ここ数年、ココナッツオイルが大変注目を浴びています。食品スーパーでも販売していない店舗はほとんど見つからないほど、どのお店にも置いていますね。すっかり市場に浸透しています。
ココナッツオイルが注目を浴びた理由の一つは、含有成分の『中鎖脂肪酸』に、脂肪を燃焼させる効果や認知症を予防する効果があるから。
では、この『中鎖脂肪酸』を多く含む食品としては、ココナッツオイル以外にどのようなものがあるのでしょうか?もっと効率よく中鎖脂肪酸を摂ることができる食品があったら、とても便利ですよね。。
今回は、中鎖脂肪酸を多く含む食品を脂肪酸別のランキング形式でご紹介したいと思います。
この記事の目次
中鎖脂肪酸を多く含む食品
ココナッツオイル(やし油)やその仲間のパーム(アブラヤシ)の種子から搾るパーム核油は、「中鎖脂肪酸」の含有が高く約60%を含んでいます。たくさん種類のある植物オイルの中でも、この「中鎖脂肪酸」を多く含むのはココナッツオイルやパーム核油など『ヤシ科の植物オイル』だけです。他にも、含有率はさほど高くはないものの牛乳や乳製品、母乳などにも中鎖脂肪酸は含まれています。
中鎖脂肪酸を多く含む食品、脂肪酸別ランキング
中鎖脂肪酸は、その分子が持つ炭素数によって、”カプロン酸”、”カプリル酸”、”カプリン酸”、”ラウリン酸”という4つの細かい種類に分類されます。
では、これら中鎖脂肪酸を多く含有する食品とはどれか?4つの脂肪酸種類別の含有量ランキング、ならびに全中鎖脂肪酸の含有量、総合ランキングをご紹介していきたいと思います。
データ引用元:文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
<1> カプロン酸 C6(IUPAC系統名:ヘキサン酸、炭素数6個)
4種類の中で一番エネルギー代謝が早い脂肪酸です。ケトン体の体内レベルは上げることができますが、独特な香りと味で、胃を荒らしてお腹を下したり、のどがイガイガしたり、焼けるような感じがすることもあります。
順位 |
食品名 |
成分量100gあたりmg |
1 |
油脂類 発酵バター |
1,800 |
2 |
油脂類 有塩バター |
1,700 |
2 |
油脂類 食塩不使用バター |
1,700 |
4 |
乳類 クリーム 乳脂肪 |
930 |
5 |
乳類 ホイップクリーム 乳脂肪 |
840 |
6 |
乳類 ナチュラルチーズ チェダー |
740 |
7 |
乳類 ナチュラルチーズ クリーム |
700 |
8 |
乳類 ナチュラルチーズ やぎ |
670 |
9 |
乳類 ナチュラルチーズ エメンタール |
660 |
10 |
乳類 ナチュラルチーズ ブルー |
630 |
<2> カプリル酸 C8 (IUPAC系統名:オクタン酸、炭素数8個)
4種類の中で、ケトン体を最も効率的に作ることができ、脳への作用が期待できます。また、腸環境を改善する殺菌作用もあります。低糖質ダイエットをするには、最も適している脂肪酸です。
順位 |
食品名 |
成分量100gあたりmg |
1 |
油脂類 やし油 |
7,600 |
2 |
油脂類 パーム核油 |
3,900 |
3 |
乳類 コーヒーホワイトナー粉末状 植物性脂肪 |
1,600 |
4 |
果実類 ココナッツミルク |
1,100 |
5 |
油脂類 食塩不使用バター |
990 |
6 |
油脂類 発酵バター |
980 |
7 |
油脂類 有塩バター |
960 |
8 |
油脂類 ショートニング業務用 製菓 |
680 |
9 |
乳類 ナチュラルチーズ やぎ |
640 |
10 |
調味料及び香辛料類 セージ 粉 |
560 |
<3> カプリン酸 C10 (IUPAC系統名:デカン酸、炭素数10個)
カプロン酸やカプリル酸よりは遅いですが、エネルギー代謝が比較的早い脂肪酸で、ケトン体レベルを上げることができます。
順位 |
食品名 |
成分量100gあたりmg |
1 |
油脂類 やし油 |
5,600 |
2 |
種実類 ココナッツパウダー |
3,700 |
3 |
油脂類 パーム核油 |
3,400 |
4 |
油脂類 有塩バター |
2,100 |
4 |
油脂類 食塩不使用バター |
2,100 |
4 |
油脂類 発酵バター |
2,100 |
7 |
乳類 ナチュラルチーズ やぎ |
1,500 |
8 |
乳類 コーヒーホワイトナー粉末状 植物性油脂 |
1,300 |
9 |
乳類 クリーム 乳脂肪 |
1,200 |
10 |
乳類 ホイップクリーム 乳脂肪 |
1,100 |
<4> ラウリン酸 C12 (IUPAC系統名:ドデカン酸、炭素数12個)
消化吸収が長鎖脂肪酸と近いため、他の3種類よりエネルギー代謝は遅いですが、ケトン体の生成が少量で持続する特徴があります。また、免疫力を高める効果があります。
