えごま油(しそ油)と亜麻仁油の違いとは?どちらが良いの?
健康や美容にも効果があるとして近年とても人気の「えごま油」と「亜麻仁油」。
テレビで紹介されるたびに、一時手に入りづらくなったりもする人気の植物オイルです。
どちらも“体にいい”ということは知られていますが、実際にこの2つにはどのような違いがあるのかご存じでしょうか。
また、えごま油としそ油との違いもよくわからなかったりしませんか?
今回は具体的にこれらの人気の植物油、えごま油と亜麻仁油の比較、違いについて、またどちらがいいの?おススメは、についてご紹介していきます。
この記事の目次
まずは”えごま油”と”しそ油”の違いから
荏胡麻(えごま)油と紫蘇(しそ)油、この2つのオイルは名前こそ違いますが、実は同じものです。
えごまはシソ科の植物です。バジル、ローズマリー、セージ、ミントなどと同じシソ科のミント種になります。
えごまブームになる前までは「えごま」という存在があまりにも一般に知られていなかったので、オイルをイメージしやすいように知名度のある「しそ油」という名称が使われはじめました。(油老舗の大田油脂さんのHP説明より)
違う油のように思えて、実は中身は同じものです。
えごま油(しそ油)とは?
ゴマという字が入っているので、『えごま』はごまの一種かな?と思われがちですが、えごまは『ごま』の種類とはまったく違います。
よく勘違いされているのですが、「えごま」はシソ科の一年草。その”えごまの種子”から搾取されたものが、『えごま油』です。
えごま油には少しクセがあり、人によって、または商品によってもえぐみが感じられ、ちょっと苦手だな~と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
亜麻仁(アマニ)油とは
「亜麻仁油」は亜麻(英名:フラックス)という植物の種子から搾取された油のことです。
『仁』とは種を示す言葉なので、「亜麻仁」というのは“亜麻の種”という意味になります。
亜麻仁油にもえごま油と同じように少しクセがあります。しかし、これも商品によって変わる印象が強くあります。亜麻仁油もえごま油もその独特のえぐみや渋みといったものは、メーカーによる抽出の仕方の違いによって変わるという意見が多くあります。
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えごま油と亜麻仁油の大きな違いとは?
【1】 脂肪酸(脂質)成分の比較
えごま油と亜麻仁油の脂質構成を比べてみましょう。
えごま油 | 亜麻仁油 | |
αリノレン酸 (オメガ3脂肪酸) |
60% | 56% |
リノール酸 (オメガ6脂肪酸) |
14.30% | 15% |
オレイン酸 (オメガ9脂肪酸) |
14.40% | 18% |
どちらのオイルも今一番摂らなければならない必須脂肪酸として注目されているオメガ3の「αリノレン酸」が50%以上も入っています。
そして、摂取量をできるだけ押さえたいオメガ6リノール酸の割り合いが15%前後と、バランス問題が指摘されている脂肪酸バランスを整えてくれる効果が大きく期待される植物油です。
【2】 ポリフェノールの含有
(1)亜麻リグナン
亜麻仁油には、ポリフェノールの一種の「リグナン」という成分が含まれています。
リグナンは、抗酸化物質として働く「植物エストロゲン」として知られています。実は日本では、この分野の研究は、ゴマのセサミン類を除き非常に遅れていて、欧米での研究がすすんでいます。
欧米では、この「リグナン」の抗がん作用をはじめとする多くの有用性に対する関心が高く、研究事例も多いと農林水産省資料にも紹介されていました。 http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010753234.pdf
またリグナンは腸内細菌によって「エンテロラクトン」に代謝されることが知られています。
このエンテロラクトンは、植物由来の女性ホルモンのような働きをする植物エストロゲンの1つです。
植物エストロゲンは,乳がん,冠動脈疾患,腸がんなどのリスクを低下する効果を有することが報告されています(同、日本農林水産省資料より)
大腸がんや乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなど「ホルモン」に関わるがんを防いでくれる効果がとても期待されている注目のポリフェノールなのです。
加えて、インフルエンザやヘルペス、A型肝炎、B型肝炎などのウイルスに対しても、強力な免疫システムも発揮してくれるとされています。
亜麻リグナンについてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事
▶ 亜麻リグナンの驚きの効果9選!摂取の仕方、良い商品とは?
