この記事の目次
(その1)トランス脂肪酸って何!?
■トランス脂肪酸をご存知でしょうか
皆さんはトランス脂肪酸という言葉を聞いたことがあるでしょうか。なんとなく体に悪いだとか、名前は知っているとかっていう人も多いのではないでしょうか。トランス脂肪酸を多く含んだ製品として有名なのはマーガリン、ショートニングでしょう。マーガリンは特に食べるプラスチックなどという言われ方もしていますね。このトランス脂肪酸が一体何者で、マーガリンやショートニングの他にはどんな食品に含まれているのでしょうか。また、体に悪いというイメージですが、実際のところどうなのでしょうか。以下につらーーっと、色々まとめてみたいと思います。
日本では、なかなか報じられないトランス脂肪酸の問題。事の重大さにお気づきでない人が多い・・
トランス脂肪酸、まだあまり馴染みのない単語ですが、専門家の間では調査・研究が進められています。出典トランス脂肪酸、悪玉コレステロール増加の一因に | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト
(その2)トランス脂肪酸の定義
■脂肪酸には大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸という2種類があります。そのうち不飽和脂肪酸は、さらにシス型脂肪酸とトランス型脂肪酸のふたつに分類されるのです。シス型とトランス型の違いは、脂肪酸を構成する炭素原子と水素原子のくっつき方の違いによります。もう少し専門的な話をすると、シス型のほうは二つの炭素原子から見て同じ方向に水素原子がくっついる形になっています。トランス型のほうは、水素原子が互い違いにくっついている構造です。たったのこの構造の違いだけですが、シス型の分子構造は不安定で、水素が結合することにより、トランス型脂肪酸へと変わってしまいます。そして、このトランス脂肪酸が今大きな問題となっているのです。
(その3)こんな食品に多く入っているので要注意
■トランス脂肪酸を含む食品は?
マーガリンには原材料名に”食用精製加工油脂”と書かれたものが見受けられます。これがトランス脂肪酸です。マーガリンを筆頭に、ショートニング、ファットスプレッド、水素添加油といったものに多く含まれます。これらの食品を作る際は、植物油に人工的に水素を添加し、固形化させるのですが、この処理によりトランス脂肪酸が発生するのです。したがってこれらを利用したパンやドーナッツ、カップ麺、ファーストフードのフライドポテトなどにも含まれることになります。
マーガリンに含まれるトランス脂肪酸の含有量は約10~14%とかなり高いものもあります。出典トランス脂肪酸を含む食品とその含有量
(その4)トランス脂肪酸のカラダへの影響は?
■動脈硬化や心筋梗塞、それから……
狭心症、肥満、子宮内膜症、不妊症、流産、死産、ぜんそく、アレルギー、アトピー性皮膚炎。トランス脂肪酸を摂取することにより発症する可能性が高くなると言われている症状です。ガン、免疫不全、認知症等々まだまだあります。
トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、血中の悪玉コレステロールが増加し、善玉コレステロールが低減すると言われています。これにより、動脈硬化や心筋梗塞が発生する確率が高まるのです。農林水産省によると、トランス脂肪酸の摂取は一日当たり約2グラム未満に抑えるのが良いということです。トランス脂肪酸の摂取は極力避け、心臓病などのリスクを減らしていきましょう!
トランス脂肪酸は、心筋梗塞や狭心症のリスクを増加させ、肥満を発症させやすく、アレルギー疾患を増加させ、胎児の体重減少、流産、死産を生じさせる可能性があること、母乳を通じた乳児へのトランス脂肪酸の移行が研究等で確認されている。出典心筋梗塞、流産…危険なトランス脂肪酸、なぜ日本で野放し?パン、菓子、揚げ物…(1/2) | ビジネスジャーナル
心筋梗塞、流産・・危険なトランス脂肪酸、なぜ日本では野放し? 出典http://biz-journal.jp/2014/02/post_4177.html
(その5)アメリカでの対応はどんどん進んでいる
■アメリカでは2018年までに全面禁止!
