ぎんなんの下処理、美味しい食べ方4選!滋養強壮に効く栄養素とは?
秋、紅葉する街路樹の一つに「イチョウ」があります。
ひときわ鮮やかな黄色に輝く葉は、ため息が出るほど美しいですよね。
実はイチョウの木は、実を実らせ「ぎんなん(銀杏)」として私たちの食卓に運ばれてきます。「ぎんなん」は、昔から滋養強壮、老化防止の効果がある食材として、とても親しまれています。
では、
- ぎんなんの栄養価ってどうなの?
- その健康効果は特別な栄養素のおかげ?
- 美味しい食べ方
- 怖い中毒症状もあるって本当?
ぎんなんを美味しく食べる下処理の方法、人気のレシピ、また気をつけたい中毒症状についてもご紹介していきます。
この記事の目次
実は「イチョウ」には太古からの強靭な生命力がある!
イチョウの木は、約2憶5千万年も前から地球上に存在していた!という事実を、あなたはご存知でしたか?
イチョウの木は、なんと恐竜が生息していたジュラ紀に最も栄えていた、とても歴史のある樹木だったのです。中国の浙江省(せっこうしょう)には、“生きた化石”とも言われる自生のイチョウの木が現在もなお、残っているそうです。
恐竜の時代から現代にいたるまで、地球上では大きな変化がいくつもありました。イチョウの木は、その変化にも対応してきた強靭な生命力を持った植物だったのです。
そのイチョウの木に実る「ぎんなん」。この「ぎんなん」には、一体どのような栄養素が含まれているのでしょうか?
ぎんなんが持つ栄養素
私たちが普段食している「ぎんなん」とは、どの部分を食べているのかわかりますか?
正確には、私たちはイチョウの実を食べているのではありません。種の中に含まれる“仁”と呼ばれる部分を食べています。
因みに廃棄してしまうイチョウの実の部分には、酪酸やヘプタン酸と呼ばれるものが含まれていて、これがイチョウ実の強烈な臭いの素となります。
ぎんなんの栄養価(銀杏:可食部100gあたり)
※五訂日本食品標準成分表より
- エネルギー 166Kcal
- タンパク質 4.1g
- 脂質 1.3g
- 炭水化物 34.5g
- 飽和脂肪酸 0.11g
- 不飽和脂肪酸 0.54g
- コレステロール 0
- 食物繊維 2.2g
- カロテン 260μg
- ビタミンE 1.6mg
- ビタミンK 3μg
- ビタミンB1 0.24mg
- ビタミンB2 0.07mg
- ナイアシン 1.0mg
- ビタミンB6 0.02mg
- 葉酸 36μg
- パントテン酸 0.97mg
- ビタミンC 20mg
- ナトリウム 0
- カリウム 580mg
- カルシウム 8mg
- マグネシウム 42mg
- リン 83mg
- 鉄 1.1mg
ぎんなん、栄養素の特徴
ぎんなんの栄養素の特徴としては、目の健康維持、皮膚や粘膜保護などの作用がある「カロテン」、そして抗酸化作用、美容効果やアンチエイジング効果がある「ビタミンC」、浮腫みの解消、利尿作用、高血圧予防、神経への刺激伝達などの役割を持つ「カリウム」がとても多く含まれています。
カロテンに関しては、木の実の類では、2位との差をぐんとつけてトップ含有量を誇っています。
また、ビタミンCは、トマトや南瓜よりも含有量が多く、カリウムは、有名なモロヘイヤよりも多く含まれています。
これにより、「ぎんなん」には滋養強壮、鎮咳作用、抗酸化作用、血栓症予防、去痰作用、殺虫作用など様々な作用があると言われています。
実は、食べ過ぎには注意が必要!
ぎんなんは、中国や日本では古来より民間療法薬としても使われるくらい栄養価が高いものと言えます。しかし、食べ過ぎた場合には、中毒症状を起こしてしまう可能性もあるので、摂取量については注意が必要です。
【1】中毒の原因物質とメカニズム
ぎんなんには、ビタミンB6に似た構造を持つ毒性物質(チルビリオキシ)が存在します。この毒性物質は、体内のビタミンB6の活動を低下させ、“ビタミンB6欠乏症”をも引き起こすと言われています。
ビタミンB6は、体内で神経伝達を抑制する働きがありますが、チルビリオキシにはこの働きを阻害する性質があります。この結果、神経伝達が抑制されず、中枢神経の興奮が収まらないため、一種の中毒症状を引き起こしてしまいます。
【2】主な中毒症状
腹痛・下痢・消化不良・嘔吐などの症状が出るほか、重症の場合は、痙攣や呼吸困難、意識を失うなどの症状が出ることがあります。最悪の場合、死に至るケースも報告されているようです。
このような中毒症状は食べた後、1~12時間後に発症すると言われていて、症状が出始めた場合には、なるべく早く病院にかかるようにしましょう。
【3】ぎんなんをどのくらい食べたら、症状が起こるのか?
