カラダにいい油、悪い油とは?オイル別脂肪酸組成比率リスト
私たちは、毎日の食生活の中で油を摂取していますが、身体にとっていい油と悪い油について考えたことはありますか?健康オイルと言われるオメガ3系の脂肪酸はカラダにいい油として知名度が上がっていますが、本当の意味で、カラダにいい油、悪い油、摂取しすぎない方がいい油とは一体どのような油でしょうか?
あなたの使っている油は、安心して使える“いい油”ですか?
今回は、カラダにいい油、悪い油についてご紹介したいと思います。
この記事の目次
油ってなに?
人間が生きていくためには大切な油(脂肪)は、炭水化物、タンパク質と並んで3大栄養素の一つです。油はそのカロリー量も高く、摂りすぎると肥満や生活習慣病などの原因になる恐れがあるため、昔から悪いモノと位置づけられ敬遠されがちでしたが、油(脂肪)そのものには生命を維持するために大切な役割があります。
油は、エネルギー源として必要なのはもちろん、例えば人間の脳の60%は脂肪で構成されており、他にもホルモンや胆汁、細胞膜を作るための材料としても欠かせない存在。他にも、皮膚のうるおいや健やかさを保つ割も持っています。油は様々なところで、人間の活動を支えています。
脂肪酸の種類別 カラダにいい油・悪い油
<1> カラダにいい影響がある“いい油”
(1)α-リノレン酸などのオメガ3脂肪酸
α-リノレン酸などのオメガ3脂肪酸を主成分とする油には、えごま油や亜麻仁油、また魚の油などがあります。現代人は、これらのオメガ3系のオイルが非常に不足気味です。
オメガ3系のオイルは、逆に過剰摂取が問題となっているオメガ6系のオイルの悪い作用(炎症など)を抑え、身体を正常に保つ働きがあります。また、中性脂肪を減少させたり、心疾患や脳梗塞、動脈硬化を防ぐなど、血液や血管の健康維持には必要不可欠な脂肪酸です。
ただし、オメガ3系オイルには、非常に繊細で酸化しやすいという欠点があり、オイルの劣化に関しては特に気をつけておかなければなりません。
(2)オレイン酸などのオメガ9脂肪酸
オレイン酸などのオメガ9脂肪酸を主成分とする油には、オリーブオイルや菜種油、アボカドオイル、紅花油(*ハイオレイック)、ヒマワリ油(*ハイオレイック)などがあります。
オメガ9系のオイルは、抗酸化力のあるオレイン酸を豊富に含み熱や酸化にも強く、加熱調理にも最適です。また、悪玉コレステロールを減少する、動脈硬化を予防する、便秘の改善効果などがあります。
(注)*ハイオレイックとは?・・オレイックはオレイン酸を指します。ハイオレイックとは、オレイン酸含有率が高くなるように品種改良された種子を意味します。
<2> 摂取しすぎるとカラダに悪影響が出る“悪い油”
(1)リノール酸などのオメガ6脂肪酸
リノール酸などのオメガ6脂肪酸を主成分とする油には、サラダ油、紅花油(ハイリノール)、ヒマワリ油(ハイリノール)、大豆油、綿実油、ごま油、コーン油、グレープシードオイルなどがあります。現代人は、これらのオメガ6系のオイルの過剰摂取が問題視されています。
オメガ6系のオイルを摂取し続けていると、身体の免疫細胞が敏感に反応するようになり、アレルギー反応を引き起こし、ジリジリと重症化します。また、体内に発生した炎症物質は細胞を傷つけ、正常に働くことを妨げるため、動脈硬化やガンなどの重篤な病気へと発展させてしまいます。
(注)*ハイリノールとは?・・リノールはリノール酸を指します。ハイリノールとは、リノール酸の含有率が高くなるように品種改良された種子を意味します。
(2)飽和脂肪酸
飽和脂肪酸を主成分とする油には、バターやラード、肉類の脂や乳製品などがあります。肉類中心の欧米化した食生活を送る現代人は、オメガ6系のオイルと同様に過剰摂取気味になっています。
飽和脂肪酸は、常温で個体として存在し、身体の中に取り込まれてからも溶けずに体内で固まりやすくなっています。飽和脂肪酸を摂取しすぎることで、血液はドロドロの状態となり、中性脂肪や悪玉コレステロールが増加し、病気を引き起こしてしまいます。たとえば、動脈硬化や糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞といった病気を始め、肥満にも大いに影響があります。
