日本で売られているエキストラバージンオリーブオイルはその70%は偽物だと言われています。
日本がIOC(国際オリーブ連盟)に加盟していないので、その国際基準に満たないオリーブオイルが多く売られている、というのが主な理由です。
ですが、国際基準に少し届かないレベルならまだしも、中には低質なオイルとの混ぜものだったり、ダメージのあるオリーブ原料から絞ったオイルや、栄養成分が壊れてしまっているような粗悪なオリーブオイルまで売られている、とも言われますから驚きです。
美容や健康に良いオリーブオイルを求めてお金を払ったのに、中身がこんな粗悪なものだったりする可能性があるなんて信じられないですよね。まったくもって許せません!
- そんな低品質な偽物オリーブオイルをさけ、本物のオリーブオイルを購入するために、何か方法はないでしょうか?
- 粗悪品を見分ける方法はないものでしょうか?
今回は可能な限り本物のオリーブオイルを選ぶためにも、購入前に押さえておきたいエキストラバージンオリーブオイルのチェックポイントを10+αをご紹介していきます。
この記事の目次
最初に断りしておきます。100%本物を見分ける方法はありません!?
残念ながら、最初にお断りをしておかなくてはなりません。
自分自身で搾油、瓶詰めを行える生産者の立場でない限り、日本に住む消費者側の立場として、本物の「エキストラバージン」オリーブオイルかどうかを100%見分けるのは不可能かもわかりません。
どんなに高いオリーブオイルでも、どんな高級百貨店で売られていようとも、今の時代、100%それが本物であると言い切るのはとても難しいということを、まずは前提としてご理解いただきたいと思います。
なんだ・・とガッカリされた方はごめんなさい。
オリーブオイルの不正品が増えた大きな理由
エキストラバージンオリーブオイル市場はここ十数年で世界的に加熱を極め、オリーブ原産地のヨーロッパを中心に、多額のお金が動く業界へと成長しました。
- 生産以上に消費ボリュームが世界的に爆発したこと
- 売上至上主義に傾いた企業群の参入、業界を取り巻くプレイヤーの変化
- 化学的な風味づけや着色法など、高度な技術が開発されてきたこと
- 加えて多額の資金を裏で動かすマフィアの存在 ・・等々
などの理由が大きいのだろうと推測しています。
✅ 2011年、オリーブオイルタイムスによると、スペインの2名のビジネスマンが、20~30%のオリーブオイルに70~80%のヒマワリ油を調合した偽造オリーブオイルを売っていて捕まりました。彼らは年に数十マンリットルも売りさばいていました。
✅ 2008年、イタリア警察は、混ぜ物の偽造オリーブオイルを販売したとして、イタリア国内の90以上のオリーブ農場、加工工場を摘発し、計60名もの逮捕者が出ました。
✅ 2012年カリフォルニア大学とオーストラリアのオイル研究所の共同調査によると、アメリカ西海岸の一般スーパーで販売されている輸入オリーブオイルのうち、69%もの商品がエキストラバージンの基準以下のオイルであることがわかりました。
✅ イタリアの大手ブランドBertolli社(現在はユニリーバが買収)のような大手ブランドでさえも、彼らの供給子会社による不正で、ブランドを傷つけられる結果となってしまった。
などといったオリーブオイルに絡んだ事件も4、5年前から大きなニュースとなってきました。
日本ではIOCに加盟していないため、品質に対する市場チェックも緩いのが現状です。世界的にこんなにエキストラバージンにまつわる問題が多発しているのですから、日本に本物が少ないのは納得せざるを得ないのかもわかりません(誠に残念です・・)
エキストラバージンオリーブオイル|本物を見分けるための10のチェック項目とは
【チェックその1】 どんな容器に入って売られているか
オリーブオイルは他の植物オイルよりも比較的”酸化しにくい”(酸化に強い)オイルと言われています。ですが、100%ナチュラルなオリーブオイルは、やはり酸化の影響を大きく受けてしまいます。
ヘキサン抽出されたオリーブポマースオイルが混ぜてあるようなオリーブオイルとは違って、エキストラバージンは風味もさることながら、酸化に対しても繊細なものなので、慎重に扱わなければなりません。
酸素を通しやすいペットボトルで売られているものを避けて、ガラス製の遮光瓶でしっかりと封がされている商品を選びたいものです。また、缶で売られているものも光を全く通さないので良いと思われます。
【チェックその2】 生産国と生産地域がしっかり明記されているか?
生産国や生産地域がしっかり記されていることは、比較的重要な情報です。
オリーブは、生産国や地域によって、生産されるオリーブの種類が大きく違います。世界にオリーブは約1600種類存在していて、それぞれに特徴や風味があります。
「具体的にどの地域のどの品種」と単一品種であることをしっかり明記しているオイルの方が、混ぜ物である可能性は低くなると思われます。
【チェックその3】 オリーブの生産地とボトル詰めされた工場の場所が近いか?
