オメガ3系、6系の意味は⁉ 植物油はすべて混合体と理解しよう!
今、オメガ3、オメガ6といった脂肪酸の働きに注目が集まっています。
これらの成分は悪玉コレステロールの働きを抑制し、善玉コレステロールを増やす脂質なので健康上とても大切なものです。
ですが、オメガ3が必要だからと言われて、オメガ3だけを摂っていても問題です。
最適なバランス量と言われますが、どうすれば良いのでしょう。
ここでは、オメガ3、オメガ6の働きや摂取の方法などを紹介していきます。
この記事の目次
まずは脂肪酸の基本的なこと
脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
不飽和脂肪酸は、その構造からオメガ3(n-3系脂肪酸)、オメガ6(n-6系脂肪酸)、オメガ9(n-9系脂肪酸)に分類されます。
オメガのあとに「◯系」とつくのは、分子構造の違いによる分類。
オメガ3、オメガ6、オメガ9はいずれも分子構造が炭素-炭素の二重構造をもつ不飽和脂肪酸と呼ばれます。
そしてその分子構造の左から何番目に二重構造を持つのかによって、その種類が分かれています。
左から3番目(ω-3位)に炭素-炭素の二重結合を持つ脂肪酸を「オメガ3」、左から6番目(ω-6位)に炭素-炭素の二重結合を持つ脂肪酸を「オメガ6」、左から9番目(ω-9位)に炭素-炭素の二重結合を持つ脂肪酸を「オメガ9」と区分しているのです。
不飽和脂肪酸、脂肪酸については、こちらにも詳しく説明しています。
関連記事 ▶ 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いって何?その特徴とは?
また、私たちのカラダでは作ることができず、食べ物から摂らなければならない必須脂肪酸があり、その代表的なものが、オメガ3系とオメガ6系の脂肪酸です。
オメガ9系は必須脂肪酸ではありません。
その理由から、よくオメガ3、オメガ6を食事から摂ることが大切だと今、いろいろと話題にされているのです。
n-3系脂肪酸の代表:α―リノレン酸、EPA、DHA
多く含まれている食べ物: 亜麻仁油、えごま、しそ油、ほうれん草、くるみ、サバ、さんま、いわし、まぐろ、ブリなど
n-6系脂肪酸の代表:リノール酸、γ―リノレン酸、アラキドン酸
多く含まれている食べ物:とうもろこし油、大豆油、ごま油、ひまわり油、月見草油、カシス種子油、マヨネーズ、ごま、スナック菓子など
冬野菜がオメガ3系だからと言って、オメガ3脂肪酸だけを含んでいる訳ではない!
冬野菜(ほうれん草、春菊、小松菜)はオメガ3が豊富だと言われます。またブロッコリーも厳密には冬野菜。
例えば、ブロッコリー1Cup(88g)の脂肪酸比率は、
- オメガ3 227mg
- オメガ6 66.9mg
と、約3分の1は、オメガ6脂肪酸が含まれています。
(参照: Nutritional Database )
また、米油の脂肪酸比率
- 一価不飽和 オレイン酸(オメガ9)⇒ 42%
- 多価不飽和 リノール酸(オメガ6)⇒ 36%
- 多価不飽和 アルファリノレン酸(オメガ3)⇒ 2%
と、どの自然野菜や植物油にも、オメガ3とオメガ6他がそれぞれにある一定量が含まれています。
オメガ3系の食べ物と言っても、オメガ3が100%占めるのではなく、どのくらいの比率で含まれているのか、オメガバランスはどうなのか?という点で見ていくようにすると良いでしょう。
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オメガ3(n-3系脂肪酸)の健康への役割
オメガ3の中で親的な役割をするのが、α―リノレン酸です。
αリノレン酸は、体内にてEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった他のオメガ3脂肪酸に変換され、血中の悪玉コレステロールを減らしたり、
善玉コレステロールの働きを高めるといった役割をしてくれます。
また血圧を下げたり、血栓ができるのを防いでくれるなど、私たちの健康にとても大切な働きをしてくれます。
しかし、オメガ3はとても繊細な脂肪酸で、劣化しやすいという特徴もあります。
オメガ6(n-6系脂肪酸)の健康への役割
オメガ6の代表は、リノール酸です。
かつては悪玉コレステロールの働きを抑制する健康油と言われていましたが、のちの研究で善玉コレステロールも同時に抑制してしまうことが明らかになり、現在は、リノール酸の摂りすぎはまったく勧められていません。
しかしオメガ6が体内で不足すると、皮膚状態の悪化、肝臓や腎臓のトラブルなどを引き起こしてしまいます。
リノール酸は、体内でアラキドン酸、γリノレン酸を合成します。これらは時に「ビタミンF」とも呼ばれます。
ビタミンFは血圧を下げたり、アレルギー症状の改善などの効果が見込まれます。
子宮収縮を促し、生理不順を改善するといった働きも報告されているので、女性にとっても大事な栄養素です。
まさにオメガ6に分類される脂肪酸は、摂りすぎに注意。適量をオメガ3とバランス良く摂取することが必要な脂肪酸と言えます。
なぜオメガ3と6系脂肪酸の摂取バランスが大切なのか?