(2)えごま「ルテリオン」「ロズマリン酸」
一方、えごま油には「ルテオリン」と「ロズマリン酸」というポリフェノールが含まれています。
ルテオリンには強い抗炎症作用が期待されていて、アレルギー性疾患や脳炎症を抑える効果があるほか、老化の原因となる活性酸素を抑えるといった抗酸化性も含まれています。
ロズマリン酸には、糖分の溜まり過ぎを防ぎ、そのためのダイエット効果や、抗アレルギー性といった効能に役立つとされています。
【3】 食物繊維
亜麻仁油には水溶性および不溶性の食物繊維がバランスよく含まれているのも大きな特徴です。この2種類の食物繊維によって、腸のぜん動運動を刺激して、便秘を改善してくれるとされています。
便秘に食物繊維が効くということはよく知られていますが、水溶性と不溶性のその両方を摂取する必要があります。
その両方が一度に含まれる食材というのは珍しく、その点で亜麻仁油は便秘解消効果が大きく期待できる食材だと言えます。
何かと今注目されている必須脂肪酸。植物油はオメガ系のその必須脂肪酸を摂ることだけに注目されていますが、ポリフェノールや食物繊維といった天然成分も実は大切な存在です。
そして、えごま油と亜麻仁油は、その脂肪酸比率からほぼ効果は一緒と謳われていることが多いのですが、ポリフェノールや食物繊維の事を考えると、それぞれに大切な成分が含まれいるのがわかります。ですので、厳密にはどちらかを摂れば良いというものではなく、それぞれに効果のある希少な成分が入っており、亜麻仁油もえごま油もそれぞれに摂取した方が良い、と表現するのが正しい植物油だと言えます。
えごま油も亜麻仁油も酸化しやすい
えごま油も亜麻仁油も“酸化しやすい”と言う性質があります。
それは分子構造上、長鎖脂肪酸を中心とした不安定な「不飽和脂肪酸」がそのほとんどをしめるからです。
酸化は、酸素に触れること以外にも光の影響も受けるので、光を通さない遮光性の強いボトルに入っている商品がおススメです。透明プラスチックなどはもっとも光に弱い存在です。
また、製造方法も注目して選ぶ必要があるでしょう。
サラダ油など精製、脱臭、脱色されている油は、もとの植物原料の栄養成分が失われる以外にも、体に悪影響を及ぼすとされる「トランス脂肪酸」を発生させてしまいます。
特にαリノレン酸を中心としたえごま油や亜麻仁油については、精製加工処理したものは極力避けなければなりません。
さらに、パッケージに「この油にはリグナンや食物繊維が含まれていません」と書かれている場合は、高温精製処理されている可能性が高いので注意してください。
『低温圧搾(コールドプレス)』という製法で作られた油を選ぶのが大事です。
ポイント
- 亜麻仁油もえごま油も酸化しやすいので、光を通さない遮光ボトル、そしてコールドプレス製品を選ぶのがおススメ!
- なのに、「えごま油」にはその両方の条件を満たしていない商品も多いので、要注意かも!?
- えごま原料が韓国、中国からの輸入がほとんどなので、無理はないのか・・(筆者想)
- 亜麻仁油はその点、しっかりした製品もありますので、この観点からも亜麻仁油がおススメだと思いませんか?!
αリノレン酸は加熱に弱いので生で!と言うがそれは間違い!
よくえごま油も亜麻仁油も熱に弱いので生のまま食べなければならないとされています。
それは、その主成分であるαリノレン酸が熱に弱いからという説明があります。
しかし、それは間違いです。
なぜなら、チアシードオイルやインカインチオイル。これらもαリノレン酸を多く含むオメガ3系オイルですが、加熱しても問題ないとされています。また、カメリナオイルもオメガ3系ですが、調理可能なオイルです。
つまり、αリノレン酸が加熱に弱いというのは間違いです。
加熱に強いかどうかは実は「発煙温度」
植物オイルにはそれぞれの脂肪酸組成によって、その「発煙温度(発煙点)」が違います。海外では広く「スモークポイント」として知られています。
オリーブオイルや米油が調理に使えるのは、その「発煙温度」が他のオイルに比べて高いからです。
発煙温度を超えると煙が立ちはじめ、油の状態が急激に不安定になり、そこから酸化が進んでいきます。なので、発煙温度(発煙点)の低いオイルは加熱は危険で、なるべく生で摂りましょう!という解釈になります。
実は亜麻仁油の中には、この発煙温度を250℃まで高めたオイルが発売されています。
この亜麻仁油であれば、軽く炒めたりするだけでなく、パン生地に練り込んでオーブンで調理することも可能です。
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オメガ3αリノレン酸の効能
えごま油、亜麻仁油の両オイルに多く含まれるオメガ3必須脂肪酸をとることによる効果、メリットは?
- 認知症の予防
- 記憶学習能力の向上 (子供の脳の発育に効果)
- 血流改善、血栓予防効果
- アレルギー抑制 (花粉症、アトピー性皮膚炎など)
- 老化予防 (アンチエイジング)
- うつの軽減
- 中性脂肪・血中コレステロールの軽減
- 高血圧の予防
- 糖尿病の予防
- 動脈硬化・不整脈の予防
- 脳卒中の予防
- ガンの予防 (特に乳がん、肺がん、大腸がんに有効)
- 視力アップ
- 脂肪肝の予防
- ダイエット効果
- 美容・美肌効果
(『医者も知らない亜麻仁油パワー』ドナルド ラディン (著), クララ フェリックス (著), 今村 光一 (翻訳)より)
とざっと列挙しただけでも驚きの効果が期待されているのです!
えごま油、亜麻仁油の違いまとめ
亜麻仁油とえごま油(シソ油)の違いについてご紹介してきました。
今、大注目のオメガ3など必須脂肪酸を摂取する目的においては、大きな違いはありません。
しかし、ポリフェノールや食物繊維の種類や含有量が違います。
どちらにも、健康や美容に良いメリットがたくさん含まれています。
どちらもおススメで出来れば両方を用意するか、または交代で1本づつ購入して常備しておきたいオイルと言えるでしょう。
また亜麻仁が持つ貴重な食物繊維やリグナンをより積極的にとるためには、亜麻の種子そのままをローストしたローストフラックス商品(ローストアマニ粒)がおススメです。
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(By ゼウス23世)