必須脂肪酸の種類って何?知っておきたい欠乏症のメカニズム!
乾燥肌でお悩みのあなたに、油分が少ないのではないか?必須脂肪酸を摂りましょう、と言われることはないですか?
また、たんぱく質も大切なので、必須アミノ酸も一緒に、などともよく聞きます。
- 必須の脂肪酸っていったい何?
- どんな油分が必須なの?
- どんな食品を食べればよいの?
と思うことありませんか?
必須栄養素とは、体内で十分な量を合成できないため、外部から摂取する必要があるものを指します。
今回は、その中でも必須脂肪酸について、ご紹介していきます。
この記事の目次
必須脂肪酸って何?
必須脂肪酸とは、体内で生成することができないので、必ず食品から摂取しなければならない脂肪酸のことです。私たちが摂取した必須脂肪酸は、細胞膜やミトコンドリアなどの細胞構成物の膜の成分として機能します。さらに免疫機構にも影響を与える重要な物質です。不足すると体調不良、免疫力の低下を招いてしまします。
覚えておきたい種類はたった2つ
<狭義の必須脂肪酸>
- リノール酸
- αリノレン酸(アルファリノレン酸)
狭義の必須脂肪酸はずばりリノール酸とαリノレン酸の2つだけです。リノール酸はオメガ6系必須脂肪酸、リノレン酸はオメガ3系必須脂肪酸です。
<広義の必須脂肪酸>
- リノール酸
- γリノレン酸
- アラキドン酸
- αリノレン酸(アルファリノレン酸)
- エイコサペンタエン酸(EPA)
- ドコサヘキサエン酸(DHA)
狭義のリノール酸とαリノレン酸はそれぞれカラダの中で、他の脂肪酸に変換されていきます。リノール酸からはγリノレン酸、アラキドン酸が生成され、αリノレン酸からはEPAやDHAが体内で生成されていきます。
広義の必須脂肪酸は、これらリノール酸とαリノレン酸から変換された後の脂肪酸も含みます。
広義ではすべて含むけど、これらの多くは派生形、狭義では必須とは呼びません!
欠乏症になると怖い
成人では一日あたり10g程度の必須脂肪酸が必要であるとされています。
必須脂肪酸が不足すると細胞膜の透過性が低下します。細胞膜は細胞の間で大切なホルモンや栄養素の受け渡しに大きく関係しています。
細胞膜の透過性が悪いと、物質のスムーズな受け渡しが阻害され、細胞自体の機能が低下してゆきます。
そのため、必須脂肪酸の不足は事実上すべての病気、カラダの不調に関係してくるといえるでしょう。特に影響を受けやすい病気としては、高コレステロール血症、冠動脈疾患、皮膚炎、糖尿病をはじめとする自己免疫疾患などがあります。
また小児においては、脳の発育遅滞、皮膚や臓器の成長障害などを引き起こすことが考えられます。
軽度の症状でも、皮膚の乾燥や湿疹、脱毛なども挙げられますが、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足した時の症状とよく似ているため、必須脂肪酸の不足に気付くのが遅れてしまうことがよくあります。
また、アラキドン酸は脳神経細胞の主成分となっているため、学習力や記憶力改善の効果も見込まれています。
胎児や乳幼児においては、脳細胞は急速なスピードで発達していきますが、アラキドン酸はDHAなどの脂肪酸とともに、胎児や乳幼児の脳発育に大きく関わっています。
しかし、注意すべきなのはその過剰摂取です。アラキドン酸は、上記のようにたくさんの効果がある一方、一定量の摂取を超えると、この効果が全て逆の症状として働いてしまいます。なので、アラキドン酸もリノール酸同様、過不足のないバランスのとれた摂取が望ましいとされます。
必須脂肪酸の欠乏症
現代人の多くは、脂肪を積極的に摂ることを良しとしない傾向が強く、低カロリー・低脂肪の商品をより好む傾向にあります。しかし、このことが逆に必須脂肪酸を本当に必要な量だけ摂ることを難しくしているとも言えます。
まさに必須脂肪酸欠乏症の予備軍となっている可能性が高いのです!
統計によれば、現代人の多くは必須脂肪酸不足になっていて、それが原因で病気を発症している人も多いようです。身体にとって大切な必須脂肪酸ですが、摂取不足からくる欠乏症は、ビタミンやミネラル、またその他の栄養素不足からくる欠乏症と比較しても明確でない、わかりづらい傾向にあります。
そのため、必須脂肪酸の不足に対しては自覚症状が少ない傾向にあります。医療に携わる医師においても、その傾向がみられるとも言われています。
欠乏症のメカニズム
必須脂肪酸欠乏症のメカニズムとしては、
- 必須脂肪酸の不足によって細胞壁の脂肪酸組成が崩れます
- すると、細胞膜から細胞内外への物質の出入りがスムーズに行われなくなりなり、細胞がうまく機能できなくなってしまいます
- これが原因で病気が発症してしまう
という流れになります。
欠乏症の具体例
では、必須脂肪酸不足からくる欠乏症の具体例はどのようなものがあるのでしょうか?
