
---|---|---|
エネルギー | 3,699 KJ (884 kcal) | |
炭水化物 | 0 g | |
糖分 | 0 g | |
食物繊維 | 0 g | |
脂肪 | 100 g | |
飽和脂肪酸 | 19.7g | |
一価不飽和脂肪酸 | 39.3 g (オレイン酸ω9 39.1) |
|
多価不飽和脂肪酸 | 35 g (リノール酸ω6 33.4) |
他にタンパク質、ビタミン(米油100gあたり)についても
- タンパク質 0 g
- ビタミンE 32.3 mg
- ビタミンK 24.7 μg
- 鉄分 0.07 mg
といった成分が米油には含まれています。
米油が持つ9つの効能や特徴
【1】発煙温度が高い
まず第一の特長として、米油はその発煙温度が250℃と高いので、炒め物、揚げ物に至るまで、様々な調理に使用することができます。
【2】比較的安価で手に入る
米油は、他の植物オイルに比べると比較的安価で手に入ります。大量の油を使用する調理(天ぷら)などにも使いやすいというメリットがありますね。インドやアジア各国ではそのオレイン酸の含有量から、オリーブオイルの代用オイルとしての人気もあるほどです。
【3】抗酸化ビタミン「トコトリエノール」
抗酸化物質であるビタミンEの一種、「トコトリエノール(TRF)」を含んでいます。トコトリエノール(TRF)は、大麦、オート麦などの“ふすま”から摂れる栄養素ですが、米ぬかにも多く含まれています。
トコトリエノールは、非常に高い抗酸化特性を持っていて、科学的研究でも注目されているビタミンです。
コレステロール生成に関係する酵素の活性を抑える効能もあり、ヨーロッパのがん研究ジャーナル誌では、トコトリエノールの長期摂取は、ガン全体のリスクを減らす可能性があると発表しています。
【4】マイルドな風味
米油の味は非常にマイルドで中立的。やはり米食に慣れているせいでしょうか、日本人にとっては使い易い油と言えます。クッキーやケーキを焼いたりするのにも、油の味が邪魔をせず美味しく出来上がります。
【5】オメガ6とオメガ9をバランス良く含む
米油はオメガ6のリノール酸とオメガ9のオレイン酸をバランスよく含んでいます。また、同時に飽和脂肪酸も含んでいます。米国の国立栄養研究所では、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸をそれぞれ等しい割合で持っているオイルが推奨されています。米油は、この観点では理想的な比率をもった植物オイルと言えます。
【6】オリザノールが心臓疾患に優しい
米ぬかには特有の成分「ガンマ・オリザノール(γ・オリザノール)」が含まれていて、米油にも多く含みます。「ガンマ・オリザノール」は、酸化防止剤として知られるポリフェノールの1種。コレステロールの吸収を助けてくれる効能があります。
米国心臓協会(American Heart Association)と世界保健機関(WHO)は、血清コレステロール値を改善するための最良の選択として、ガンマ・オリザノールの摂取が奨められています。
【7】低粘性
非常にさらっとしていて粘り気が少ないのが特徴です。そのため、サラダなどにかけてもくせが少なく美味しくいただけます。一方で、味が薄く油分が物足りない人もいるからもわかりません。
【8】スクアレン
深海鮫から得る「肝油」に多く含まれるとされる「スクアレン」。加齢とともに減少する美容・健康成分として知られる油性物質ですが、米油をはじめオリーブオイル、綿実油、アボガドオイルにも含まれています。
スクアレンは、簡単に皮膚から吸収されて、お肌をやわらかく滑らかにしてくれる効能があり、米油を直接お肌に塗ることで、美肌つくりにも効果があります。
【9】植物ステロール
植物ステロール(ファイトステロール)は、健康上の多くの利点を持った栄養素です。米油には実に27種類の植物ステロールが発見されており、他の植物オイルよりもその含有量が非常に優れています。
ファイトステロールには、コレステロールを低下させ、抗炎症作用をもたらす効果があります。また癌細胞の増殖を阻止し、免疫システムを改善してくれるなどの効能も期待されています。
米油が持つ気を付けたい2つの危険性
そんな多くの効能や特徴をもった米油ですが、気をつけなければならない2つのデメリットもあります。
危険性1)低粘性による使用量
低粘性だから食べやすいのが特徴なのですが、逆に過剰摂取をしてしまう恐れがあります。他の植物油に比べて油っぽくないので、ドレッシングなどで摂る場合にも食べ過ぎる傾向になりがちです。
やはり油分、脂肪分は、一日の摂取量をきちんと守っていく必要がありますので、米油の使用量、摂取量には気をつけるようにして下さい。
危険性2)オメガ3の不足
こちらはもっと深刻なデメリットですが、米油にはオメガ3、6の摂取バランスを崩す危険因子も含まれています。米油を摂るだけでは、オメガ3脂肪酸が圧倒的に不足してしまいます。
魚油または、亜麻仁油などオメガ3脂肪酸をたくさん含んだ油を別途摂取するようにして、オメガバランスの改善に意識を向けることを決して忘れないでくださいね!
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ゼウス23世の米油まとめ
最後に、もう一点米油については気になるニュースがあります。
加熱料理にも使えて健康効果が高い油として注目の「米油」ですが、選ぶ際には信頼のおけるブランドのものを選ぶようにしてください。というのも、ノルマルヘキサンという劇薬を使用して溶剤抽出している米油メーカーも存在すると聞くからです。
もともと米ぬかを発酵させる段階で加熱をしていますから、コールドプレス圧搾法というのは存在しない?のでしょうけど、もっと最悪な化学溶剤を使った油の抽出だけは絶対に避けるようにしたいものです。
(By ゼウス23世)