第三のホルモン「プロスタグランディン」
1982年に研究発表された”第三のホルモン”とも呼ばれる「プロスタグランディン」という存在があります。
このプロスタグランディンは、必須脂肪酸のαリノレン酸(オメガ3)とリノール酸(オメガ6)からそれぞれ作られるホルモン様物質になります。
プロスタグランディンは複数種類があり、体のさまざま機能バランスを保つため、互いに相反する作用をもちながら、働いています。
つまり、ある特定のプロスタグランディンが欠乏したり増えたりすると、健康バランスが崩れ、体の調子を崩してしまうことになります。
オメガ3とオメガ6によって、それぞれ複数のプロスタグランディンがつくられるので、その摂取バランスが非常に大切だということになるのです。
プロスタグランディンの役割は、こちらも詳しく説明しています。
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最適なオメガ3とオメガ6の摂取バランスは?
オメガ6系は、大豆油やひまわり油など身の回りで多く使われている油に既に多く含まれています。
なので、オメガ6系は私たち現代人の一般の食事から十分な量を摂取できています。
しかし、一方で、オメガ3系は魚を食べなくなったこともあり、摂取が難しく現代人の摂取量が極端に少なくなってきたと言われています。
オメガ3とオメガ6の最適な摂取バランスは、1:2~1:4と言われています。
しかし、私たち先進国の多くは既に1:10や1:20といった摂取バランスになっている可能性があり問題視されています。
アメリカ米国では今や1:20となっているとの指摘も多くあります。オメガ3とオメガ6の摂取バランスをよくするために、意図的にオメガ3を増やし、オメガ6を減らすことをもっと考える必要があるのではと思います。
よくクルミには、オメガ3のαリノレン酸が豊富だから、クルミをせっせと食べる方も増えていますが、クルミにはそれ相応量のオメガ6成分も含まれており、それ以外にも、バランス改善を心がけなければ、オメガ3比率を改善することはできなくなってしまいます。
クルミの成分表
- オメガ3 9.1g (14%)
- オメガ6 38.1g (58%)
- オメガ9 8.9g (14%)
バランス改善には、オメガ3がオメガ6に比べ極端に高い、亜麻仁油、えごま油、EPA/DHA含有率の高いフィッシュオイル等を定期的に摂るのが一番のおススメです。
そして、オメガ6摂取量を意識して抑えることが大切です。
オメガ3、オメガ6脂肪酸まとめ
健康を維持するために食用油の選び方が、とても大切であることがわかってきました。
シソ油、亜麻仁油などからオメガ3を積極的に摂取し、オレイン酸でオメガ9を適度に摂取。そしてベニバナ油、ゴマ油などから、摂取しすぎないようにオメガ6を摂っていくのがベストなバランスです。
飽和脂肪酸が多い食べ物ややや控えめに、そして何よりトランス脂肪酸は摂取を避けるようにしましょう。
(By ゼウス23世)