ゆり根の栄養、下ごしらえと食べ方は?滋養強壮に効果もたくさん!
「ゆり根」と聞いて思い浮かぶのは、高級な京料理!? いや、茶わん蒸しやおせち料理、おがくず?などがイメージされるのではないでしょうか?
ゆり根は、秋から冬にかけてが旬の時期で、食品スーパーでも目にするようになります。
日本や中国では、古くから食用や薬用としてゆり根が利用されてきました。ゆり根は、滋養にもよいスーパー健康食品なのです。
今回は、
- ゆり根が持つ栄養素、健康効果とは?
- ゆり根の下ごしらえの方法
- 美味しい食べ方、レシピ5選
などをご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
ゆり根とは何?
「ゆり根」は、ユリ科植物の根っこ、球根の部分。中でも鱗茎(りんけい)に分類されます。
玉ねぎやにんにく、らっきょうの仲間と同じです。
日本でのゆり栽培は、中国から食用のゆりの球根が渡ってきたことから始まりました。現在では観賞用としての花の「ゆり」が人気の栽培ですが、昔は食用や薬用として主に栽培されてきました。
平安時代には、滋養強壮に優れた「薬用食」として利用されていたと考えられています。
主にオニユリ、コオニユリ、ヤマユリ、スカシユリといった種類の球根が、現在は食用として取り入れられています。中でも、苦味が少ないことから「コオニユリ」が中心となっています。
ゆり根の栽培はとても時間がかかるようです。種球から始めて、収穫まで6年も時間を要する上に、一度植えた畑では、最低でも7年休ませなければならないようです。
じっくり6年間もかけて育てられた「ゆり根」、いかにも熟成!?栄養素がたくさん詰まっていそうです。
ゆり根の栄養素の特徴
食物の球根というだけあって、100gあたり125kcalとカロリーはやや高めです。主成分はでんぷん(炭水化物)。その他にも、カリウムやビタミンC、食物繊維などの栄養素が含まれています。
(1)カリウム
ゆり根に含まれるカリウムは、野菜の中ではトップクラス。100g中740mgも含まれており、カリウムの多い果物のバナナ(100g中360mg程度)と比較しても2倍以上の数値となっています。
カリウムは、体内の余分なナトリウムや水分を体外に排出し、適正な濃度を保ってくれます。効果としては、高血圧予防やむくみ予防などに効果があります。
(2)ビタミンC
ビタミンCは、際立って豊富に含まれているわけではありませんが、じゃがいもと同じく熱に強い性質があります。でんぷん質に覆われたビタミンCは、茹でても含有量がほとんど減らないため、有効に栄養を摂取することができます。
(3)葉酸
ゆり根には、葉酸も多く含まれています。100g中92μgという数字は、いちごや小松菜など葉酸が豊富に含まれる野菜や果物よりも高い数値です。葉酸は、妊婦さんや妊娠前女性にとっては大切な栄養素。お腹の中で胎児が育つときに先天性の異常を排除する効果があるとされています。
また、葉酸には自律神経を整えてくれる働きもあり、リラックスや精神の安定効果が期待できます。さらには、うつ病予防にもなるとされています。
(4)食物繊維
ゆり根の食物繊維量は、100g中5.4gと豊富で、ごぼう(100g中5.7g)と比較しても、劣らないくらいの含有量になります。
水溶性食物繊維のみで見ると、野菜の中ではトップクラスになります。
ゆり根の食物繊維の多くは「グルコマンナン」になります。グルコマンナンは、腸内細菌に分解されると、善玉菌の餌となるオリゴ糖に変化。結果として、腸内の善玉菌が優位になって腸内環境が改善されます。
また、消化酵素にも強いグルコマンナンは、水分を含み膨張しながら大腸に届いてゆきます。水分を含んだ柔らかい便となって排便をスムーズにしてくれます。
ゆり根の漢方的な働き
ゆり根は、漢方では百合(びゃくごう)と呼ばれ、昔から中国の薬として活用されています。漢方では、球根を“乾燥させたもの”を使います。
効能としては滋養強壮をはじめ、イライラ・ヒステリー、精神不安、不眠などに対して、気を調え精神を安定させてくれたり、灰を潤して咳の症状を和らげるなどの作用が見込まれます。
しかし、寒気がして咳や白いたんが出る人、お腹が冷えて下痢をしている人にはゆり根は向かないとされているので覚えておきましょう。
ゆり根の下ごしらえの仕方
ゆり根の下ごしらえってどうするのでしょうか?少々下ごしらえが手間で難しいイメージがありそうですが、実はそうでもありません。手順としては、
- ゆり根の周りについているおがくずなどをまずはきれいに水で洗い落とします。
- 外側の鱗片から1枚ずつ丁寧にはがしていきます。
- 再度、付着した土などを洗い流します。
- 1枚ずつはがした鱗片に、変色した茶色い部分などがあれば、その部分を削ぎ取って、白い部分のみを使用します。
調理前のゆり根の下ごしらえは以上で終わりです。
その他調理で気を付けたいことは、ゆり根は火の通りが早いということ。加熱時間が長くなるとホクホクとした食感じゃなくなり、ねっとり食感に変化していきます。
- 茹でる場合は、沸騰した湯の中に塩を加え、大きめの鱗片から順に投入していきます。
- 茹ですぎに注意して、1~2分を目安に様子を見ながらにしましょう。
また、電子レンジで調理することもできます。
ゆり根の食べ方とレシピ5選
ゆり根は、じゃがいものようなホクホクとした感じ、ほんのりと上品な甘さが最大の特徴です。和え物や蒸し物を始め、スープ、グラタン、炒め物、揚げ物など、とても幅広く活用することができます!
