オリーブポマスオイルとは?知っておきたいその特長や使い方!
最近、コストコや業務スーパーなどで、「オリーブポマスオイル」というのが非常に安く売られていることに気づきます。
- オリーブポマスオイルってそもそも何?
- なぜ、安いの?
- これってオリーブオイルの風味があるのかしら?
って思うことはないですか?
実はオリーブポマスオイルは、日本では食用として売っていますが、先進国の多くでは、食用ではなく工業用のオイルなのです。
この記事の目次
オリーブポマスオイルとは?
(1) ヴァージンオリーブオイル
オリーブオイルとして上の品質クラスの「ヴァージンオイル」にも細かくグレードが4つあります。
「ヴァージンオリーブオイル」とは?
バージンオリーブオイルとは、原料がオリーブの果実だけで、化学的な方法や高熱で一切処理していない純粋なオイルを指します。
【1】【2】 エキストラバージン&バージンオリーブオイル
その中でも風味、香りともに最高品質で酸度が0.8%以下のものを「エキストラバージンオイル」と呼び、酸度が2%以下のものは「バージンオリーブオイル」と呼びます。
この2つはともに味、香りなど官能試験で差が付くものではありません。
実際の酸度に関する品質試験での数値の差になります。
【3】【4】 オーディナリーバージン&ランパンテバージン
次に、風味や香りが若干下がり、酸度が3.3%以下になるものを「オーディナリーバージンオイル」と呼びます。
さらに品質が下がり酸度が3.3%を超えるものは「ランパンテバージンオイル」と呼び、このグレードでは、食用にはならず「精製オリーブオイル用」や「工業用油の原料」として使われます。
(2) ヴァージン以外のオリーブオイル
以下の3種類は、バージンオイルとは違い、高熱、化学的処理によって加工、または他の油とのブレンドなどによって生まれるオイルです。
まず「精製オリーブオイル」。
これはランパンテなどのヴァージンオリーブオイルを工業的に脱酸、脱臭などの処理を施して、酸度を0.3%以下にしたものです。
次に「ピュアオリーブオイル」
ランパンテよりも上クラスのヴァージンオリーブオイルをブレンドすることで、酸度を1%以下にしたものがこれにあたります。
ちなみに、日本ではピュアオリーブオイルという名前で販売されています。
そして最後に、ヴァージンオイルを搾った後の残りカスを“有機溶剤”を使って抽出したのが『オリーブ・ポマス・オイル』。
こちらは工業用で、IOC規定では「オリーブオイル」と表示してはいけないと定められています。
ただし、その国が定める基準をクリアしていれば「食用オイル」としても販売ができますが、この日本がその食用として販売可能な国になっています。
オリーブポマスオイルの特長
上記の説明のとおり、「オリーブ・ポマス・オイル」は残りかすから無理やり抽出したオイルなので、成分的にもオリーブオイルとはまったく別物です。
基本的にはオリーブオイルという名称を使えないのですが、日本の一部業務用スーパーやインターネット通販などでは「オリーブ・ポマス・オイル」として販売されています。
あたかも「オリーブオイル」の一つであるといったパッケージで売られていることが多くありますので、知らなければ「オリーブオイル」だと間違えて購入してしまう方も多くいらっしゃいます。
ですが食べてみるとオリーブオイルの風味はまったくしません。
他の多くの国では食用としては販売もしていないことを覚えておくべきでしょう。
実はオリーブオイル専門店は取り扱わない!
あるオリーブオイル専門店では、オリーブポマスオイルは当然のことながら、ピュアオリーブオイルも含めて取扱いがありません。
なぜなら
- ピュアオリーブオイルもブレンドされているオイルに品質基準がないこと
- オリーブポマスオイルは、そもそもオリーブオイルとは呼べない
これらにより、その専門店としても品質の保証ができないからでしょう。
お客様に正しいオリーブオイルを届ける姿勢としては、評価される販売体制だと思われますね!
オリーブポマスオイルは何のために売られているの?
では、オリーブポマスオイルは何のために売られているのでしょう?