次にご紹介していきます。
- 高コレステロール血症や高脂血症
- 動脈硬化
- 高血圧症
- 湿疹などのアレルギー性皮膚炎や炎症
- 皮膚の弾力の低下
- 脱毛
- 老化が原因の癌
- 糖尿病などの自己免疫疾患
などのたくさんのトラブルの原因となってしまいます。
さらに、新陳代謝が活発な成長期における子供たちにとっては、
- エネルギーの生産能力の低下
- 脳の発育の遅れ
- 皮膚や臓器の障害
などの障害を引き起こす可能性も潜んでおり、特に子供たちにとっては必須脂肪酸がさらに必須の状態だと言えます。
欠乏症の症状が出るまでには、数週間~数カ月程度の時間を要しますが、カラダの中での貯蔵量が少ない痩せ型体系の方、また低体重、心不全など元々持病を抱えている方にとっては、症状が出やすい傾向にあり、さらに注意が必要です。
必須脂肪酸不足の認識
ビタミンやミネラルに比べ、まだまだ脂肪酸の不足に注意を向ける人は多くありません。
必須脂肪酸の不足はいろいろな症状をもたらしますが、症状を見るだけではそれが必須脂肪酸の不足によるものなのか、他に原因があるのかを判断することが困難だと言われています。疲れやすい、皮膚乾燥、関節炎、高血圧などといった症状は、必須脂肪酸の不足が原因でなることもありますが、他の原因に起因する場合も多くあるからです。
医療機関に至っても、必須脂肪酸にたいする意識が低いとも考えられ、必須脂肪酸の不足に注意が払われることが多くないように思われます。
今のところ、自分で意識的に、積極的に必須脂肪酸を摂取していくことでしか、必須脂肪酸の欠乏症状を解消する道はないようです。
欠乏症を回避しよう!
必須脂肪酸のリノール酸とαリノレン酸の2つは互いに代用し合うことができません。
両方ともにバランス良く摂る必要があります。
WHO(世界保健機構)では、リノール酸とαリノレン酸を4:1の割合で摂るのがバランス良い摂取の方法であるとして推奨しており、10:1以下の割合にまでリノール酸比率が高くなってはいけないと注意を喚起しています。
私たちが通常用いる大豆油やトウモロコシ油などにはリノール酸が多く含まれています。一方、αリノレン酸は亜麻仁油、しそ油、ヘンプオイル、ブラックカラント油など、私たちにはあまりなじみのない植物油に多く含まれています。
必須脂肪酸のバランスを保つために、これらのαリノレン酸を多く含んだ油を意識して食べるようにしましょう。
大豆油などと並行して使うのであればαリノレン酸の含有量が非常に多い亜麻仁油が、一種類に絞るのであればリノール酸とαリノレン酸がちょうどよい割合で含まれているヘンプオイルなども使うと良いかもしれません。
必須脂肪酸を多く含む食品とは?
こちらに詳しくαリノレン酸、DHA、EPA、リノール酸など各必須脂肪酸について、多く含む食品、食べ物を各10選づつリストアップしていますので、こちらもご参考ください。
参考記事
▶ 必須脂肪酸5つとその効果とは?含有量が多い食品食べ物各10選!
摂取上の豆知識
一般に、青魚には多くのDHAが含まれるとよく言われますが、その魚が何を食べているかによって魚の体内の脂肪酸量は変化します。そのため、αリノレン酸を多く作り出す植物プランクトンから食物連鎖をとっている天然ものの魚介類にはαリノレン酸を多く含んでいますが、養殖の魚は、エサによってリノール酸が多く含まれている場合もあると言われています。
フィッシュオイルも人気のサプリメントですが、人気のオイルの中には、原料として天然魚しか使っていないと注意書きしているサプリメントも見られます。
関連記事
▶ フィッシュオイルのおすすめ3選
必須脂肪酸の種類と怖い欠乏症とは?まとめ
必須脂肪酸のサプリメントとして多く売られているものに、EPA、DHAサプリメントがあります。また、フィッシュオイルも人気です。
ですが、これらだけで必須脂肪酸のすべてがとれるという分けではありません。EPA/DHAは、広義の必須脂肪酸ですが、きょうぎの必須脂肪酸には含まれません。
必須脂肪酸の中でも、オメガ3系のαリノレン酸が現代人は不足がちになっています。
リノール酸とのバランスを保つために、今回ご紹介した亜麻仁油、えごま、しそ油を積極的に摂るようにしましょう!
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▶ リノール酸が多く含まれる食品15選!ガン研究センター調べ
(By ゼウス23世)