米食品医薬品局(FDA)は、2018年6月までにトランス脂肪酸を含む食品を全廃すると発表しました。アメリカではトランス脂肪酸の危険性が社会的に認められており、食品への表示義務はもちろん、外食産業でトランス脂肪酸を使用することを禁じている地域もあります。トランス脂肪酸が危険なものという判断です。例えばアメリカのマクドナルドではフライドポテトを揚げるのにショートニングを使っていません。同じくアメリカのケンタッキーフライドチキンも、トランス脂肪酸を含まない大豆油を使用して調理しています。さらにはアメリカだけではなく、WHO(世界保健機関)もトランス脂肪酸は摂取すべきではないという見解を明らかにしています。
諸外国では、積極的にこのトランス脂肪酸を厳しく制限・管理(使用禁止や含有量表示)しているケースが増えています 出典トランス脂肪酸って体に悪い?食品チェック [療養食・食事療法] All About
アメリカ食品医薬品局は、菓子類やマーガリンなどに使われるトランス脂肪酸を「食用として安全と認められない」と暫定的に判断した出典トランス脂肪酸、米が使用禁止 「心臓発作を予防」:日本経済新聞
今後、トランス脂肪酸を含む食品の販売は、許可制となり、販売禁止になる食品も出てくる見通し出典トランス脂肪酸、米で規制へ…「心臓病の原因」 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
(その6)ヨーロッパ諸国の動きは?
■バターとマーガリン
バターとマーガリンは同じ用途で使われることもあり、違いを知らない人も未だにいます。バターは牛乳から作られる乳製品。一方マーガリンは、植物油から作られるものですので、両者が全く違うものであることはこれだけでよくわかりますね。
■西ドイツのある地域で、クローン病患者の出現とマーガリンの販売開始時期とが一致して問題になっています。これもあり、現在ドイツではトランス脂肪酸を含むマーガリンが製造禁止製品に指定されています。
■フィンランドでも1200人を対象とした実験が行われて、多量摂取したグループは10年後以降の死亡率が1.4倍に上がったことがわかっています。心臓病に関してはなんと、2.4倍に跳ね上がったそうです。
■デンマーク・オランダではもちろん発売禁止になっています。
アメリカはじめヨーロッパ、いわゆる先進国においては、ほとんどの国・地域でマーガリンは規制の対象、毒物指定されているのです。
デンマーク・オランダでは発売禁止になっています。出典マーガリンは危険?
また、先進国に関しては、ほとんどの国・地域で毒物指定されています。
(その7)一方、日本での対応はどうなのか?
■日本では
日本では全廃や量の制限どころか、食品にトランス脂肪酸の含有量を表示することすら義務付けられていません。スーパーへ行けば、有名メーカーのマーガリンが何種類も売られています。また、日本のマクドナルドではショートニングが使用されています。まったくの野放し状態です。
一応、日本人が口にするトランス脂肪酸の量がアメリカ人などと比べてとても少ないというのが禁止されない理由ではありますが、厚生労働省は2010年、日本人の中にも欧米人並みに摂取する人もいると報告しています。
トランス脂肪酸、日本ではまだあまり馴染みのない単語ですが、専門家の間では調査・研究が重ねられてきています。出典トランス脂肪酸、悪玉コレステロール増加の一因に | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト
(その8)加工製品だけじゃないトランス脂肪酸の存在
■トランス脂肪酸は天然にも存在する?
トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングなど人工的に作られたものに多く含まれますが、実は天然にも存在します。それは反芻動物の体内、つまり牛や羊の肉、乳製品に含まれているのです。ただし天然のトランス脂肪酸はごくごく微量なものなので、健康への影響を気にする必要はないようです。
天然の食品は牛乳やなどの乳製品、牛肉や羊肉で含まれるのは極微量です。出典トランス脂肪酸 マーガリンの含有量はどれくらい? 身体への影響は? | Marthaのトレンド.Com
(その9)トランス脂肪酸を減らすように気をつけましょう
■トランス脂肪酸を減らすには。
マーガリンやショートニングには気を使っていても、それらを使用して製造されているパンやお菓子を食べることで、少なからず摂取してしまうことが多いのが現状です。まずはマーガリンやショートニングなど、トランス脂肪酸を含む食品を把握して、それからパンやお菓子を買う際は原材料表示にマーガリンやショートニングが含まれていないものを選ぶようにしましょう。
■あと海外旅行の際にも気をつけて……
アメリカのとあるファストフード店のフィッシュフライは、アメリカでもっとも体に悪いメニューとして選ばれてしまいました。トランス脂肪酸が33g、ナトリウムが3.7g(塩分換算で約9.4g)が含まれているらしく、一日の摂取量を一食で軽く超えてしまいます。アメリカに行くもしくは海外旅行の際には、気をつけた方がよさそうですね。
(その10)朗報!トランス脂肪酸を減らす方法があった!