順位 |
食品名 |
成分量100gあたりmg |
1 |
油脂類 パーム核油 |
45,000 |
2 |
油脂類 やし油 |
43,000 |
3 |
種実類 ココナッツパウダー |
28,000 |
4 |
乳類 コーヒーホワイトナー粉末状 植物性脂肪 |
14,000 |
5 |
果実類 ココナッツミルク |
6,900 |
6 |
油脂類 ショートニング業務用 製菓 |
6,600 |
7 |
油脂類 ファットスプレッド |
4,900 |
8 |
油脂類 ソフトタイプマーガリン業務用 |
3,600 |
8 |
油脂類 ソフトタイプマーガリン家庭用 |
3,600 |
10 |
油脂類 ショートニング家庭用 |
3,500 |
◆◆ 総合ランキング ◆◆
カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸の4種類の中鎖脂肪酸の合計値をランキングにしてまとめてみました。
順位 |
食品名 |
成分量100gあたりmg |
1 |
油脂類 やし油 |
56,710 |
2 |
油脂類 パーム核油 |
52,490 |
3 |
種実類 ココナッツパウダー |
31,700 |
4 |
乳類 コーヒーホワイトナー粉末状 植物性脂肪 |
17,020 |
5 |
果実類 ココナッツミルク |
8,955 |
6 |
油脂類 ショートニング業務用 製菓 |
7,899 |
7 |
油脂類 食塩不使用バター |
7,390 |
8 |
油脂類 発酵バター |
7,380 |
9 |
油脂類 有塩バター |
7,260 |
10 |
油脂類 ファットスプレッド |
5,620 |
ランク外にはなりますが、牛乳(普通牛乳)には、334mg、母乳には、210mgの中鎖脂肪酸(4種合計)が含まれています。
「ランキング考察」
中鎖脂肪酸含有の上位には、ヤシ科の代表的な植物オイルであるやし油(ココナッツオイル)やパーム核油、またココナッツパウダーやココナッツミルクなどのヤシ原料の食品が並びました。また、バターにも中鎖脂肪酸が多く含有されていることも分かります。
コーヒーホワイトナーやショートニングなどもありますが、トランス脂肪酸(インスリンの作用低下や脂肪肝など様々な健康上の問題を起こす可能性があります)を多く含有するため、摂取量にはくれぐれも注意が必要です。
飽和脂肪酸の中でも、長鎖脂肪酸より中鎖脂肪酸を多く含んでいる「ココナッツオイル」は、とくに健康に有益なオイルとして特別視されています。しかし、その搾油、加工段階で水素添加されたり、他のオイルを混ぜているような質が悪い安価なココナッツオイル(トランス脂肪酸が含有されているもの)も出回っています。購入の際には、価格面だけでなく、十分に本物を見極めて選ぶ必要があると言えます。
中鎖脂肪酸を特に摂取してもらいたい方
中鎖脂肪酸は、
- 肥満が気になっている方
- 健康診断でトリグリセリド値が高い方
におすすめしたい脂肪酸です。トリグリセリドとは、中性脂肪のことです。
中鎖脂肪酸は、安全性が高いと言われていますが、副作用がないわけではありません。一度に中鎖脂肪酸を大量に摂取することには注意が必要です。摂取目安量や効果的な摂取方法を守り、上手に活用できるといいと思います。
逆に、中鎖脂肪酸摂取がお勧めできない方もいます。それは1型糖尿病や肝臓病の方です。中鎖脂肪酸を摂取することで、ケトン体が作られやすくなりますが、これらの病状をお持ちの方は、ケトン体の処理能力が低下しているため、糖尿病性ケトアシドーシスという現象を引き起こす可能性があります。糖尿病を患っている方は、中鎖脂肪酸の摂取前には医師への相談が必要です。
中鎖脂肪酸を多く含む食品まとめ
ココナッツオイルやパーム核油は、その他の食品と比較しても群を抜いて中鎖脂肪酸を含む値が高いことがよく分かりました。また、次いでココナッツパウダーやココナッツミルクなどのココナッツ製品、乳製品のバター、油脂類のショートニングやマーガリンなどにもたくさん含まれることがわかります。
中鎖脂肪酸は4種類があり、特にカプリル酸が、脳への作用、腸内環境の改善効果、ダイエット効果などの健康効果をもたらすので、積極的に摂取したい中鎖脂肪酸の種類です。カプリル酸の含有値もココナッツオイルやパーム核油が上位を占めています。
また、バターなどの乳製品にも含まれています。乳製品は家庭で常備しやすいものですので、上手にこれらも活用したいところですね。
ただし、油はカロリーも同時に高いので、一日や一度の摂取量にはくれぐれも注意が必要です!
(by ゼウス23世)
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