子どもならば7粒、成人ならば40粒程度とも言われます。
しかし、あくまでこれは目安の個数になります。ぎんなんの中毒症状は、体内のビタミンB6の状態によって、発症の仕方に個人差があります。
成人ともなれば、体内で解毒作用が効きますので、目安を守ってさえいれば大きな症状は出にくいかもしれません。しかし、子どもは大人のような解毒のチカラを充分にもっていません。
特に、5歳以下の幼児には、与えない方が良いと言われています。また、高齢の方による摂取も注意する必要があります。
ぎんなんの処理方法
実の部分は、潰れるととても強い臭いがします(酪酸やヘプタン酸)
また、ギンコール酸と呼ばれる成分によって、触るとかぶれや頭痛、下痢などが引き起こされます。ですので、ぎんなんの下処理を行う際には、必ずゴム手袋を装着するようにします。
- ぎんなんの実を拾ってきたら、まず水に浸しておきます。ぶよぶよにふやけるまで、1晩(1週間以上経てば、効果は同じです。)は少なくとも漬けておきましょう。長めに浸すと皮が剥きやすくなります。
- ゴム手袋をつけて、銀杏の実をくずし、種子の部分(白い殻の部分)を取り出します
- 殻に付着した実を水洗いしながらきれいに取り除いていきます
- きれいになった殻付き種子を天日干しにします。完全に乾燥したら、これで下処理は完成です。
ぎんなんの美味しい食べ方4選
(1)封筒銀杏=封筒に入れてレンジでチン♪
電子レンジを使った方法が、一番手間なく、お手軽に食べられる方法です。このレシピのように、電子レンジで加熱する前に殻に亀裂を入れないでもできますが、電子レンジ加熱しているときの破裂が気になる方は、封筒に入れる前に包丁の背で叩き割るか、もしくはキッチンばさみかペンチなどで亀裂を入れておくと安心ですよ。
参考レシピ ⇒ クックパッド
(2)フライパンで塩炒りぎんなん
フライパンで加熱する、塩炒りぎんなんの作り方です。
お塩を入れて、ゆっくりと加熱するので、出来上がったぎんなんは美味しさが違いますよ。少し時間はかかりますが、美味しいぎんなんを食べたいと思ったなら是非こちらの方法も試してください。
ぎんなんを炒っている間に、はじける場合がありますので、蓋付きのフライパンを使って加熱するのが良いでしょう。
参考レシピ ⇒ エキサイトウーマン
(3)あると便利!銀杏の塩ゆで
始めに、固い殻をすべて取り除いてから、お湯の中で薄皮を剥いていきます。
薄皮が剥けたら、塩を加えたお湯の中で5分ほど茹でたら完成です。このまま食べても良いですし、茶わん蒸しや炊き込みご飯、また炒め物や、かき揚げまで様々な料理に使えますよ。余ったぎんなんは冷凍保存もできますので、下処理するときには一度にたくさんやっておくと便利ですね。
参考レシピ ⇒ 楽天レシピ
(4)塩揚げぎんなん
ぎんなんの殻を剥いで、薄皮が付いたままの状態で油で揚げます。揚げ油はお好みでOK、オリーブオイル、ごま油、菜種油など気分で決めちゃって下さい。仕上げにお塩をパラっと振り完成。お酒のおつまみに最高!なぎんなんの食べ方です。ついつい食べ過ぎてしまいそうですが、食べ過ぎは絶対に注意ですよ。
参考レシピ ⇒ クックパッド
ぎんなんの栄養、食べ方まとめ
ぎんなんは、独特の風味、クセもありますが、一度美味しいぎんなんを食べると病み付きになってしまう方も多いかと思います。お酒のおつまみにはピッタリです。
しかし、ぎんなんに中毒症状があるのは意外と知られていないかも。
様々な栄養や効果も持ち合わせた食材ではありますが、ぎんなんは食べ過ぎ厳禁!
目安の数を守って季節の味を楽しみましょう!
(by ゼウス23世)
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