■摂取してしまったトランス脂肪酸を排出する方法がありました。それがオメガ3系脂肪酸です。青魚や亜麻仁油、エゴマ油などに含まれるオメガ3系脂肪酸は、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らすなどの効果がありますが、不要な油を排出する働きも持っているのです。
できるだけトランス脂肪酸を摂らない+オメガ3脂肪酸を摂る
これがこれからの日本においてのキーワードになりそうです。
トランス脂肪酸を気にする人ができる対策は、トランス脂肪酸を減らす効果のある食材を積極的に摂ることです。出典トランス脂肪酸の危険性:アンチエイジング方法で若返り
そこで最近話題となっているのが、オメガ3(α-リノレン酸)という脂肪酸です。出典トランス脂肪酸の危険性:アンチエイジング方法で若返り
(その11)1日2g程度なら摂取してもOKだって!
トランス脂肪酸は大量に摂取することによって、さまざまな悪影響があることが指摘されていますが、では摂取量までだったら大丈夫なのかというと、WHO(世界保健機関)によれば、一日の摂取カロリーの1%未満ということでした。つまり、成人の一日の摂取カロリーの平均である1800kcalを例にすると、1%は18kcalですので、脂肪に換算すると2g程度になります。
WHO(世界保健機関)ではトランス脂肪酸の摂取量を摂取エネルギーの1%未満にすることを勧告しています出典「海外ではマーガリン禁止!?」のウソ・ホント~トランス脂肪酸のまとめ | FOOCOM.NET
1日のエネルギー摂取量を1800kcalだとすると1%は18kcal、脂肪だと2g相当となる。出典米国で禁止のトランス脂肪酸 国内ワーストマーガリンは日本生協連、ファストフードのワーストはマクドナルド:MyNewsJapan
(その12)トランス脂肪酸とコレステロールの関係
■トランス脂肪酸とコレステロール
トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、体内で悪玉コレステロールが増加します。のみならず、善玉コレステロールが減少します。そうすると血管が詰まるリスクが高まり、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなるのです。
トランス脂肪酸は、以前から悪玉コレステロール、動脈硬化、心臓疾患、ガン、免疫機能、などへの悪影響が報告されていた出典トランス脂肪酸って体に悪い?食品チェック [療養食・食事療法] All About
過剰な摂取は、悪玉コレステロールを上昇、善玉コレステロールを低下させ、心筋梗塞・高脂血症などのリスクを高めるといわれている出典「トランス脂肪酸」について
(その13)実は、トランス脂肪酸って結構おいしいんだよね・・
■トランス脂肪酸で食べ物がおいしくなる
でもなんでこのような、健康に悪いトランス脂肪酸がたくさん使われるようになったのでしょうか。それは日保ちが良くなることだったり、トランス脂肪酸で揚げ物をすると、カラッと揚がり、食感が良くなったりするからなのです。他にも、ショートニングをチョコレートに混ぜると、口どけが良くなるといった効果があったりします。トランス脂肪酸は酸化しにくく品質が安定するうえ、安価であることも、ここまで広まった要因なのでしょう。
ポテトがカラッと揚がる、ビスケットやチョコレートの舌触りがよい、などの利点があるのでよく使われている出典アメリカの食品規制事情:トランス脂肪酸アメリカで10倍うまく立ち回る方法
(その14)他にもあったトランス脂肪酸に並ぶ怖い食品
■アルミを食べている?
ホットケーキやベーキングパウダーには、実はアルミ添加物が入っています。アルミを過剰に摂取すると、腎臓などに障害が起きると言われています。ベーキングパウダーはいろいろなお菓子に使われていますので、市販のお菓子は控えめにしたほうがいいかもしれません。
■野菜ジュースは体に悪い?
ビタミンCや食物繊維を求めて野菜ジュースやフルーツジュースを飲んでる人もいるのではないでしょうか。多くの場合、製造の過程でビタミンCや食物繊維は失われています。健康になるつもりなのに、糖分だけをたくさん取っている結果になっているかも……。
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(その15)他にも取り過ぎ注意な食品とは?
■トランス脂肪酸の他にも取りすぎ注意な栄養素
トランス脂肪酸同様、過剰摂取により心臓病などの病気の原因になると考えられているのが、ナトリウムです。食塩を構成する成分の一つですね。日本高血圧学会によると、1日の食塩摂取量は6gに抑えるのが良いらしいです。
日本高血圧学会の定めた目標では1日6g未満(高血圧治療ガイドライン2009年版)となっています。出典高血圧を防ぐ食事|厚生労働省
非営利団体の医学研究所(Institute of Medicine)によれば、大半の人のナトリウム推奨摂取量は1日1500ミリグラムだ。出典米国で最も不健康なメニューはフィッシュフライ、消費者団体 – Infoseek ニュース