オリーブは収穫直後から酸化が進んでいきます。そのため、酸度が低い良質なエキストラバージンをつくるために、オリーブ果実を収穫したら数時間以内に、搾油してビン詰め処理まで終えてしまう必要があります。
生産地とボトル詰め工場の場所が大きく離れている、または国が違うといった場合には、運搬の間にオリーブ果実の質が悪くなっている。もしくは、一旦現地で仮搾油したものをドラム缶等で再輸送され、最終工場にて再度ボトルリングされている可能性も出てきます。
イタリアから出荷されるオリーブオイルの輸出量が、イタリア国内のオリーブ生産量の2倍にも上っていることは業界では有名な話しです。(近隣国のスペイン、ギリシャから果実や原料オイルを買い付けしていると言われています)
【チェックその4】 酸度など化学特性値の明記
エキストラバージンの品質を示すもっとも大切な指標が「酸度」です。
国際基準では、エキストラバージンオリーブオイルの酸度は『0.8以下』と定められています。
酸度が低いものは早摘み系の青々しい風味の高品質オイルと言えます。フレッシュさに自信のあるブランド品には、具体的に酸度の数値を0.3以下といったように具体的に記されているものがあります。
またオレイン酸の量や、ビタミンE、バイオポリフェノールといった微量成分の含有量の明記も、栄養価値を基準にオリーブオイルを選ぶ際には有効です。
【チェックその5】 収穫時期が明記されているか
北半球におけるオリーブの収穫期は、だいたい10月(ヌーボー)、11月から翌年1月にかけてです。
今年につくられたフレッシュなオリーブオイルボトルには『収穫期2015/2016』といった原料のオリーブ果実の収穫期が書かれています。
オリーブオイルは、瓶詰め後に熟成されていくワインのような商品ではありません。時間がたてば、品質は必ず落ちていきますので、直前に収穫されたフレッシュなオリーブから搾ったオリーブオイルを選びましょう。
また、賞味期限(ベストビフォーデートとの表現される)はボトリング後2年です。それ以上に長すぎるものをさけましょう
【チェックその6】 ブランド
毎年、数年間にわたって店頭で並べられている定番のブランド商品は、それなりに高品質を維持するよう扱われているものが多いと思われます。
ブランドにはやはりその品質に対する誇りや価値を感じることはできます。ある一定の信頼感にはつながると思われますので、一つの指標にはなると思います。
【チェックその7】 国際品評会・コンテスト
実は有名ブランド品かどうかより大切なものが、国際品評会(オリーブオイルコンテンスト)での受賞歴だと思います。
何よりもオリーブオイルの専門家による官能試験が通りますので、受賞しているオリーブオイルには、まず痛んだ果実から採ったような低質なものは存在しません。商業主義にとらわれない、小規模農家さんによるコダワリの一品などもあって大変参考になります。
日本においても、毎年一回春にオリーブオイルコンテストが開催され、世界のオリーブオイルが評価されています。
▶ OLIVE JAPAN 2016 2016年の受賞ブランドはこちらから
【チェックその8】 収穫・製法に関する表現
「アーリーハーベスト」や「ノンフィルター」「収穫後4時間以内に圧搾」といったような品質にかかわる表現も大切です。
ですが、マイルド、ライトといった感覚的な表現(評価する人によって変化するような表現)はあまり客観性が無いように思われます。
【チェックその9】 低温圧搾(コールドプレス)製法で作られたもの
植物油は圧搾時に、30℃以上の熱を与えると変質をしてしまいます。また変質しないまでも、大切な栄養成分が少なくなったり、影響を受けたりしてしまいます。
ただし、コールドプレス、遠心分離による搾油法は今やオリーブオイル搾油にあたっては特別なものでなく、あたりまえの条件と言えます。
【チェックその10】 日本の法規にそったラベル表示がされているか?
並行輸入品で入ってきたようなものをさけるために、日本の法規にそったラベルが貼ってあるのは絶対条件です。日本のJAS法、消費者庁の食品ラベル基準に合致したものを選ぶ必要があります。
チェック項目番外編(価格やオーガニックは基準になる?)
【価格が高いのが良いのか?】
よく価格が高いものが高品質というイメージもありますが、高いからと言って品質が良いとは限りません。また、高級百貨店で売られていても安心できないとも言われています。
ですが逆に安いオイルに高品質な本物のエキストラバージンがあることはあり得ないです!
【オーガニックが良いのか?】
オリーブオイルの良しあしは、原料のオリーブ果実の出来しだいでその大部分が決まります。そして、害虫被害や病気のない健康的なオリーブを育てるのは、必要な水分と十分な太陽の光が必要となります。年2000時間以上の日照が必要とも言われています。
ですが、オリーブは固い外皮に覆われている果実ではありませんので、成長の過程でダメージを受けやすいのも特徴です。
オーガニック栽培は聞こえが大変良いのですが、オリーブ果実の場合は、常に害虫をモニタリングしながら最少限で適切な量の農薬処理を施しながら、かつ収穫前には農薬の直接散布を禁じる。機械式ではなくてハンドピックで収穫を行って果実を絶対に地面につかせないといった具合に、丁寧に扱われたオリーブの方が質が良いという意見が多いのも現実です。
何かと今は「オーガニック」のキーワードに市場は反応しがちですが、オーガニック栽培はそれなりのコストがかかっていて”稀少性がとても高い=価格面でとても高価であるはず”。ということは頭に入れておいた方が良いのではないでしょうか?
中途半端な価格でオーガニック栽培とうたわれているとかえって疑わしいのでは!?
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エキストラバージンオリーブオイル本物の選び方まとめ
まずオリーブオイルと向き合う際には
- 業界の不正の現状を知る
- 意外に多く不正品が売られている、かつ不正品でなくても低品質なものがある
- 可能な限り高品質なオリーブオイルを選ぶ目を身につける
といった観点で内容をお伝えしました。
また新しい情報が入れば追記していきたいと思いますが、内容にご不満や、ご意見などがあればぜひお知らせください。市場でうられているものが偽物ばかりではありません。しっかりとポイントを把握していくだけで、より良質なオリーブオイルを選ぶことができるはずです。
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(By ディオニソス)