では、色々なゆり根レシピをご紹介していきましょう。
【1】王道中の王道!ゆり根の茶碗蒸し
まず最初に、ゆり根と言えば!?『茶碗蒸し』です。
ゆり根を柔らかく茹でたのち、卵液を注ぎ蒸し上げます。出し汁、薄口しょうゆ、みりんで作ったあんを最後にかけて頂くと、とても上品な茶わん蒸しが出来上がります。
ゆり根以外の材料もシンプルなので、ゆり根を存分に味わうことができそう♪
レシピ詳細はこちら ⇒ ゆとりの暮らし
【2】ゆり根と銀杏の炊込みご飯
「ゆり根」と「銀杏」という、秋冬の味覚が贅沢に楽しめる一品ですね!
ゆり根は下処理をし大きめのものはカットしておきます。米、切った油揚げ、調味料と共に炊き上げ、炊き上がったら、茹でた銀杏を加えて完成です。
油揚げを鳥肉などで代用しても、コクと旨みがアップします。銀杏の火通しは、電子レンジでも簡単にできますので、手早く作りたい場合などお試しください。ホクホク感が満載のゆり根、そしてもっちりとした銀杏の組み合わせによる絶品炊込み御飯!おすすめです♪
レシピ詳細はこちら ⇒ クックパッド
【3】ゆり根の和風グラタン
こちらのレシピも、ゆり根と銀杏の組み合わせが楽しいレシピです。
出来上がったホワイトソースにゆり根を入れて、柔らかくします。このとき混ぜすぎるとゆり根の粘り分が出てきてしまいますので、ゆり根に火が通した後は、グラタン皿に素早く加えて焼き上げると良いです。温かくホクホクした、ほんのり甘~いゆり根が味わえます。
レシピ詳細はこちら⇒ 北ガスクッキング
【4】ゆり根のスープ(ポタージュ)
ゆり根と玉ねぎ、ほんのりと優しい甘さが味わえるポタージュスープです。
スライスした玉ねぎと下処理したゆり根をバターで炒めて、玉ねぎがしんなりしたところで水とコンソメを加え、柔らかくなるまで煮込みます。粗熱が取れたらミキサーで撹拌して調味料で味を調えたら完成です。
レシピ詳細はこちら ⇒ クックパッド
【5】ゆり根ととり肉のガーリック炒め
優しい甘さが特徴のゆり根をガーリックで風味付けしたパンチが効いた一品です。
フライパンにオリーブオイルをひき、にんにくを炒めます。香りが出たら鶏肉を焼き、色が変わったらゆり根を投入。ゆり根が透き通ってきたら、ワインで蒸し煮をし、調味料で味を調え完成です。
味もしっかりつきますので、お酒のおつまみにもピッタリかもです。
レシピ詳細はこちら ⇒ レタスクラブ
ゆり根の栄養下ごしらえ、食べ方まとめ
冬に近づくと食品スーパーで見かけるゆり根。名前や姿形は知っているけど、家庭で調理したことがないわ、という方も多いのではないでしょうか?
ゆり根は、普通にご家庭でも簡単に調理ができ、栄養もたっぷりな季節の食材です。強い風味を持つわけでもなく、いろいろな活用方法もありそうですよね。
今年の冬は、是非ほくほくゆり根を使ったレシピで、ゆり根の持つたくさんの栄養成分を取り込んでおきたいですよね!
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(By ディオニソス)