植物オイルは、食用だけではなく、美容や燃料などとっても幅広い分野で利用されています。
2000年を過ぎたころから、コスメの世界では、シアバターをはじめ、ホホバオイル、アルガンオイルなど、機能性が高い植物オイルも続々と登場し、今なお話題となっています。
植物オイルの種類も増え、その特徴やメリットなど混在している植物オイルですが、美容面ではお肌だけではなく、ヘアケアの面でもとても役に立ちます。
今回は、ヘアケアでメリットのある植物オイルの種類や人気、その役割、効果的な使い方などをご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
ヘアケアに使う植物オイルの役割、メリットとは?
(1)栄養と水分を閉じ込め保護してくれる
夏の紫外線、冬の乾燥、冷暖房など…髪はいつの季節でも戦い続けています。ダメージを受け続けた結果、髪がパサついてまとまりが悪くなったり、艶がなくなったりしてしまいます。
植物オイルは、そんな一年、昼夜を問わず戦い続けている髪を労り、潤いやツヤを与え、保湿する効果を与えてくれます。
“オイル”と聞くと、何となくベタベタして、髪にとってマイナスのイメージがある方もいるかもしれませんが、シャンプー後のトリートメントで栄養を補っても、それらをしっかり閉じ込めてなければ、効果が長続きしません。
ヘアケア用の植物オイルを使えば、与えた栄養や水分をしっかりと閉じ込めてくれます。
(2)ドライヤーの熱から髪を守ってくれる
忙しく仕事をしていて自然乾燥する時間がないあなたには、どうしても欠かせないのがヘアドライヤー。週末以外は、ヘアドライヤーを必ず使うのではないでしょうか。
一般的なドライヤーの風は100~120℃ほどと言われています。JIS規格によると、吹き出し口から3㎝のところで140℃以内になるように設計することが定められているようです。
なのに、髪が絶えられる温度は、実は70℃前後。これを超えると、髪は火傷をした状態になってしまいます。
髪には残念ながら神経が通っていないので、熱によるダメージを受けていても、感覚がなく気が付きません。
しかも髪はタンパク質でできていますので、この温度を超えると、タンパク質変性を起こし、すぐにパサつきや枝毛などの大きな原因となっています。
そこで、ヘアオイルの出番なのです!
髪の毛をオイルコーティングすることで、ドライヤーの熱から髪の毛を守り、ダメージを受けづらくしてくれます。
(3)ブラッシングの摩擦から髪を守る
ブラッシング中に引っ掛かりがあると、強く引っ張ってしまい切れ毛や枝毛の原因となってしまいますよね。濡れたままの髪の場合にはそのキューティクルまで柔らかくなっているので、ブラッシングでは特に傷みやすく、キューティクルも失われてしまいます。
ヘアオイルを使用した場合には、髪の引っかかりを抑え、摩擦の軽減につながるため、髪の毛やキューティクルを守ってくれます。しかし、ヘアオイルは必ず髪全体に伸ばして使うことも忘れずにおきましょう。
ヘアケアに人気の植物オイルの種類と特徴とは?
植物オイルには、食用や化粧品用などありますが、ヘアケアには化粧品用に精製されたオイルの方が良いでしょう。化粧品用に精製された植物オイルは、食用のものとは精製方法が違っています。
また、ヘアケアに使用する植物オイルは、洗髪後のドライヤー熱のこともあるので、熱に強く、酸化しにくいオイルがおススメになります。
【1】椿オイル(カメリアオイル)
椿オイルは“オイルの神様”とも称され、オリーブオイル、ホホバオイルとともに、『世界三大オイル』の1つです。
日本における椿オイルの歴史は古く、私たちには馴染みが深い伝統的な植物オイルです。
椿オイルは、約1200年前の平安時代には食用、薬用、灯油としても広く使用されていました。江戸時代になると、日本人女性の綺麗な黒髪を保つための化粧油としても使用されてきました。
椿油の成分は?
椿油の組成は、オレイン酸85%、パルミチン酸7.9%、リノール酸3.8%、他ステアリン酸など。オメガ9中心のオイルですね。
椿オイルの特徴は、すこし粘性があって、なめらかで付け心地が良い。浸透力にも優れれているといったものがあります。
また、熱にも強いオイルです。
椿オイルは、不乾性油に区分され、肌などにつけてもサラサラしているのも特徴です。
椿オイルを髪に使用すると、ハリやコシが出てきます。バリア機能も良好で、紫外線からのダメージをしっかりと防いでくれます。
しかし、酸化オイルには気をつけましょう。
椿オイルは、シャンプーしても、髪に残りやすいという性質があります。洗い落としたつもりでも髪に残ってしまって、残った油の酸化がすすむと、髪を傷める原因にもなります。使用する量や頻度を工夫する必要がある植物オイルです。
【2】ホホバオイル
こちらも『世界三大オイル』の一つ。
正式には“オイル(脂肪酸)”ではなく、ワックスエステルと呼ばれる“エステル”に区分されます。
エステルは人間の角質層にも20~30%ほどが含まれていて、そのため肌馴染みもよく、どのような肌にも相性が良いものです。
軽い付け心地でサラサラ、かつ浸透力に優れ、熱に強く、非常に酸化しにくいという性質があります。その付け心地(使用感)は好みがわかれるかも知れませんが、成分的には椿オイルともよく似た植物オイルです。
ビタミンE、ビタミンA,ビタミンB、17種類のアミノ酸が含まれ、抗酸化作用やアンチエイジング効果が期待できます。
ホホバの木は、カリフォルニアやメキシコの砂漠地帯に生息していて、降り注ぐ強い日差しからも肌や髪を守るために、原住民族インディアンたちによって利用されてきました。