オイル別脂肪酸組成比率リスト
次に、植物油の脂肪酸別の組成比率をご紹介します。飽和脂肪酸・オレイン酸(オメガ9脂肪酸)・リノール酸(オメガ6脂肪酸)・α-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)の項目別に表に示しました。
オイル名 脂肪酸の種類 組成比率(%) |
飽和脂肪酸 |
オレイン酸 (オメガ9脂肪酸) |
リノール酸 (オメガ6脂肪酸) |
α-リノレン酸 (オメガ3脂肪酸) |
その他
|
亜麻仁油 |
9.6 |
17.2 |
15.3 |
56.9 |
1.0 |
えごま油 |
6.4 |
15.7 |
15.0 |
59.8 |
3.1 |
菜種油 |
6.1 |
59.1 |
22.4 |
10.8 |
1.6 |
サチャインチオイル |
6.8 |
7.6 |
35.2 |
50.4 |
|
オリーブオイル |
14.0 |
74.6 |
10.4 |
– |
1.0 |
ココナッツオイル |
88.1 |
6.5 |
1.2 |
– |
4.2 |
米油 |
18.4 |
41.1 |
36.3 |
1.4 |
2.8 |
ごま油 |
14.8 |
38.9 |
43.7 |
– |
2.6 |
綿実油 |
23.3 |
18.2 |
55.5 |
– |
3.0 |
大豆油 |
14.1 |
23.3 |
55.4 |
7.2 |
|
紅花油 ハイオレイック ハイリノール |
7.6 9.4 |
75.2 13.3 |
15.0 77.1 |
0.2 |
2.0 0.2 |
ヒマワリ油 ハイオレイック ハイリノール |
8.9 10.7 |
80.6 18.8 |
7.7 69.6 |
0.2 0.6 |
2.6 0.3 |
グレープシードオイル |
12.0 |
18.7 |
66.0 |
0.6 |
2.7 |
アボカドオイル |
16.9 |
65.5 |
11.4 |
1.5 |
4.7 |
コーン油 |
13.2 |
29.2 |
56.4 |
1.2 |
|
アルガンオイル |
20.3 |
44.4 |
32.7 |
– |
2.6 |
パーム油 |
48.1 |
41.6 |
9.4 |
– |
0.9 |
※サフラワーとヒマワリ油は、原料となる種の種類によって、ハイオレイック種とハイリノール種に区分けされて算出されています。
※サチャインチオイルは別名でインカインチオイル、グリーンナッツオイルとも呼ばれています。
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絶対に避けたい!摂取NG!カラダに悪い危険な油
摂取してはいけない危険な油
(1)酸化した油
酸化した油とは、空気(酸素)・光・熱などに触れることによって劣化してしまった油のことを言います。酸化した油は、摂取するだけで体に害になり、体内に入ると活性酸素を吸収して有害物質(過酸化脂質)に変化します。この過酸化脂質は、全身の細胞膜に侵入し、細胞を内側から酸化させ、傷つけます。酸化した細胞は、正常な働きが出来なくなってしまい、老化の促進や様々な病気を引き起こします。
油の酸化速度は、含まれる脂肪酸の種類によって異なります。中でも、オメガ3系の脂肪酸や、リノール酸は、とても酸化が早いです。なるべく短期間で確実に使い切れるものを購入し、冷蔵庫などで保管することをおすすめします。製品の中には、1回分使い切りになって小分け包装してあるものもありますので、上手に利用したいですね。
(2)トランス脂肪酸
日本において、トランス脂肪酸は、多くの食品に多用され、使用規制もされていません。しかし、ヨーロッパやアジア諸国ではかなり以前より、その有害性が危険視されており使用が禁止されたり規制されています。アメリカでも、今年2018年6月よりトランス脂肪酸が生成される水素添加した植物油の使用全廃が決定されました。
トランス脂肪酸は、液体状の植物オイルに水素を添加して固形の状態に加工した脂肪酸のことです。トランス脂肪酸が使われる代表的な食品には、マーガリンやショートニングがあり、他にもコーヒー用のミルクやスナック菓子、アイスクリームやマヨネーズなど、広い範囲で加工食品に使用されています。