もちろん、日本では食用として販売も可能とされていますので、サラダ油などと同じく安価な植物オイルを手に入れたいというニーズにはお答えできるものです。
実際、インターネット上でも、オリーブポマスオイルは安いから天ぷらや揚げ物向き。無味無臭だから普通の調理油として向いている。といった書き込みがあります。
お肌のお手入れ
食用ではやはり、という方の中には、オリーブポマスオイルを美容目的に使用されているケースもあります。
オリーブオイルには優れた保湿力と抗炎症作用があるため、お肌には使えると言われていますが、果たしてオリーブオイルとは呼べないほど、加工されたオイルですので、そのオレイン酸やビタミンEなど、お肌に有効な栄養成分が残っているのかは疑問です。
メイク落としやマッサージ
オリーブポマスオイルをマッサージオイルや、メイクを落としに使っているという方もいらっしゃいます。もともとこの目的であれば、食用またはオリーブオイルである必要がないので、オリーブポマスオイルを使うっていうのは理解ができます。
筋肉への作用
ほかの用途として、オリーブオイルには皮膚の軟化作用もあるので筋肉疲労や筋肉痛の軽減などにも有効かもわかりません。アスリートの運動後のケアアイテムですね。
日本は低質オリーブオイルの輸入大国か?
こんなオリーブポマスオイルですが、日本は、先進国で経済大国ですので、マーケットも大きい。ヨーロッパで食用として売れない工業用のオリーブポマスオイルを受け入れてくれる有難い国になっているのではないでしょうか?
オリーブポマスオイルは有機溶剤を使って無理やりオイルを抽出したものなので、多くの先進国の間では、あくまで工業用。そもそも有機溶剤は使い方を誤ると呼吸困難などの中毒症状を起こす事もあるため、危険な物質です。
日本は国際オリーブオイル協会(IOC)に加盟していません。またJAS(日本農林規格)のオリーブオイルに対する規定が緩く、酸度2%以上であれば「食用オリーブオイル」として販売が可能です。それゆえに、酸度0.8%以下のエキストラバージンも、酸度が2%以下の「バージンオリーブオイル」も、さらには、ブレンド加工して作られた「ピュアオリーブオイル」までも、ごちゃまぜになって「食用オリーブオイル」として販売がされています。
さらには、昨今エキストラバージンオイルの偽装問題まで発覚しましたね。
これはイタリア国の偽装問題に端を発した日本だけに限らず世界的な問題だったのですが、日本は上記の理由もあって、とくに不正品が流通している可能性があります。
参考記事
▶ 日本のエキストラバージンオリーブオイルは偽物ばかり⁉その理由とは?
オリーブオイルは酸度や製法を見て賢い選択を!
日本での食用オリーブオイルの市場は、世界よりも遅れていると思います。現に、90年代のイタリアンブームがオリーブオイル人気の火付け役ですから、オリーブオイルの市場の歴史はたったの20数年。ヨーロッパやアメリカとはその歴史が違います。
今からはこれらオリーブポマスオイルのことや、オリーブオイル製品のことを知ってその目的によって、賢い選び方が求められる時代になってきたのでしょう。
ちなみに、楽天やAmazon.co.jpで売られているオリーブポマスオイルはこんなものです。
楽天でも普通に売られている!
Amazon.co.jp でも
おすすめの最上級オリーブオイル|Doleon エーゲの雫(エキストラバージンオリーブオイル)
オリーブポマスオイルまとめ
オリーブポマスオイルはその特徴を知って、用途にあわせて購入するようにしましょう。
ただ安い、流通コストがカットされたオイルという意味ではありません。
化学溶剤を使って抽出した植物油も、トランス脂肪酸の問題もあって、さまざまな議論が交わされています。
参考記事
▶ キャノーラ油、まだ使いますか?トランス脂肪酸+αの怖い話とは
▶ 米油にはトランス脂肪酸が少ない?知っておきたい米油の安全性
トランス脂肪酸なんてまったく気にしないわ。という方もいらっしゃるのも事実だと思われますが、オリーブポマスオイルについては、海外では決して食用として売っていない国も多いオイルであることを忘れずにしましょう!
(By ディオニソス)