ホホバオイルは、頭皮のマッサージに最適です。皮膚からの浸透力があるので、頭皮マッサージに使うと、毛穴の汚れを取る、皮脂分泌を正常にするなど効果があります。
また頭皮を柔らかくし、抜け毛やフケ、かゆみなど抑えなどにも効果があります。
個人的には、髪を紫外線から守る日焼け止めとしてオイルとしての使用がおススメです。
【3】アルガンオイル
モロッコの南西部、サハラ砂漠の一部にしか生えないアルガンツリーという植物から作られます。30kgの種子から1ℓしか採れないという、貴重で高価なオイルです。
なめらかな付け心地で、肌への浸透力にも優れ、酸化しにくい、熱にも強いオイルです。
ビタミンEの含有量は、オリーブオイルの2、3倍。オレイン酸も豊富なので、アンチエイジングにも効果が期待できます。
アルガンオイルは、様々なヘアケア商品にも使われている人気のオイル。リノール酸も多く含み、抜け毛や白髪予防。髪の毛に直接塗れば、しっとりとまとまりのある髪にしてくれます。
【4】アーモンドオイル
スイートアーモンドオイルは、古代ギリシャの時代からトリートメントオイルに使われた歴史が長く、美しい髪にするためだけでなく、地肌ケアにも効果があると言われています。
アーモンドオイルは、浸透力に優れ、酸化しにくいオイルです。
マグネシウム、カリウム、ビタミンEなどに加え、キューティクルの素となるオメガ9脂肪酸など、髪に有効な成分がたくさん含まれています。
地肌をマッサージすることで、頭皮の古い角質の除去、毛包の血流促進など育毛にも効果を発揮します。
【5】ココナッツオイル
サラサラとした付け心地で、浸透力に優れ、酸化しにくいオイルです。ここ数年、飽和脂肪酸の食用オイルとしても人気が出てきました。
ココナッツオイルは、実はヘアケアにも最適と言われています。髪の乾燥を防ぐ効果があるだけでなく、地肌の感染症、炎症の予防、髪を丈夫にするとも言われています。
古くからココナッツオイルを髪に使用してきたポリネシア地方の人々は、年をとってもフサフサとした黒髪の人が多く、頭皮のアンチエイジング効果が注目されています。継続して使うと白髪や抜け毛の防止、育毛効果もあるため、女性だけでなく男性にも人気が出ているオイルです。
【6】アボカドオイル
粘性が高く、濃厚な付け心地。秋冬のヘアケア用オイルとして人気があります。
また、髪の表皮への浸透力が高く、酸化しにくいといった特徴があります。
オレイン酸を豊富に含み、βカロチン、ビタミンA、B群、C、E、カリウム、マグネシウム、鉄、リンなどが含まれています。
アボカドオイルは、髪を強くし、育毛促進の働きがあり、ヘアパックにも向いています。
また、紫外線からのダメージから守る作用もあります。
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ヘアケア用植物オイルの効果的な使い方
1.オイルを使用するタイミング
- お風呂上りにタオルドライした後、まだ濡れている髪の毛に使用する。
- 頭皮マッサージのときに使用する。
- 朝など、スタイリングする前に髪になじませる。
- 特に髪が傷んだり、乾燥したりしているときに使用する。
2.1回に使用する適用量
髪の量や質によっても適用量が異なってきますので、平均的な目安としてご紹介いたします。また、ご使用されるオイル製品に適用量が記載されている場合は、その指示に従ってください。
- ショートヘアの場合 1~2滴
- セミロングヘアの場合 2~3滴
- ロングヘアの場合 3~4滴
3.オイル使用の方法
3-1.オイルトリートメント
- 手のひらの中心に適用量のオイルを取る。
- 手のひらでオイルを伸ばす。両手の指の間まで広げて、よくなじませる →このようにしっかり広げることで、髪にオイルが均等に広がり、ベタつきが防げます
- 毛先と髪の内側中心にオイルをなじませる →この時、髪の表面にだけつけてしまうと、ベタベタした印象になってしまうので注意して下さい
- 毛先から上に向かって、内側からなじませる →揉み込むようにつけていきます
- 最終段階で初めて、髪の表面にもなじませる。
3-2.頭皮マッサージ
血行促進、新陳代謝が上がり、頭皮の毛穴の汚れを綺麗にします。頭皮はお顔の皮膚ともつながっているので顔全体のリフトアップ効果も望めます。
- 頭皮全体にオイルをなじませる。
- 生え際から頭頂部まで指で円を描きながらマッサージする。→絶対に爪を立てず指の腹で優しくマッサージしましょう。頭皮のコリをほぐしながら、汚れを浮かび上がらせるようにします
- マッサージが終わったら、髪全体をタオルで包み、10~20分程度置きます →この待ち時間に、入浴すると血の巡りも良くなり、更に効果が上がりますよ
- シャワーでしっかりと洗い流す
以上を一週間に1度ほどの目安で行うと効果的です。
3-3.スタイリング、傷んだ髪の修復
朝のスタイリング時にも使用できます。
- 適用量を取って、両手全体に広げてから、毛先を中心になじませていきます。
- 髪の傷みが気になる場所へ、適用量をなじませます。
→絶対に、オイルのつけ過ぎには注意して下さい。ベタついた印象になってしまいます。
ヘアケア用植物オイルまとめ
植物オイルは、種類も多く、使い心地から栄養の種類も本当に様々です。同じ種類の植物オイルでも、商品によっても使い心地が少しずつ違います。
また、希少な材料から手間暇かけて作られているオイルなのに極端に安価…など、粗悪品が出回っているのも事実です。
粗悪品に騙されることなく、自分に合ったヘアケア用植物オイルを見極めて、健康な髪を手に入れて下さい。
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(By ゼウス23世)