他にも、植物油の製造工程で、高温の加熱処理(溶剤抽出や高温圧縮)が行われると、トランス脂肪酸が発生します。
トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らし、細胞の働きを抑制してしまいます。この状態が続くと、糖尿病や認知症、ガン、アレルギー疾患など様々な病気を引き起こします。
トランス脂肪酸を使用した食品を避けたり、植物油は製品に“低温圧縮(コールドプレス)”と表示のないものは使わないなど、自主的な心がけが必要になります。
意外と盲点!注意してチェックしたい油
(1)遺伝子組み換え原材料を使用した油
油には、遺伝子組み換えの原材料が使用されていても、表示義務がありません。そのため、製品の裏側にある原材料表示からは、遺伝子組み換えの原材料を使用しているかどうかはわかりません。また、植物油の多くは、国内産ではなく外国から輸入した材料を使っている場合が多く、遺伝子組み換えの材料を使用されている可能性も大いにあります。特に、リーズナブルに購入できる油はこのような傾向が強いです。もし、非遺伝子組み換えの原材料が使われている場合は、必ずパッケージのどこかに表示がありますので、表示を確認し購入することをおすすめします。
(2)偽装油
油にも本物の油と偽物の油があります。
例えば、安全でヘルシーそうにみえるオリーブオイルですが、偽装商品が多く、本当に品質がよいものは一握りだと言われています。イタリア産のオリーブオイルの8割が偽物という噂もあり、驚いてしまいますよね。
オリーブオイルは、オリーブの実から採れるオイルですが、その実が収穫されてから時間が経過したものや腐敗したものまで使用しているオイルさえあるそうです。また、オリーブオイル以外に水素添加された粗悪な油を混合させトランス脂肪酸を含んでいることもあります。
こうなると、オリーブオイルだから安心…と、購入するだけでは、逆に健康を害してしまう恐れがありますね。オリーブの栽培・収穫・製造工程に至るまで信頼できる製品を購入者が見極めて選ぶ必要があります。
(3)プラスチックボトルや缶に入った油
油に使われるプラスチックボトルや缶ボトルには、BPA(ビスフェノールA)という環境ホルモンの一種が含まれています。このBPAは、女性ホルモンのエストロゲンに良く似た働きがあり、乳がんの原因物質の一つと考えられています。
BPAは油に良く溶ける性質があるため、プラスチックボトルは注意が必要です。日本のオイル製品にも、プラスチックボトルや缶ボトルが使用されている製品が数多くありますが、ボトルにBPA不使用と書いてあるものはまだ少数です。ボトルに、BPAが使われていないという表示があるものを選び使用することをおすすめします。
カラダにいい油、悪い油とは?まとめ
油分はカロリーが高く、肥満になる、生活習慣病につながるから、油のすべてが悪いんだ!という風潮から、今の時代では良い油と悪い油があることが意識されるようになりました。
逆にオメガ3やココナッツオイルではダイエットにも効果があったり、オメガ3は現代ではとくに不足ぎみで積極的に摂らないといけない油だということもあまりよくは知られていません。厚生労働省の食事摂取基準ではちゃんと書かれてあるのに、あまりその内容は宣伝もされていません。
意識が薄い人には知られなくて良いという国のスタンスなのでしょうかね?(苦笑)
参考記事
▶ オメガ3ダイエット!油を変えるだけで痩せられるって本当!?
▶ ダイエット用ココナッツオイルサプリの選び方、飲み方とは?
さて、今回覚えておきたいことは、
- “油=悪いもの”ではなく、“いい油はカラダに必要だが、悪い油は健康への悪影響になる”
- それぞれの脂肪酸は、どの脂肪酸も必要不可欠で、“それぞれのバランスを保ちながら摂取することが大切”
- オイルは賞味期限に関わらず、“質や状態も重視しなければならない”
ということです。
毎日使用する油は、私たちの細胞膜やホルモンなど体を構成する重要なものです。多くの細胞は3カ月で生まれ変わると言われているので、質とバランスにこだわって選びたいものですね。
(By ゼウス23世)
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